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特集 レシプロ

 Piasecki HUP-2 (AMP 1/48)

by 大山 盛幹



 今回のキット1/48 Piasecki HUP-1/HUP-2は2020年にAMPより発売されたもので、同時にデカール替えとパーツ追加で水平尾翼と傾斜した垂直尾翼のついたHUP-1も発売されていました。1/48のPiasecki HUPのキットとしては最新のもので、過去には、Aurora やBattle Axeからも発売されていました。AMPはウクライナのメーカーのため、最近の状況を鑑みると、これからも安定して入荷するかの不安があります。



  さて、実機のHUPは1945年に艦船から発艦できる小型の汎用・救難ヘリコプターを求めたアメリカ海軍の要求に対して、Piasecki社(後のBoeing Vertol社)やSikorsky社が競作した結果、Piasecki社が試作した星形エンジン単発のタンデムローター式汎用ヘリコプターのXJHP-1(社内名称PV-14)が採用されHUP-1として生産されることになりました。HUPのローターは艦内に格納のため折り畳みができる直径11mのローターでした。この比較的小さなローターにより折り畳まずとも空母のエレベーターに載せることが可能でした。HUP-1は525 hpの1基のコンチネンタルR-975-34星形エンジンを搭載、HUP-2以降の型では550 hpに出力アップしたR-975-42またはR-975-46A星形エンジンに換装しています。



  通常、救助用ホイストは、ドア付近の機内外に装備されていますが、 このヘリコプターのそれは副操縦席座席後のキャビン天井に装備されており、これを使用する際は、副操縦座席を折り畳み、座席直後の床を開口して、救助者を吊り上げました。
HUPは、アメリカ陸軍、アメリカ海軍、カナダ海軍そしてフランス海軍で各型が運用されました。



 キットは、最近のキットでもあり、Aurora やBattle Axeのキットよりもエンジン、コクピットもキチンと再現されており、エッチングパーツ、マスクシートも付属しています。
さて、製作上の注意点ですが、パーツのゲートが大きくて、パーツは細かいものが多くかつ非常に細く折れやすく、パーツを切り離す際には細心の注意が必要です。例えば、操縦桿は0.3㎜程度の太さしかなく見た目も貧弱で結果的には折ってしまい、0.7㎜の真鍮線で置き換えました。また、パーツ間の精度が悪く、ほとんどのパーツ毎の摺り合わせが必須です。特に4枚の隔壁は幅が広く、そのままでは左右胴体パーツを接着する際に隙間を生じますので、削り込む必要があります。胴体は、隔壁、キャビン床・天井パーツを組み込むためガッチリと仕上がりますが、取り付け位置が明確でなく、現物合わせで接着します。現物合わせが必要なのはキャビン床、隔壁を接着後、キャビン後部座席も同様です。このキットで驚かされたことは、今回製作したキットだけかもしれませんが、4枚とも隔壁の幅を調整したにも関わらず、左右胴体パーツを接着すると機首下面に1㎜程度の隙間を生じ、かつ風防幅が隙間のできた状態で胴体とピッタリということでした。当然、ここはプラ板を利用して埋めておきます。



  次に、後部パイロンの頂部形状が実機と異なっていますので、実機を参考に後部パイロンのローター取付け部の前後をなだらかな傾斜となるように削り込みます、これを行うことで添付作例写真の修正前と修正後から後部パイロンの雰囲気は随分変ったことが判ると思います。ただ、後部はなだらかに削るだけでなく、ローター取付け部直後が窪んでいますのでこの部分を埋めておくことが必要です(DMold Modelworks より後部パイロン頂部のレジンパーツが発売されています)。



  もう一つ注意点を。ローターは6枚の同じパーツですので、前後のローターでは、上下逆にセットし、たわみ具合も逆にすることが必要です。インストラクションシートでは第21工程の図で図示されているだけですので注意が必要です(因みに、回転方向は、上から見て前部ローターが時計回り、後部ローターが反時計回りです)。



  細部については、最近のキットですのでほとんどパーツはセットされていますが、HUP-3用のパーツ等不要パーツがありますので注意が必要です。インストラクションシート第23工程のC20、F12パーツは作例の場合、不要でした。ブレーキパイプ、シートベルトの工作は当然として、真鍮線、プラ板やランナーを使用して付加工作を行いました。また、キット付属のエッチングパーツの一部をプラ板やプラペーパーに置き換えました。 



 付加工作は、
①計器盤にモールド追加、
⓶操縦席座席座面にクッション追加、
③キャビン天井に救助用ホイストを設置、
④キャビン左側壁面に救助用ホイストの電源、コード及び操作盤の設置、
⑤キャビン左側壁面の窓の直前に救命ボート、救急箱を設置、
⑥キャビン右側壁面に雑嚢、消火器の設置、
⑦胴体下面の救助口扉が一枚板のため厚みの追加、
⑧キャビン後部の座席座面をエッチングからプラペーパーに交換、
⑨前部パイロンのモールドが貧弱でしたのでモールド追加、
⑩後部パイロン上部空気取入口の仕切り板の追加、
⑪機首下面のピトー管の追加(キットのパーツには含まれていません)、
⑫主脚基部(ドア、窓の直後)のディテールアップ、
⑬胴体左側の燃料給油口の追加、
⑭エンジン室及びエンジンカバーに内部構造補強材の追加、
⑮胴体左側窓の窓枠、後部パイロン空気取り入れ口枠の追加、
⑯足掛、手掛を0.3㎜の真鍮線に置き換え、
⑰救助口直後のライト(パーツ№C23)にWaveのクリアレンズの埋め込み、
⑱プラペーパーによる一部外板の追加 等です。



 キットのデカールは、アメリカ陸軍2種、アメリカ海軍1種の上質なものがセットされ、塗装はアメリカ陸軍はオリーブドラブ、アメリカ海軍はイエローの単色塗装が指定されています。作例は派手な塗装として、エンジングレーとブライトレッドの第1ヘリコプター対潜飛行隊(HU-1)所属機を選択しました(Monogram 社.のThe Official Monogram US Navy & Marine Corps Aircraft Color Guide Vol.3(1991年)の173頁にカラー図が掲載されています)。HUP用のデカールはCaracal Modelsから№48207が発売されていますが、今回は国籍マークをMicro Scale、国籍マーク以外はBattle Axeを使用しました。 



 資料としては、ネットの写真がほとんどで、モノグラフは出版されておらず、前述Monogram 社.の「The Official Monogram US Navy & Marine Corps Aircraft Color Guide Vol.3(1991年)」、Pen & Sword Aviation 社の「Images of War US Military Helicopters(2017年)」に数枚の写真があります。一番参考になったのはReplic№180 2006年8月号で、Battle Axeの作例と共に8頁にわたって50数枚の写真が掲載されています。 



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