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FIAT G.91 R1/R4 (TAMIYA 1/100)
by
五六式(TYPE-56)
これらのG.91は,蛇の目特集に合わせて,作っていたのですが,手間がかかって偵察機・無人機特集へ・・・。このキットは,初版が出たときに一度作っているのですが,今回みたいに苦労はしなかったんだけれどなぁ・・・。
<実機について>
1950年代,NATO諸国向けの軽量戦術戦闘機開発計画(NBMR-1)でブレゲー・タンを抑えて競作に打ち勝ったのがFIAT G.91である。しかしながら,NATO諸国の様々な思惑から本機を採用したのは,イタリア本国と西ドイツ,ポルトガルのみで,アメリカ陸軍やギリシア空軍が興味を示したが,結局採用には至らなかった。
本機は,当時,フィアット社でライセンス生産されていたF-86K(D型のダウングレード版)を参考に設計されており,F-86Kとシルエットがよく似ているが,機体規模は,軽量戦術戦闘機の名の通りやや小さい。
本機を採用した国は少なかったものの,扱いの容易さや軽快な運動性が好評で,最後の機体が退役したのは,初飛行(1956年)から約40年後の1995年であった。また,イタリア空軍の曲技チーム,フレッチェ・トリコローリの使用機としても有名である。
<キットについて>
初版は,1968年にミニジェット機シリーズの7番目のキットとしてリリースされました。当時の定価は,¥100,2004年のコンバットプレーンとしての再版では,¥500(税抜き 探せば入手可能)です。1/100スケールでは,他に,ほぼ同年代のフロッグ/エレール版がありますが,どんなキットなのかは分かりません。また,ドイツレベル版は,タミヤのキットと同じものですが,ドイツ空軍のデカールが付いています(ドイツ空軍向けのG.91R3にするには,細部を変更する必要があります。)。
G.91/G.91 R1/G.91 R4のコンバーチブルキットで,イタリアの曲技チーム,フレッチェトリコローリのデカールも付いています。基本的に筋彫りは凹モールドですが,一部凸モールドになっているところがあります。
このように,リリース当時としては,大変頑張ったキットですが,50年前のキットであることの古さは隠しきれません。金型のずれがあり,小部品に段差があったり,ダボの合わせがずれたりしています。垂直尾翼も左右で厚みが違い,接着後、段差ができます。でも,完成を阻む要素は,それだけではなかったんだな・・・。
<製作>
製作に当たっては,仮組みをした上、必要ならダボを削り落としてしまった方がよいでしょう。また,増槽の部品では,ダボを受ける穴の位置がずれて部品の表面まで貫通してるのでパテで塞ぐ必要があります。とにかく,塗装に至るまで,段差や隙間の処理に時間を取られてしまいます。
水平尾翼の外板継ぎ目は,凸モールドになっていますが,筋彫りし直しました。あまり頑張ると千切れてしまうのでほどほどの深さにしました。また,水平尾翼の取り付けが悪く,取りつけた後,かなり目立つ隙間ができます。水平尾翼の部品の取り付けのためのベロの裏側に0.2mm厚のプラ板を貼って,接着剤が乾いたら,少しずつサンドペーパーで厚みを調整して行くとよい結果が得られるでしょう。
主脚を取りつける部位の寸法が,主翼の主脚収納部より大きく,そのままだときちんと接着できません。必ず仮組みをして寸法の調整をすることをおすすめします。
キットの塗装図は,左側面図しか示されていません。どこかから写真を探してこいと言うことか,適当に迷彩パターンを考えてね,てへぺろ,ということか・・・。ネットで写真を探しましたが,グレーとグリーンが逆になって塗装されている機体もあったりして解析に難儀しました。
主翼上面の赤いラインは,上記の迷彩パターンを探索しているときに見つけてしまったもの。デカールに無いのですが,あるものはあるのだから何とかしないといけません(F-1のタバコロゴとか,ドイツ機のハーケンクロイツだってそうじゃろ?)。頑張って描くしかないのか・・・涙・・・。
基準となる一番長い直線をマスキング+筆塗りで入れます。塗料の濃さや筆に含ませる量を調整しながら(マスキングテープの上でちょっと試しています。)描くとはみ出しを防ぐことができます。
比較的短い直線は,ハーフマスキング(命名,自分)で描いていきます。直線の片端をマスキングテープに預けてもう片端をフリーハンドで描くという技です。これにより,マスキングに費やす時間を半分以下に抑えることができます。
デカールは,脆くて余白を切り取ると縁が欠けたり破れたりしてしまいます。仕方が無いので余白を残してそっと動かして貼ることにしました。マークセッターなんて,とんでもないです。幸いなことに,イタリア軍機とギリシア軍機とでは,重複して使うデカールがほとんど無いので2機同時に作ると,デカールシート1枚分が,ほぼ,そのまま残ります。それを,スペアとして使うことができます。デカールが欠けたところは,面相筆でちょこちょこっと補修しています。
排気口直前の注意書がデカールに収録されていますが,どちらがイタリア機用でどちらがギリシア機用なのか分かりません。デジカメで撮影して拡大したら・・・。どうでもいいことしか書かれていませんでした。
機体本体のウインドシールド周辺にゆがみがあり,透明部品との間に隙間ができます。塗装前の段階で仮組みをすること,透明部品ではなく,本体のコンソール周りの形のゆがみを修整すること,この2点に留意することをおすすめします。
<完成>
今回製作した2機のそろい踏み。
イタリア空軍のG.91 R1。
爆弾の部品は,精度が悪くてゆがみを直すのに難儀しました。
ギリシア空軍で評価試験されたけれど,採用されなかったG.91 R4。ギリシア空軍は,結局ノースロップF-5やLTV A-7を戦術機として採用しました。
こちらは,クリーンで製作しています。
ちなみに,G.91の初飛行は,五六式の生まれた日の2日後でした。
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