Home  >   Patch Work Harrier (Hasegawa 1/48 GR Mk.7)> 特集ハセガワ48>2022年8月号

特集 ハセガワ48

 Patch Work Harrier
(Hasegawa 1/48 Harrier GR Mk.7 ”Royal Air Force”)

by 大山 盛幹



 このHarrier GR Mk.7のキットは、Hasegawaから先に発売されていたAV-8B HarrierⅡの機首パーツを差し替えて2004年に発売されたもので、その後GR.5やGR.9のバリエーションも発売されているだけでなく、RevellやEdualdからもOEM商品として発売されています。
 1960年はじめに登場した世界初のV/STOL攻撃機Harrierはイギリス空軍だけでなく、アメリカ海兵隊に上陸支援戦闘機AV-8Aとして採用されました。しかしながら、ペイロードと航続距離の不足の問題が付きまとい、エンジン能力の向上や主翼の大型化を図った発展型としてマクドネル・ダグラス(MDC; 現ボーイング)社でAV-16(大昔、航空ジャーナルの表紙に、AV-16と書かれた白と赤の機体が取り上げられていました)が計画されましたが中止となり、改めてAV-8B HarrierⅡとして開発されることになりました。 



 イギリスの第2世代Harrierは、アメリカのHarrierⅡを元にして、その開発にも参画していたBAe社がほぼ同様の設計で細部のみを改訂した機体をイギリス空軍の攻撃機とした派生型であり、アメリカ海兵隊のAV-8Bとは機首形状が異なり、また、アウトリガー前方に主翼パイロンが増設され、片翼に4ヵ所となっています。型式としてはAV-8Bにほぼ相当するGR.5、ナイトアタック仕様に相当するGR.7、GR.7の発展型のGR.9があります。後に、イギリス海軍からのSea Harrier FA2退役により編成されたJoint Force Harrier運用に伴ってGR.9がInvincible級空母でも運用されるようになりましたが、イギリス空軍からも2010年にHarrierは退役してしまいました。



 キットは、筋彫りはきれいで合わせもよく端正な印象ですが、主翼前縁の逆ガルの形状が強く感じます。
組み立ては、インストラクションに従っていけば、誰でもHarrierを完成させることができますが、追加工作や留意点等を次に纏めました。尚、今回の作例の細部工作にはサードパーティーのエッチングやジンパーツは使用せず、鉛板やプラ板を使用しました。

① パーツ№Z4は内側から、クリアーブルーの円を塗装します(The Crowood Press 社の「Harrier Inside and Out(2002年)」の26頁、28頁によくわかるアップ写真があります)。
② 機首、機尾、翼端にあるブリードエア排出口パネルはアイアンで塗装します。
③ エアインテイク内は、前縁が上面色、それ以外は白が基本ですが、内側壁面の中央部に上面色で帯状に塗装された機体があります。



④ パーツ№C7は給油プルーブを展張状態とするために、パーツより給油プルーブを切り離し、真鍮パイプを組み合わせてプルーブを、支柱をプラ板から作り、真鍮パイプの先端に先ほど切り離したキットの先端部分を接着します。
⑤ パーツ№W4のアウトリガーの後側に円盤がモールドされていますが、実機ではこれはリング状ですので、ピンバイスで開口してリング状に加工します(The Crowood Press 社の「Harrier Inside and Out(2002年)」の43頁によくわかるアップ写真があります)。



⑥ このキットの最大の難関は、キャノピーの内側にデカールを貼ることです。このデカールは非常時にキャノピーを破壊する火薬のラインで、1/32のトランペッターのキットにも含まれていない優れ物です。2パーツになった非常に細いデカールですので、私も貼る時に破断してしまいましたし、2つのデカールを繋がっているように貼るには細心の注意が必要です。



⑦ 兵装として、翼下パインに、GRU-12 PavewayⅣ、LAU5003D/A-1 Pod、 AIM-9L Sidewinderを、胴体下には25㎜Aden Canon Podを搭載してみました。しかしながら、GRU-12 PavewayⅣ搭載時には、25㎜Aden Canon Podでなく、胴体下右側にはAdvanced Targeting Podを搭載し、左側はStrakeとすることに完成後に気付きました。
⑧ 胴体上面のアンチコリジョンライトはクリアーグリーンで塗装します。一般的なクリアーレッドではないことに注意です(クリアーレッドやクリアーの機体も存在します)。



 塗装は、2010年Cottesmore基地 第1飛行隊所属機で、ダークシーグレー(BS381C:638)、ダークカムフラージュグレー(BS381C:629)、ミディアムシーグレー(BS381C:637)、の3色によるパッチワークのようなパネル毎の塗分けです。塗装4面図は、Double Ugly! Books社の「BAE Systems HarrierⅡ The Harrier GR.9 and T.12 in the 21st Century(2014年)」の240頁に掲載されております。マスキングが大変ですが、大半が直線での塗り分けですので、手間と時間はかかりますが、パネル毎にマスキングをして手を動かしていけば、思ったより簡単に完成させることができます。デカールは、ラウンデル、フィンフラッシュはキット付属の物を、部隊マークや機番号は手持ちのデカールを切り貼りして使用しました、



  今回、使用した資料としては、一番は前述のDouble Ugly! Books社の「BAE Systems HarrierⅡ The Harrier GR.9 and T.12 in the 21st Century (2014年)」で、240頁の大冊で機体各部のクローズアップ写真がこれでもかというくらい掲載されており、1/48の図面も付属しています。この本を補足するのがThe Crowood Press 社の「Harrier Inside and Out(2002年)」で、こちらの本はGR1からGR9、T10、T12までを対象としておりますが、Double Ugly! Books社の「BAE Systems HarrierⅡ(2014年)」とは異なるクローズアップが多く掲載されています。以上の2冊がメインでしたが、定番のSAM Publications社の「MDF Modelers Datafile №17 The BAe (Hawker Siddeley) RAF Harrier(2010年)」、Mortons Media Group「Aviation Classics Issue11 The Hawker Siddeley/BAe Systems/Boeing Harrier (2011年)」を参考にしました。 




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