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特集 プラモデル温故知新

  ノースアメリカン T28トロージャン(モノグラム 1/48)

by 小山新一


(実機について)

 ノースアメリカン社が、自社製練習機T6テキサンの後継として設計、製造した中間練習機である。初飛行は1949年だから、大戦後である。ジェット機に移行することを考え、テキサンと異なり降着装置が前輪式になっている。
 T28の機体ラインに、前作T6の面影は殆どない。優雅なT28のラインは、ノースアメリカンが戦時に作った傑作機、p51ムスタングのそれを濃厚に受け継いでいるといっていい。性能面でもT6テキサンをはるかにしのぎ、B型の最高速度は何と550㎞時ほどにも達する。これはわが零戦52型のそれに匹敵する。
 この性能を引き出す動力がライカミング・ライトR1820系の空冷エンジンで、1400馬力を出す。驚くのはこのエンジンの気筒数だ。星型空冷9気筒、単列なのである。零戦に搭載された栄エンジンが、空冷二重星型14気筒で何とか1200馬力をひねり出しているのと好対照といえるかも知れない。アメリカの工業技術の高さを思い知らされる気がする。
 さてトロージャン(Trojan)とはギリシャ時代のトロイア人をさす語だが、練習機になぜこの名称をあてたのであろう。辞書を引くと、work like a Trojan(一生懸命に働く)の用例がある。ヒヨッコ練習生が教えられたあれこれを、必死にこなそうとする一生懸命さがこの呼称にはこめられているのだろう。ちなみにT6のテキサンはテキサス人で、こちらは単にT6の製造工場がテキサスにあったことにちなんでの命名らしい。

ボックス


缶スプレー(オレンジ・イエロー)を吹く


機首のアップ


(キットについて)

 キットはモノグラムの初期の傑作の一つで、可動に重点を置いた作品だ。後部風防がスライドして開き、主・前脚が引き込み可である。
主翼下面パーツの内面に「1959」の刻印がある。昭和34年に、この高品質のモデルを市場に送り出していたのである。キャノピーの透明度の高さ、可動部の確実さ、フィギュアの出来のよさなど、当時の国産の飛行機プラモデルをはるかにしのぐ出来であった。しかしながら、その名門モノグラムがレベルに吸収されて久しい。
 ボックスにはモノグラムの商標ロゴがあるが、SSPのシールもどきに、しっかり「レベル・モノグラム」と記してある。SSPは、selected subject program の略で、「精選復活シリーズ」ぐらいの意味か。

(制作)

  今ふうに修正したりせず、ほぼ素組みで作った。可動風防の分厚さも気にせず、裏側を黒く塗ったのみ。着座姿勢のパイロットは前席(訓練生)に乗せる指定だが、後席(教官)に乗せた。空の座席が貧弱なので、こちらを目立たない前席(風防が開かない)に取り付けたのだ。シートベルトらしきものを、めんどくさかったがつけた。
 グリーンの帯用のデカールは、綺麗にはれるか心配だったが、使ってみた。あちこちはがれたりしたが、塗装でタッチアップした。
 かくて完成である。工作、塗装で不満多々だがなんとかまとめることを得た。

(温故知新)
 本文にも記したが、確かな可動部と出来のいいフィギュアで完成したモデルが映える。モノグラムが模型界をリードしていたこの時期の製品のクオリティと、モデラーに提供しているサービスはもう一度見習われていい。


  左側面(後方から)


右側面(後方から)


右側面(前方から)



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