Home > (Photo) Martinsyde F.4 Buzzard <博物館実機写真<2023年7月号

 

(Photo) Martinsyde F.4 Buzzard

by  コルディッツ
博物館実機写真

 マーチンサイド F.4は、第一次世界大戦末期に英国空軍に配備されましたが、しかし実戦は未体験の複葉単座戦闘機です。
 前代のF.3は1917年11月に初飛行し、最大速度229km/hを出して英国空軍に採用となりますが、エンジンのロールス・ロイス ファルコン V-12 が支障になります。ファルコンはブリストル F.2ファイターも搭載し、F.3には廻らないからです。そこで搭載のエンジンをイスパノ・スイザ 8Fbに換えたF.4が急遽開発され、1918年6月に初飛行します。高速性能を維持したまま優秀な性能を示し、1,450機が発注されましたが、57機を納品した時点で終戦になります。総生産数は370機(又は324機)に止まりました。
 固定武装はヴィッカース7.7mm機関銃2挺で、最大速度212km/h(別説有り)は、WWⅠの中で高速機と呼ぶに相応しい速度です。
 なお愛称のBuzzard はタカ科の属するノスリの意味です。
※ 本稿は博物館の標示、タングメア軍事航空博物館のサイト、「世界の軍用機図鑑」(コスミック出版)、Wikipediaを参照しました。  

 Martinsyde F.4 MA-24 2013年11月撮影
中央フィンランド空軍博物館(ティッカコスキ)にて


 戦後は英国空軍に少数機配備した外、フィンランドに15機、
スペインに30機(又は20機)、ソ連に41機が輸出されました。
 スペインのF.4のうち6機は1936年の内戦に参加、フィンランド
は1940年まで運用しています。そのためマーチンサイド F.4の
たぶん唯一の残存機はフィンランドに在ります。


 中央フィンランド空軍博物館は、意図していないでしょうが、
世界で唯一のコレクション(フォッカーD.21、B-239バッファロー、
ミルスキ等)が多いと分かっていたので、マーチンサイドF.4を
所蔵する唯一の博物館と知っても、驚きはなかったです。
 
以下は2019年8月撮影

 北欧らしくスキーを装備。この種の改装は手慣れているかと。







 博物館の標示では最大速度は海面上で190km/hとなっています。
 外見からも巨大なエンジンは、パワフルな印象です。
 イスパノ・スイザ 8Fbエンジン(300hp)は、この後イスパノ・
スイザ 12Yに発展して行きます。





 1918年初飛行の戦闘機を1940年まで運用するフィンランドの
倹約思考には頭が下がります。パルプと地下資源しか産業のない
貧乏国には高望みはできませんでした。しかし冬戦争と継続戦争
(第二次世界大戦)で教訓を得たフィンランドは、以降現実的な
国防政策を続け、現在はF-35を導入し、NATO加盟寸前まで変貌
しました。中学生の頃、航空情報誌に掲載された「森と湖と空」
を読み、フィンランドフリークになって、フィンランド空軍史
を追っていましたが、この1、2年の急激な変化に驚いています。
時代の転換期に入ったのかもしれませんね。



Home >(Photo) Martinsyde F.4 Buzzard <博物館実機写真<2023年7月号
Vol.179  2023 July.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                 editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」


プラモデル模型資料記事


TOTAL PAGE