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 (Photo) Caudron C.635 + 速度記録挑戦機

by  コルディッツ
博物館実機写真

 1935年11月30日、サン・テグジュペリの操縦するコードロン
C.630シムーンはリビアの砂漠に墜落しました。15万フランの
賞金のかったパリーサイゴン間の速度記録に挑戦した飛行でした。
同乗の航法士と共に2人は4日間砂漠を彷徨い、生命の危うい時点
で救助されます。以来コードロンC.630はサン・テグジュペリと
共に語られ、出典は不明ですがサン・テグジュペリの愛した機体
とも評されることがあります。実際、機体は一部に金属板を使用
した木製ですが、キャビンから垂直尾翼にかけてのラインは優雅
で、これはフランス人好みなのかと。
 ル・ブルジェ航空宇宙博物館に展示されているC.635は、よく
C.630と紹介され、また展示機の垂直尾翼に「C.630」と書かれて
いますが、博物館の標示やHPではC.635となっています。最も
630と635の相違は、キャビンのレイアウトと搭載エンジンの変更
位な上、初期型を635に改装した機体も多いので、顕微鏡を用いて
あら探しはしないで、サン・テグジュペリを偲んで拝観するのが
エレガントな対応ではないでしょうか。
※ 本稿は博物館の標示とホームページ、「世界の軍用機図鑑」
(コスミック出版)「第二次世界大戦軍用機 仏・伊・ソ・その他
21ヶ国」(酣燈社)を参照しました。


 Caudron C.635 Simoun F-ANRO No7017
 ル・ブルジェ航空宇宙博物館にて      2016年8月撮影




 635のエンジンはルノー6Qベンガリ220馬力、630はルノー6Pri
180馬力とあります。



 コードロンC.630~635の四座単葉機は、国内郵便物を輸送するエール・ブルー社で運用されました。博物館に展示されているブレゲー19T・R 「ポワン・タンデロガシオン」と並べて見ると、おぉ、三色旗ではないですか!



 固定脚のスパッツにもセンスを感じます。



 キャビンから垂直尾翼にかけてのラインは優美ですが、尾輪のスパッツはプラモ工作ではよく折ってしまうので、「凝り過ぎ」と私は断定します。






 (おまけ)
 ル・ブルジェ博物館の展示機で目を惹くコードロンの機体に、C.714Rがあります。この機体は同社製作のCR.714戦闘機の親族にあたる速度記録挑戦機で、900馬力のルノー12Rを搭載しています。
一方CR.714は450馬力のルノーRo1です。

 Caudron C.714R No01
 ル・ブルジェ航空宇宙博物館にて      2016年8月撮影


 ややこしい話になりますが、ル・ブルジェ航空宇宙博物館では、
フィンランドに残っていたCR.714戦闘機の胴体もレストア中で、
HPで公開しています。尚フィンランドのLahti-Vesivehmaa 空港
傍にあるフィンランド航空博物館協会収蔵ハンガーには、完全な
CR.714(CA-556)やブラックバーン・リポンⅡF(RI-140)が展示され
ていますが、残念ながら未見です。フィンランドに引き渡された
CR.714は僅か6機で、実戦は投入されませんでした。
 残存のCA-556号機は、一時ポーランド空軍博物館(クラコウ)
に展示されて話題になりました。展示は母国がドイツに敗れて、
フランスに亡命したポーランド空軍将兵による部隊編制時に、
CR.714が配備され、ドイツ空軍と交戦したからです。
 亡命ポーランド部隊は1940年6月8日から11日の間の3回の空戦に
CR.714を用い、Do17を4機、Me109を3機、Me110を5機撃墜、合計
12機撃墜と3機の撃墜未確認のスコアを上げました。その間に空戦
で9機、地上で9機の損失が出ています。






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