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特集 メッサーシュミット

   メッサーシュミットMe262A(ニチモ・マルサン)

  by 小山新一



〔実機について〕

  ドイツの敗色が濃くなった1943年の11月、一機の試作機がヒトラー総統の前でデモ飛行をおこなった。この航空機こそが、世界に先駆けて完成した、ジェットエンジン装備のMe262(V1)であった。その高速(水平速度850㎞/h・高度3000㎞)に狂喜したヒトラーは、本機を爆撃機にするべく命令する。このことで戦闘機型の就役が半年ほど遅れたというが、本機の登場は連合国側に大きな衝撃であった。
 B17やB24,あるいはランカスターなどの四発爆撃機の護衛にP51を配し、航空優位を確信していた指導者たちを、本機の出現はうろたえさせるに十分であった。連合国側に幸いだったのは、ドイツの軍需工場の生産力が落ちていたことだ。空襲の効果があがっていたのである。加えて、派生型を作り過ぎたこともある。ジェット機への慣熟のために、複座練習機は必須であったろうが、これをもとに夜戦を作ったりしたのは、技術スタッフの労力と資材のムダづかいであった。「選択と集中」のセオリーにのっとり、複座練習機のほかは、単座戦闘機のみに絞るべきであった。

〔キットについて〕
 1/48で最良の選択はタミヤのキットであろう。そのタミヤの未組のキットも所有しながら、古いニチ・モのキットを作った。パーツが少なく組みし易しとみて始めたが、古いキットゆえの合いの悪さには手こずらされた。
 ご存じの通り、オリジナルはアメリカのリンドバーグ社製で、マルサンがコピーし、マルサンなきあとニチモが金型を受け継いだものだ。リンドバーグのキットは所持しておらず、オリジナルをしげしげとながめた記憶もない。オリジナルとの比較はしたがって今回はなしである。ニチモ版について、私の記憶が正しければ、マルサンから受け継いだときニチモは、キャノピーのパーツを新規に作りなおしている。3分割で、中央が可動だったものを廃し、ワン・ピースにしたのである。可動にともなうガタがなくなったが、形状がふくらみ過ぎの感がある。ウインド・シールド中央も、実機は長方形なのに台形になっている。と、指摘しながら修正はしていない(枠を塗るときに長方形に近くはした)。他の部分も、このウインド・シールドへの対応同様の方針で進める。隙間や段差は埋めてならしたりしたが、ほぼキットをストレートに作り、仕上げている。 


2 組み立て途中(ニチモ)


 迷彩は後期のグレイ系で、シリアルなど、考証が十分とは言えない。大戦後期の混乱のさなか、あってもおかしくないレベルでまとめたつもりである。デカールはニチモ添付のものと、タミヤのキット添付のもののよせあつめだ。他の塗装はみな筆塗り、手描きである。
 完成してみると、1960年代のキットと思えぬほど、立派にMe262にみえて嬉しい。20年ほど前に作った同スケールのトライマスター製Me262も掲載しておきたい。こちらは脚庫なぞにふんだんにエッチング・パーツが使われている(作りにくかった!)。発売当初は「いささか細身」と評されたMe262である。
 けん引用のケッテン・クラートは、タミヤのMe262に入っていたものを作ったもの。


3 右側面(ニチモ)


4 キャノピー付近のアップ(ニチモ)


5 右側面を後方から(ニチモ)


6 ニチモのMe262とケッテン・クラート


7 左ニチモ 右トライマスター


8 トライマスターのMe262



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