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ユンカース JU88 (リンドバーグ 1/64)

by 小山新一



(実機について)
 番号が一つ若いJu87スツーカが、固定脚で鈍足だったのに比べ、引き込み脚・双発の本機は「戦闘機より速い爆撃機」としてデビューした。もっとも大戦中期ごろには、本機の速度の優位性はもはや失われていた。
 双発・小型、そしてそこそこ高速の機体は、各種用途への転換がやり易かったようで、本来の爆撃任務以外に、偵察機あるいは夜間戦闘機などに改造され使われた。



(模型について)
 60年代に開発、発売されたオールド・タイマーだが、まだ時折市場に顔をみせる。絶版にはなっていないようだ。
 約1/64 の大きさは、半端スケールと切り捨てられるのだが、1/72 と1/48の中間をねらったのであったろう。リンドバーグはこのスケールで、ハインケル111やB17などを発売している。
 「20世紀 飛行機プラモデル大全」(文春ネスコ)によれば、「リアルなポーズの機銃手、爆撃手などの搭乗員3名が付属する」とあるが、今の水準でみればさほどでもない。
 面白いのは、日本プラモデルの黎明期の大手、マルサン商店が本キットをコピーし、自社製品として売り出している点だ。珍しくないじゃないか、そういわれるほど、マルサンのラインナップには、海外メーカー製品のコピーが多いのだが、スケールを堂々と1/50と表示していた。1/48を1/50と表示するのは許容範囲だが、1/64を1/50シリーズに入れるのは無理が過ぎる。単発機と並べたとき、大きさがあまり違わぬ不自然さに、当時のモデラーは気づかなかったのであろうか。 

「リンドバーグ・オリジナルのインスト」


「迷彩途中の機体とパーツ」


 古いプラモ・ガイドの記述で指摘されるのは、「ナセル後端の形がおかしい」である。これは実機が脚柱を90度ひねって、タイヤが水平状態で引き込まれる点を無視したがゆえの欠点だろうと考えていた。タイヤが垂直のままだと、ナセル後端がフラットにならないからだ。ところが、作ってみるとキットの脚注は軸が2重になっていて、タイヤのついた中の軸が回転し、実機同様に引き込まれる構造になっていた。この機構を再現していながら、ナセル後端が薄く削がれた形になっていない、そういうことであろう。 



金型のいたみもあるのか、ナセルと主翼の合わせが悪く、苦労させられた。
 コクピット内は床板がない。ために機銃手は抱えた機銃ごと、宙づりの状態でキャノピーに接着せねばならず、工夫がいる。 



デカールが使えなかったので、マーキングは手描き。ハーケン・クロイツは省略した。
 出来あがってみると、悪くない印象である。Ju88であることを疑う人はいない、そうしたレベルだ。 





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