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 (Photo) グラマン S-2 トラッカー

by  コルディッツ
博物館実機写真
 グラマンS-2は1952年に初飛行した、レシプロ双発の艦上対潜哨戒機で、米海軍の部隊配備は1954年に始まりました。当時の名称はS2Fでしたが、1962年の米軍の軍用機名称統一以降はS-2になっています。愛称はトラッカー(Traker)、意味は追跡者ですが、名前負けはしないだけの履歴を誇っています。
 総生産機は1,284機で、多くの西側諸国で運用された上、本機を母体にC-1輸送機トレーダー、E-1早期警戒機トレーサーが開発されていますので、西側諸国に欠かせない縁の下の力持ちです。
今回は西側諸国に配備された機体を紹介させて頂きます。

※本稿は博物館の標示と「第二次大戦後の軍用機」(小学館)、Wikipediaを参照しました。

  Grumman S-2A Tracker 2102/133051
 航空教育展示館(岡山、高雄近郊)にて  2018年12月撮影


 中華民国空軍は1967年に米海軍を退役したS-2Aを10機購入し、トラッカーの運用が始まりました。1976年にはS-2Aと入れ替えで 米海軍の中古機であるS-2EとS-2Gを購入し、運用しました。



  (上)操縦席上部のレドーム (下)右主翼にあるサーチライト



  エンジンはライトR-1820-82WA サイクロン 空冷9気筒星型。
出力は1,525hpで2基搭載し、最大速度461km/hで飛行しました。



 Grumman S2F-1(S-2A) Tracker MM136556/41-6 
イタリア航空軍事史博物館(Vigna di Valle)にて


  鹿屋基地博物館のトラッカーと同様に旧称のS2F-1で展示。
米軍が軍用機の名称統一をする前の1957年から導入しているためのようです。イタリア空軍は45機のS-2Aを運用し、1978年に退役になりました。 2017年12月撮影。


 主翼折り畳み部の断面。




  最近、博物館で流行の、当時の汚れたままの再現展示のようです。この角度から見ると、流石にグラマン、獰猛な雰囲気が漂っています。潜水艦にとっては天敵ですし。


 Grumman CP-121 Tracker 12187
 カナダ航空宇宙博物館(オタワ)にて   2004年8月撮影


  デ・ハビランド・カナダ社生産のカナダ海軍型で、1968年のカナダ3軍の統一後の名称がCP-121です。カナダ海軍は42機のCSF-1、57機のCSF-2の合計99機を運用し、57機のCSF-2のうち、43機がCSF-3に改装されました。この-1、-2、-3をCP-121としたので、写真の機体の型はリサーチ仕切れませんでした。
 なお頭のCは、デ・ハビランド・カナダ社生産を意味します。
-1はS-2Aに、-2はS-2Cに、-3はS-2Dに当ります。
 Grumman CS2F-2 (S-2C) Tracker 1577
 カナダ軍用機遺産博物館(マウントホープ、ハミルトン郊外)
 S-2Cは核機雷搭載用に爆弾庫左側を拡大した型です。
 2006年4月に撮影しました。



 Grumman US-2N 159V
アエロドーム(レイスタッド)にて     2007年7月撮影
 ネーデルランド海軍の使用機はS-2Nと呼ばれます。末尾のNはネーデルランドの頭文字からかと。頭にUが付くのは多用途機で、展示機はKLM航空整備士の訓練教材として使用されました。
 プロペラの先端がネーデルランド国旗の3色で塗り分けられているのが、楽しいです。




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