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  MIG-21PF フィッシュベッド (レベル 1/48)

  by 加藤 寛之



 国内でタカラがレベル社製品を販売したころは、レベル社の飛行機プラモの品質が下がった時期だった。今回のミグ21は、ちょうどそのころの製品。パーツを見ただけで、難アリと分る。“じゃあ、何で作ったんだよ”となるが、プラモデルは作るものなのである。

  コックピットは当時としても簡素で、凹型の床板に椅子と操縦悍、計器盤を付けるだけ。サイドコンソールにほぼモールドはなく、計器盤も実感に乏しい。椅子は溶けたような造形だ。胴体に合わせてみると、椅子と計器盤の位置が怪しい。計器盤は胴体側に接着し、椅子は背部を加工して高さを変更した。機首のショックコーンと排気関係の部品は胴体を組んだあとで入れられるように加工した。錘もあとで前空から入れられるので、この加工は便利。ショックコーンはヘナヘナだったので、削ってきれいな形にした・・・と、そこで驚いた。胴体パーツの先端はリング状のパーツをつけて形を整えるのだろうと思っていたのでそのパーツを探したが、ない。組図で確かめるとそうでなくて、胴体パーツ先端が、そのものだった。当然、左右でずれているし、そもそも厚みが1mmくらいある。先端に向かっての僅かな絞りもない。これは酷い。先端を削って揃え、先端内側を軽く整え、外周は少し細くなるように削り込む。後端は別パーツだが、タップリの厚みと甘いエッジで、これも整える。

胴体背部の膨らみは別パーツ。この辺りの構成をみると、風防~背部~垂直尾翼が別パーツなので、バリエーション展開できるキット設計になっている・・・ために、胴体と合わずガタガタ。実機の背部も後載せ感はあるが、そういうレベルではない。出来るだけの擦りあわせをして、瞬間接着剤を数回流し込んで整形した。パーツの前後長もミリ単位で足りないところがあり、これはプラ板を挟んで整形した。



 主翼の出来もイケナイ。全体のモールドの甘さが原因でモヤッとしており、前縁の厚みや丸め方のテキトウさ、後縁のタップリとした厚みなど、どうにもならない。翼端はこれらのマズさが集積して、ジェット機とは思えない形になっている。これらは、上から見てマアマアの見え方になるように削って処理する。胴体との接着も、それなりの削りあわせが必要。
水平尾翼、垂直尾翼は1枚モノで、ともにそれらしく整える。

キットの風防は可動式だけれども、そういう問題ではない。胴体とまったく合わない。これは開状態にしてごまかす。開閉選択式のエアブレーキも、ガタを開状態にしてごまかす。
脚関係は造形の甘さよりも、取り付け部分に配慮がない。“もっと深く差し込めればいいのに”“基部を四角にすればいいのに”等々・・・何とかする。タイヤも金属製のホイールと繋がっちゃっているようで、別なものの感じがない。下面で見えないからイイけど。
機首のピトー管はパーツが折れていたので、熱で伸ばしたランナーを付けておいた。ちょっと短かったが、これでいいことにした。



 塗装。私はソ連の銀色がミグっぽくて好き。でも、指定塗装にない。そこで迷彩塗装にした。ソ連崩壊後、塗装がボロボロのミグが各国に見られた。その印象があるので、汚い塗装にしてみた。“ああ、こんな感じだったなぁ”にはなったが、汚くて“やめればよかったな”とも思っている。デカールは使用の限界を超えていたものの、使ってしまった。裂け目やちぎれは、色を塗って補正した。これはまあ、何十年もたって今ごろ作る私が悪い。

ハセガワの古いミグ21は、寸法もヘンだし似てもいないが、プラモデルとしてちゃんとしている。頑張って努力して作り上げられたキットは、拙いかもしれないけれども、立派なものに出来上がる。レベルのこのキットはどうなのだろうか。


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