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(Photo) ドルニエ Do28D

by  コルディッツ
博物館実機写真

 ドルニエ社はクラウディウス・ドルニエ(1884-1969)により1922年に設立されます。(1914年説もあります)大戦間にDo Jワール、Do X等の飛行艇製作で名を挙げ、Do17やDo24を開発・生産します。第二次世界大戦中はDo217、Do335の開発しますが、戦後はドイツの航空機製造が禁止されたため、解禁されるまででは海外を拠点としました。1954年の解禁後はDo27とDo28など小型STOL(短距離離着)機開発に成功し、その後はダッソー・ブレゲーとアルファジェットを共同開発する等、ドイツ航空機産業の復興に貢献しました。1985年にダイムラーベンツ航空機部門傘下に入りましたが、経営不振となり、1996年にアメリカのフェアチャイルド社と合併、フェアチャイルド・ドルニエ社となりました。しかし2001年のアメリカ同時多発テロ事件から派生した航空機需要低迷を受け、2002年に経営破綻しました。
ドルニエ社の航空機開発は終わりましたが、Do28は未だに現役で、後継機も日本でも飛行しています。そこで今回のドイツ機特集を借りて、Do28Dスカイサーバントの紹介させて頂きます。
 なおドルニエの研究の成果で、航空機が音速に接近すると、機体表面に発生する「孔食」の原因が衝撃波と判明、衝撃波で結石を破砕する技術が開発されます。ドルニエ社から独立した医療機器部門のドルニエメドテック社は、体外衝撃波結石破砕装置の大手メーカーで活動中です。医者から尿路結石の注意をされた身なので、他人事ではいられません。
※ 本稿は博物館の標示、「世界の軍用機図鑑」(コスミック出版)、「続飛べヒコーキ」(佐貫亦男 講談社)、ドルニエメドテック・ジャパン社HP、Wikipediaを参照しました。  


 Dornier Do27H-2 10293 テュルキエ陸軍航空隊所属

イスタンブール航空博物館にて     2019年2月撮影


   Do27は1955年に初飛行のSTOL(短距離離着陸)単発多用途機です。Do27の主翼と後部胴体をそのままに、双発にしたDo28が開発されました。そのためDo28初期(A型~C型)の胴体内部容積は、Do27と同じでした。


 Dornier Do28A-1 JA5115 ヒマラヤ(再掲)
 石川県立航空プラザ(小松市)にて   2016年7月撮影
 1963年の日本のネパール調査に使用されたので「ヒマラヤ」の愛称があります。その後北海道航空で運用された後、博物館入りしたため、北海道航空の塗装で展示されています。


  Dornier Do28D-2 59+20 ドイツ海軍航空隊所属  
ドイツ空軍博物館(ガトウ)にて   2014年8月撮影


 Do28Dは胴体を大型化、乗員2名と最大13名の乗客を乗せます。
 1966年に初飛行し、D型からスカイサーバントの愛称で呼ばれます。この愛称について佐貫亦男教授が「空の召使いの意味、 あまりエスプリに富んだ名前ではない」とバッサリ斬っているのが面白いです。(「続飛べヒコーキ」236頁 講談社)


   現在この機体はガトウにはないようです。同じ塗装の59+22機がノルドホルツの航空博物館に展示中との事です。 


  エンジンはライカミングIGSO-540-A1E レシプロで、 389hp 2基。最大速度323km/h、巡航速度306km/hとなっています。
 このエンジン設置方法を、佐貫亦男教授は「単発のDo27をあまり大変更せずに双発にしたためとしか考えられない」と書いています。(「続飛べヒコーキ」237頁 講談社)なるほどDo27~Do28A、B~Do28Dの展開は、小改造の積み重ねのように見えるかと。 

 Dornier Do28D-2 10022 テュルキエ陸軍航空隊所属
 イスタンブール航空博物館     2019年3月撮影 






 Dornier Do28D-2 10041 テュルキエ陸軍航空隊所属
ラフミ・コチ博物館(イスタンブール)にて 2019年3月撮影


こちらは全面オリーブドラブでした。



  ドルニエ社は層流翼(TNT翼)を開発し、これをDo28の既存の主翼と交換して、Do128としました。このDo128の胴体を大改造した機体がDo228になります。ターボプロップエンジンに換えて主翼に設置し、降着装置を固定式の尾輪式から、引き込み式の前輪式に変えています。胴体も大型化して乗客15名のE-1と、乗客19名のE-2を開発し、共に1981年に初飛行に成功します。
 地域コミューター航空事業に適合した機体で、1982年から民間航空路線に就航、日本でも日本エアコミューターが導入、1983年に就航しました。1998年にDo228の生産は終了し、その後の倒産で、Do228の権利はスイスのRUGAアビエーション社が引き継ぎ、コクピットの電子化やターボプロップエンジンへの転換、プロペラを5枚にする等の近代化を行い、Do228NGとして生産を開始しました。世界で最初にDo228NGを導入したのが、新中央航空でした。同社は調布飛行場と伊豆諸島に定期コミューター路線を運行し、運行機材はDo228とDo228NGです。 


フェアチャイルド・ドルニエDo228(奥) JA33CAと
RUGAアビエーション製造のドルニエDo228NG(手前)JA37CA
 調布飛行場(調布市、三鷹市、府中市)にて 2022年8月撮影  



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