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 (Photo) チャリオティア自走砲

by  コルディッツ
博物館実機写真
 冷戦を迎えた1950年代初頭、ドイツ駐留のイギリス陸軍ライン軍団に対ソ連戦の役割が与えられましたが、赤軍戦車に対抗できる英軍戦車は存在しませんでした。主力のコメット巡航戦車には赤軍戦車に対する優位性はなく、コンカラー重戦車の開発は遅延、センチュリオン中戦車の配備も遅れていました。そこで余剰在庫のクロムウェル巡航戦車に、20ポンド砲(83.4mm戦車砲砲)を備えた新型砲塔搭載する、対戦車戦車自走砲が開発されます。1951年に試作車が完成し、FV4101の型式番号が付与され、クロムウェル重対戦車砲と呼ばれ、後にチャリオティアと改称されます。
 そして1952年から442輌が改装されますが、その頃にはセンチュリオン戦車の生産と配備が順調に進み、イギリスでは国防義勇軍だけに配備されました。新型砲塔は狭くて車長兼砲手と装填手の2名しか乗れず、1956年には英軍から退役しています。また189輌はオーストリア、フィンランド、ヨルダン、レバノンに売却され、フィンランドではそのうちの1輌が、パロラ戦車博物館に展示されていましたので、ご紹介します。
※本稿は博物館の標示、「世界の戦車」(コスミック出版)、
Wikipediaを参照しました。  

Charioteer Mk.Ⅶ Model B Ps-251-25
 パロラ戦車博物館にて           2018年7月撮影


  次の写真は母体のクロムウェル巡航戦車ですが、車体は車載機銃を外して、八角形の装甲板で塞いだだけのようです、

Cromwell Ⅳ  T190003
戦車博物館(ボービントン)にて      2019年9月撮影


博物館の標示ではMkの記載はなく、76mm砲搭載とありました。
 展示車輌について、日本語WikipediaではMk.Ⅷとされ、英語版
ではMk.Ⅳになっていましたので、英語版を採用しました。  


砲塔は大型の六角形ですが、前面の装甲は38mm、側面は25.4mm
と薄く、主砲弾を25発しか携行できないことも退役を早めました。



  チャリオティアは1958年に3輌、1960年に35輌がフィンランドに
届き、訓練用途に1980年まで運用されました。チャリオティアの
退役により、1933年のヴィカース6t戦車導入から始まるフィン
ランド陸軍の英国戦車導入の歴史に幕が閉じました。
 後継戦車にはソ連製のT54/55が導入され、現在はレオパルト2に
なっていますので、暫くは英国戦車の導入はなさそうですね。


車体の後部にかなり変化が見られますが、イギリスでの改装か、
フィンランドでの改装か、分かりませんでした。済みません。






  砲塔の両サイドには発煙弾発射機が設置されています。






 20ポンド砲の砲身長は66.7口径です。そのためクロムウェルの
全長が6.35mなのに、チャリオティアは8.71mもあります。
 Model Bは20ポンド砲に排煙器が取付けられています。
 余談ですが、チャリオティアをネットで検索していたら、かつて
フジミ模型が1/144でチャリオティアのキットを出していたことを
知りました。全く記憶にはありませんが、当時の振興企業は冒険
していたなぁと感心しました。


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