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特集 艦船

 日本海軍重巡洋艦 筑摩 (アオシマ 1/700)

  by 寿



 旧日本海軍重巡洋艦利根級筑摩です。艦隊の偵察能力を引き上げるべく後部甲板の主砲を廃して水上機の運用機数を増加させた個性的な艦で個人的には世界の巡洋艦の中では二番目に好きな艦艇です。ちなみに一番は英国のダイドー級で三番目はイタリアのザラ級。まぁ巡洋艦に限らず日本海軍限定なら松型駆逐艦が一番なのですけれどね(そこ、何でじゃとか言わない)。



 正直な話砲雷戦主体で闘うにしても任務部隊ごとに随伴の小型空母が用意出来ればわざわざ戦艦や巡洋艦に艦載機を用意する必要は無くって、それが出来なかった日本の国力が利根や筑摩を生んだと言えるかも。大戦中盤以降は各国とも戦艦や巡洋艦の艦載機は廃止の方向に走ってましたし、日本でも大和級ですら三番艦以降は最初から艦載機を搭載しない予定であったようです。利根級も末期は水上機を下ろして対空機銃を強化してますしね。



 ただその副産物でバイタルパートの短縮と装甲強化が出来たのはナイスでしょう。実はそこが利根クラスを大好きな一番の理由なんですわ。やっぱね軍艦は装甲無いと駄目ですよ。現用艦なんて攻撃力はピカ一だけど装甲無きに等しいもんなぁ。ミサイルの能力が装甲を無意味にしてしまい電子的物理的双方による間接防御とダメージコントロールに頼った方が有利と判断した結果なのだろうけれど、何とも寂しい限りであります。



 一方、大和級の装甲なら対艦ミサイルに耐えられるという話も聞くけれどどうなんだろ。いけたら凄いな。でも流石に現代の価格換算で一兆円越えの軍艦ってのは厳しいなんてもんじゃないしねぇ。アメリカじゃあるまいし間違いなく国が傾きますわ。(しかしその大和級大量建造で手持ちの戦艦郡を更新し八八艦隊を目論んでいた当時の日本っていったい・・・・)



世界の巡洋艦でも屈指の堅艦と評価された利根クラスも次級の伊吹ではふつーの主砲配置に戻されて改鈴谷とも言える姿になってます。未成艦だったけど。やっぱり現場じゃ後方射界が欲しかったのかな。前方に主砲を集中配置したリシュリュー級も四番艦ガスコーニュじゃ後方に主砲塔一基移してるしね。未成艦だったけど。前方集中ってのが男らしくてかっちょええんだけどな「後ろは振り返らない」って感じで。
 そうか不評だったのか、この割り切りが良かったのに残念無念であります。



PS:ちなみにヤマシタホビーから松型駆逐艦「竹」が発売予定となりました。素直に嬉しい!この勢いで英国の軽巡とかぺなぺな装甲でブリキ細工と揶揄されたフランスの巡洋艦とか出ませんかね?無理かなやっぱ(アオシマなら英国方面やってくれそうな気もするけれど)。

製作の詳細

(写真1)箱から出すときにストレートフロムボックスでいくと決めた。いじるつもりが無いのなら話は早い、ただ接着するだけの簡単なお仕事です。舷側のラインが気に入らないとか甲板のシアー角が図面と違うとか言い出したら際限なくってドツボにはまっちゃう。気にしないから気にならな~い。

(写真2)それでもブルワークを薄く削っちゃったりしたのはちょっとした出来心。これくらいならストレートの範疇じゃ。そうだよね?


(写真3)取り敢えず下塗りで軍艦色をぷーと吹いとく。うーんこんな色合いかぁ。港でホンモノの二次大戦中の軍艦を見た祖母が「真っ黒だった」と言ってたのも納得じゃ。確かにこれは黒いわ。

(写真4)べた塗りは完了したけれど何かマストが太くて気に入らない。最初は無視するつもりだったけれどどーしても気になって伸ばしランナーで作り直すことに。


(写真5)クレーンビームも気になってプラ板で作り直し。全くこれのどこがストレートなんだか。予定は未定であって決定ではない、とか言ってみたりする。意志薄弱じゃのう。

(写真6)なんだかんだで色も塗り終えてトドメのスミ入れ。今回は極薄のフラットブラックで決めてみました。最初は茶色だったんだけれどな~んかパンチ力足りない感じで二度目のスミ入れであります。


(写真7)という訳で完成、な訳ですが実は二度目のスミ入れをする前と後では14年ほど時間が経っております。何のことはない未完成のまま戸棚の中で放置されておった訳ですね。今回発見するまで作った本人も完璧に忘れておりましたよ。
 ホントは今回の特集に合わせて新規のキットを作りかけて居た訳ですが急遽変更。筑摩の再臨と相成りました。ワタクシめのお手つき放置プレイキットは数有れど流石に14年は最古参。ひょっとすると忘れているだけでまだ更に古いご老体がいらっしゃるのかも。恐ろしい話じゃ。

(写真8)利根クラス最大のチャームポイント後部甲板でありますがカタパルト搭載軌条まで登る坂道の部分はオランダ坂と言われていたとかいなかったとか。運用上の支障があったようですがなんで航空重巡改装後の最上みたいに全面一体型の甲板にしなかったのかな~。甲板低いんで航空機が波に洗われたりしたらしいし。もしかすると艦の重心が上がって復元力が低下するのを嫌ったのかもしんない。
 ちなみに設計段階で後部甲板にもう一基12.7センチ連装高角砲を設置する計画もあったようですがクレーンやマストが射角を制限するという理由で取り止めになったそうです。



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