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  特集 北欧

 FFVS J-22B (マリボックス 1/72)

by  コルディッツ
博物館実機写真

 スウェーデン最初の国産戦闘機FFVS J-22の存在を知ったのは、
約半世紀前にお小遣いで買った「第2次大戦戦闘機」(鶴書房)
でした。この本はイギリスの「世界の航空機ポケット百科事典
カラー版」シリーズの翻訳本で、WWⅡ中の戦闘機と練習機の合計
80機種を掲載しています。ただしスピットファイアとハリケーン
は1機種で2型式分紹介なので、厳密には78機種かと。
 カラー図版が見事で、たちまち虜になりました。長じて世界の
ヒコーキを拝観しようと思ったのは、この本が起源です。

 「第2次大戦戦闘機」36頁(鶴書房)


 隣がFw190A-4で、書籍後半にある解説文でも「ドイツのFw190を
ほうふつさせる」とあるので、Fw190のコピーではないにしろ、
かなり影響を受けた機体だと、当時は理解しました。



 記憶はおぼろげですが、FFVS J-22のプラモデルを見つけて購入
したのは1994年頃と思います。なぜならJ-22のボックスに残った
値札に「94-03 ¥1,600」とあるからです。以降、ずっと積みプラ
(罪プラ?)でした。今回の「北欧」特集を知り、ついにFFVS
J-22の成仏を謀ることにしました。
 ボックスアートの機体はスウェーデン空軍博物館に展示される
FFVS J-22Bで、何と「第2次大戦戦闘機」のカラー図の機体です。
しかしプラモデルと展示機は赤いスピナに白のスパイラル入り、
キャノピー後部上部に何か「計器」を載せていますが、本には
スパイラルも「計器」もありません。

 FFVS J-22B Red"L" 22280


  どちらが正しいのか悩んでいたら、プラモデルの「計器」を
カットの際に飛ばし、行方不明にしちゃいました。またかと衝撃
でしたが、実機の写真を見ると、「計器」を取付けていないJ-22
もあり、リカバリーできるかもしれません。そこでネット検索を
掛けたら「IPMS Stockholm」のサイトに行き着きました。ここに
「FFVS J22 in Detail」という英文記事があり、拙訳なので責任
は取れませんが、紛失した「計器」は、カメラガン(英文表記の
まま)用に突き出たペリスコープで、1945年から設置のようです。
となると「第2次大戦戦闘機」のカラー図とプラモデル、実機は
時代差ということで両立します。スピナの渦巻きの有無も時代差
ではないかと。





 かくてペリスコープなし、渦巻きなしで製作を始めました。
 キットは隙間が多く、エンジンカウルなど表現不足、風防枠は
よく分からず、主脚と2本の補助支柱の関係が不明瞭、塗装指示が
不足と、欠点は多いです。しかし全体的にはレベルファイター
シリーズにやや劣るも、フロッグより良好と採点しました。



 そしてデカールに取り掛かったのですが、何とデカールにミス
があり、スウェーデン空軍博物館展示機は作れませんでした。
 この点では本もプラモデルも実機も一致していますが、白地に
赤のLが機首と方向舵の合計4カ所に必要ですが、デカールに赤い
Lは2つしかありません。白地だけのLが2つ入っていますが、他の
塗装例で使うことはないので、多分赤の入れ忘れではないかと。



  止むを得ず、赤いPが4つある塗装に変更しました。30年前の
デカールでしたが、お湯に浸けるとすぐに台紙から外れ、接着力
も強力で、製造会社マリボックスは良い仕事をすると感心し、
製造国ポーランドへの好意も高まりました。



  以下はトリビアです。
 J-22AとBは武装が異なり、Aは13.2mm機関銃2挺と8mm機関銃2挺、
Bは13.2mm機関銃4挺になります。A、Bとも発動機はプラット&
ホイットニーTWC-3エンジン(1,065馬力)を、スウェーデンが
無断コピーした物です。プラモデル完成後にP-36にも似ていると
思いましたが、同じエンジン使用機なので、似て当然ですね。
 またキャノピーの開閉は、Fw190式ではなく、Bf109式でした。
 主脚主要装置を胴体に置き、垂直尾翼の形もBf109に似ている
ので、Bf109からインスパイアされた内容も大ではと愚考します。
※ 本稿は博物館の標示、「第2次大戦戦闘機」(鶴書房)、
IPMS Stockholmのサイトを参照しました。

 之にてマリボックス1/72 FFVS J-22は成仏です。 





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