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特集 SF・アニメロボ

零式 AV-X0 “機動警察パトレイバー the Movie”(海洋堂 1/35 他) 

by 五六式(TYPE-56)



 劇場版 機動警察パトレイバー に登場する零式を作りました。試作機で,アニメロボで,ゼロという,これほど5月号にふさわしいアイテムは無いでしょう。第一特集でも,第二特集でも,第三特集でも,どんと来いです。
 というわけで,海洋堂のソフビキットを倉庫の中で3日間捜索・・・散々探したあげく,一番手前の棚にあって拍子抜けしたり,部品の表面に黄ばみが出ていて絶望したり・・・,作業に入るまでに結構苦労しました。←マックスファクトリーの新キットを作れば良かったのに・・・。
 ただ,部品の表面の黄ばみは,離型剤だったようでマジックリンのキッチン用を吹き付けるとあっけなく溶け落ちていきました。

<実機について>


 産業用に開発された歩行するための脚と作業用のマニピュレーターを備えたロボットが,1990年代に普及し,それらをレイバーと総称した。ちなみに,レイバーは,法規上,ブルドーザーのような特殊車両に分類され,運転するには,レイバーの運転に対応した免許が必要である。
 レイバーは,人に近い動作が可能で,この特性を悪用した犯罪が次第に増加,これらに対処するため,警察も,それらに対応するべくレイバーを導入,特車二課を創設した。
 警察用レイバー(パトレイバー)は,性能的に民生用のレイバーを凌ぐことが求められたが,それが実現するのは,シノハラAV-98の実用化を待たねばならなかった。AV-98は,搭乗者が機体の経験を蓄積させることにより,複雑な動作ができるようになる(リボン結びすら可能になった)高性能機であったが,汎用レイバーの進歩も日進月歩で,運用開始直後からすでにその性能の陳腐化が始まっていた。
 零式 AV-X0は,AV-98の後継機として更なる性能向上を実現するべく開発されたAV-0シリーズの原型機で,最新OSの搭載や機体構造の強化により格闘戦性能が向上している。本機は,ロールアウト後,OSに故意に仕組まれたバグにより暴走,AV-98・222号機を大破させた後,AV-98・221号機とその搭乗者により破壊されている。

<キットについて>
 零式 AV-X0は,比較的キットに恵まれており,劇場版パトレイバーが封切りされた当時リリースされたバンダイ版や,昨年リリースされた,MODELOID版の1/60スケールキット以外にもいくつかのキットがあります。



  上段左より 海洋堂1/35(ソフトビニール) ・バンダイ1/60
下段左より コトブキヤ NON ・MODELOID 1/60

 今回は,手持ちのストックより海洋堂1/35(ソフトビニール1990年頃リリース),海洋堂NON(ソフトビニール1990年頃リリース),コトブキヤ NON (インジェクション2010頃リリース )を製作しました。


 ① 海洋堂1/35


   (1989年に”機動警察パトレイバー the Movie”の公開に合わせて海洋堂からリリースされた一連のソフトビニール製のキットの一つです。海洋堂は,従来,レジンキットを多く製造・販売していましたが,そのころ,ソフトビニール製のキットの製造・販売に着手,それまでのレジンキットの1/3から1/5の価格を実現しました。
 原型は,ロボットの造形を得意とする田熊勝夫氏。ソフトビニールキット特有の,間着という部品の接合法により,若干のポーズ変更が可能です。


② 海洋堂NON


 ①と同時期にリリースされたディフォルメ版。価格も¥1000位で廉価版という位置づけでした。メーカーは,組み立てが簡単と言っていましたが,さすがに小学生では無理じゃろ。(パトライトの部品は,元来は,ソフビ製ですが,1個紛失してしまったので透明レジンで複製したものを仮に置いています。) 


③ コトブキヤ NON


 成形色で色分けをしており(一部塗装済み)塗装を必要としないスナップフィットキット。マーキングは,タンポ印刷されていますが,全塗装するユーザーのためにデカールも付属しています。ボールジョイントにより各部が可動します。

<製作 海洋堂編>
 ソフトビニールキットの組み立ての手順は,レジンキットともプラキットとも若干異なっています。
1 成型時にできる湯口を切り離し,部品の接合面や接着面を整形します。

     

2 中性洗剤などで部品表面の離型剤を落とし,更に熱湯に漬けて部品のゆがみを取ります。

     
 ところどころに樹脂の周りを良くするために突起が設けられていることがあります。根気よく見つけて切除し,その跡を整形しておきます。

3 1と2の作業を繰り返してきちんと組み上げられる状態にした後,パテで部品表面の気泡や接続面の段差をなくしていきます。この時に,塗装や組み立ての手順を考えておきます。

4 塗装前に接着しておいた方が良い部品を瞬間接着剤で接着します。

5 部品にプライマーサーフェイサーをスプレーして換装後,表面をチェックし塗装面を整えます。

6 これ以降は,一般のプラモデルと同じように組み立て塗装を進めます。

※ 部品のバリが切りにくいときは,お湯につけて温めると切りやすくなります。



 ※ 間着は,部品を温めると簡単ですが,塗装をしてしまうと,この手が使えなくなります(塗装面が傷むので)。しかし,写真のように切り込みを入れると,温めなくても部品が差し込めます。ただ,接続の強度は落ちるので経験と注意が必要です。また,受け手側の穴は,自分で開けてやらなければならないことが多いです。

 ※ ディフォルメ版のパトライトは,自作部品は使わず,結局,コトブキヤのキットからもらってきました。サイズが少し小さいのですが,あまり違和感が無かったからです。・・・工業製品の精度は素晴らしい・・・。

<製作 コトブキヤ編>
     

  塗装前と塗装後。ぶっちゃけ,ぱっと見の印象は,変わりません・・・涙・・・。


バイザーの部品は,説明書の手順に従って組み込みましょう。後はめでいけると思ったらあっさり折れました・・・涙・・・。

 購入当時,仮組みしてみたらこうなってしまって,バイザーの部品のためだけにもう1個キットを買いました。もったいないので,余った部品で暴走時の頭部を作って頭部ごと差し替えられるようにしました。五六式は,同じ零式のキットを2個も作らないよ。だって,実機は1機しか存在しないんだから。余ったパトライトの部品は,海洋堂のキットのために流用されました。オプションのハンドパーツは,いつか,何かのために使えるでしょう。めでたし,めでたし。

<完成>


・ 海洋堂1/35


 海洋堂のキットは,写真で見るより実物を見た方がその良さを実感できることが多いと思います。



  間着により,若干のポーズ変更が可能です。実物は,もっとかっこいいんだけれど,お伝えできないのがもどかしい・・・。

・ 海洋堂NON


 零式なのに,太い。


 レイバーというより,むしろ,出渕デザインの重MSだね。

・ コトブキヤ NON

 細身で頭だけ大きいような印象です。この手,一発成型なのですよ・・・汗・・・。


 ただいま,暴走中。

 ・ おまけ みんなでしゅぎょうちゅう


 1/35のキットの右手は,貫手の状態で成型されていますが,見ていると,何だか気持ちが落ち着かなくなるので,切り込みを入れて少しだけ親指が開いた状態にしています。


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