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特集 北欧

ミルスキ2 (スペシャルホビー 1/72)

  by 寿



 北欧と言われたらフィンランドを外す訳にはいかないでしょう。同国初の純国産戦闘機、ミルスキ2であります。ミルスキはフィンランド語で「嵐」の意味だそうで、英語圏で言えばハリケーンとかタイフーンとかになるのかな。  



 木金混合の機体で、スウェーデンが無断コピーしたツインワスプエンジンを同国から供給してもらって装備。戦闘機なんて作ったことの無い国が、試行錯誤の果てにようやく手にした血と汗と涙の結晶であります。 



 ちなみに何故ミルスキ1ではなく2が初なのかと言われれば、ミルスキ1は試作機なうえ、どーしよーもない欠陥機でして、降着機構は問題だらけだわ、翼の外板は接着不良で脱落するわ、安定性は悪いわで4機作って4機喪失。これを改良したのがミルスキ2ということだそうです。 



 なんちゅうか、別に1とか2とか番号振らなくてもいいんじゃね?不良箇所を是正しただけなんで単純にどっちも「ミルスキ」でいいぢゃん。試作機と量産機の違いでしょ、とか思うんですけれど初めて開発に成功した機体だからね。キチンとシリアル打って記録して置きたかったのかもしんない。 



 似たような馬力の空冷エンジン戦闘機にゼロ戦や隼やホーク(エンジンはまさにツインワスプ)があるけれど、同等なのは速度くらいかなぁ。鋼管フレームに翼は木製合板の貼り合せだから重量的にもすごく不利。しかも急降下制限速度ですらゼロに負けてるくらいだから、機体強度も推して知るべしです。操縦性は凄くいい、って評判らしいけれどフィンランド人のパイロットは凄腕ぞろいなので、鵜呑みにするのは危険な気がする。格上の性能差を技量で埋めて闘っていた人達だし。 



 控えめに見ても大戦末期に新規製産された戦闘機としては「ショボい」の一言です。でもコレは今まで練習機すらも作ってなかった(ライセンス品は作っていた)国が一から作ったヒコーキなのです。例えるなら静岡県が一人で戦闘機を計画して作るようなもの。むしろお見事と評して良いのではないでしょうか。 



 量産されたミルスキ2は「やっぱ対戦闘機戦にはアレだよね」ってことで、戦闘爆撃機として使うことになったようです。そして改良型のミルスキ3を製産し、次期戦闘機のピョレミルスキを1機作ったところで終戦。戦後は航空機の保有を六〇機に制限されて元の田舎空軍に戻るという道を歩むことになりました。

製作の詳細

(写真1)このところすっかり腕を上げ、安定感のある製品を出すスペシャルホビーです。
 いやぁ~あの箱を開けて唖然とした初期の頃とは雲泥の差だね。バキュームのキャノピーが無くなってインジェクションのキャノピーが当たり前になり、「だいたいこの辺にこんな感じで加工したパーツを着けて下さい」から「この位置にこのパーツを着けてね」的にパーツ精度も上がっているし、バリに埋もれてランナーだかパーツだか判別困難な部品が梱包されていることも無くなったので、かなり良質な部類のキットと言えましょう。
 そんな訳で張り切って参りましょうか。

(写真2) まぁ基本のパーツには何の不満も無いのですが、何で毎回々々機体内部の再現に気合いを入れちゃうかな。キャノピー閉めたら見えないってのに、エッチングてんこ盛りでパーツ増し増しなんてカンベンして下さい。簡易インジェクションのメーカーってそーゆー所が多いよね。
「機体内部に懲りたい」っていうユーザーが多いからそういうパーツ構成になるんだろうけれど、個人的には細部の再現はサードパーティーにお任せして、機体メーカーはシンプルなキットでの販売をお願いしたいものです。
 特にこのミルスキ2は鋼管フレームの木製機なので、機体内部の構成が超メンドクサイのよ。ナナニイはやっぱりサクッと作れる方が嬉しいなぁ。


(写真3) それでも機体内部さえ作ってしまえば、ヒコーキの形になるのはあっと言う間。パーツ精度も高いしインストの指示通りにパーツは合うし、削り込みの調整も要らないし、モールドは繊細だし、キャノピーにキズや曇りも無いし、足りなかったりダブってたりするパーツも無い。重箱の隅をつつけば色々あるけれど、それは野暮ってもんじゃね。面倒くさくはあるけれど、ここまでスラスラ組めるんだから優秀なキットですよ。

(写真4) 木製のペラなので今回はちょびっと木目を塗ってみました。実機も意外に木目が目立つしね。赤褐色塗った後にウッドブラウンをぺたぺた。


(写真5) 機体下面色を塗ったら上面の塗り分けであります。黒い部分をタイヤブラックで塗った後、日本陸軍機の緑色でばーっと下塗り。

(写真6) 濃松緑色で上塗りした後に、白っぽいグレーをちょびっと混ぜた同色でぷーっとエアブラシ。筆目をボカすだけなんで極薄で十分であります。


(写真7) 極薄のタイヤブラックを再度軽く吹いて、色味を整えてスミ入れしてデカール貼って小物を着けてトップコート吹いたら出来上がり。いやー、なんか今回はのんびり作っちゃったな。二週間で仕上げるつもりだったけれど、たっぷり一ヶ月使っちゃったもんね。
 プライベートに妙な仕事が割り込んできたってコトもあるけれど、集中力が持続しなくなったのが最大の原因ですな。なんせ四〇分集中したら二〇分は休憩しないとダメ。脳ミソが緊張に耐えられません。全くなんてこったい。若い頃は四、五時間ぶっ通しでやっても平気だったのになぁ。

(写真8)おまけ。パイロットは居ないけれどプロペラ大回転。風が吹いたらくるくる回ります(息を吹きかけるのも可)。やっぱペラが回ると嬉しいよねぇ。



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