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4号駆逐戦車 L/48 (タミヤ 1/35)

  by Takafumi



 別項で取り上げた、4号駆逐戦車 L/70と同時進行で、作りかけのタミヤのL/48も完成させました。別項と併せてお読みいただければ幸いです。製作したのはL/70の製作記でも触れた、1970年代に発売された「1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.88」です。車幅が本来の寸法より少し広くて不正確であるといわれています。キットはL/48かL/70を選んで作れるということで、2種類の砲身が付属しています。本作は手元にあった、クリッパーモデルから発売されていたレジン製のL/48用の防盾と防盾関係の部品(防盾周囲の装甲板の面積が広いL/48初期仕様)を組み込み、L/48として製作しました。
 4号駆逐戦車は L/48、L/70、どちらも短い期間に外観の変遷を繰り返しており、「初期型」、「中期型」、「後期型」と明確に分類し難いですが、今回再現を試みた生産型はL/48のなかでも比較的初期に生産された型ですので、本項では便宜上「初期型」と記します。



 L/70を作った時と同様に、タミヤの新金型の4号戦車シリーズから、流用したい部品が含まれているランナーを購入しました。起動輪、誘導輪、上部支持転輪を4号戦車J型あるいはメーベルワーゲンFlak43搭載型から、履帯は 4号戦車H型(初期型) のものです。購入した部品に含まれているロードホイールとダンパーも使用した方が良いのですが、なるべくキットの部品を使いたかったのでキットのままです。余った部品は後日他の何かに使えるということで。スコップや消火器などの装備品は、やはりタミヤの「4号戦車 車外装備品セット」から、排気管はタミヤのメーベルワーゲンFlak43搭載型の不要部品を、それぞれ使用しました。
 他社製の改修用部品で使用したのは先述したクリッパーモデルのレジン製部品と、L/70製作時と同じくザ ショー モデリングのエッチングパーツです。
 今回製作した初期生産型は通常、車体や戦闘室にコーティングが施されていました。コーティングを施す箇所に、組み立て前の部品の状態、あるいは組み立て途中の適切な段階でポリエステルパテを塗り、専用のブレードでコーティングパターンを刻みました。防盾とその周辺の曲面には、ブレード先端に付着させたパテを直接押し付けながらパターンを刻みました。



   L/70の製作にはそこそこ手間を掛けましたが、本作はあらゆる場面で易きに流れました。例えば今回製作した生産型は、フェンダー上面にドットパターンの滑り止めを再現するべきですが、コーティングを施してごまかしました。
 生産当初装備されていた砲口のマズルブレーキは、砲弾発射時に舞い上がる埃が視界不良を生じさせるとの理由で外され、砲先端にあるネジ山がむき出しの状態が標準になるのですが、これも、キット付属のマズルブレーキ付きの砲身をそのまま使用しています。キットのマズルブレーキの形状が良い印象で、使いたかったというのも動機の一つです。
 戦闘室前面のガンポートは、キットは右側だけある仕様が再現されていますが、 L/48 初期型は左側にもあります。左側のガンポートは早々に不要と判断されたらしく、本作ではL/48 初期型のいくつかに確認できる、左側のガンポートを円い板で塞いだタイプを再現しました。ガンポートを塞ぐ板はプラ板で作りました。ただの円板ではないため、資料を参考にそれらしく作りました。左側のガンポートは廃止され、右側だけ残り、ガンポートそのものは後期のものは少し大きくなります。
 車対後部上面にある冷却水注入口カバー(予備転輪とワイヤーカッターの間にある小さい箱)はキットのものは後期仕様ですが、この時期の生産型は側面に傾斜がある初期仕様を装備しているのが標準です。同社メーベルワーゲンFlak43搭載型の不要部品から、初期仕様のものを持って来ました。キットの注入口カバーは蓋以外は車体にモールドされているため、削り落とした後、部品を接着しました。この部分は知らんぷりしてそのまま完成させるつもりでしたが、使える部品が手元にあったため、手を加えました。
 車体後面にある予備履帯用のラックは、キットのものは両側面から後面を凹の字に取り巻くように装着されたタイプです。今回製作したL/48の、初期の生産型は、キットに付属するタイプより短いラックを装備していたのが標準だったみたいです。しかし、今回製作した生産型と同時期、あるいは先に生産されたであろう車輌に長い方のラックを装備しているものを確認できたため、本作はキットに付属するものを使用しました。ただし、確認できた車輌は砲口のマズルブレーキが外されたもので、今回再現したマズルブレーキを装備した車輌より後の時期に稼動していたと見受けられます。損傷した車輌を修理した時、あるいはオーバーホールした際に、新たに長いラックを装備したのかもしれません。
 今回手間が掛かったのは、戦闘室上面にある照準器用のレールとそれに付随する部品の再現でした。L/48 初期型のレールはキットのものより長いため、エバーグリーン製の、断面が四分円(半径1mm程)になっているプラ棒材で延長しました。レールのカバーなど、周辺の部品はプラ板で自作しました。照準用のペリスコープは過去に作ったキットから、不要部品として余っていたものです。
 誘導輪基部は実物の形状に近づけるべく削り込みました。誘導輪基部にある履帯緊張装置には、プラ板でリブ状のディテールを追加しました。他にも、フェンダー後端と後部泥よけにある切り欠きをプラ板で埋めたり、シャーシ左側面の給油口を自作するなど、資料写真を参考にあちこちに手を加えました。少し広いと言われているシャーシや戦闘室の幅はそのままです。左側フェンダー後端付近に着けた筒型の車間表示灯が脱落しているのを塗装作業時に気付き、そのまま完成させました。戦闘中に破損したことにします。エッチングパーツとプラ材を組み合わせて手間をかけて作ったことを、この文章を書きながら思い出し、気が滅入ります。



   塗装はダークイエローベースの三色迷彩です。本車輌が生産された時期はベースカラーの上に現地で迷彩塗装が施されていたはずです。本作ではコーティングが剥がれた箇所に迷彩色を再塗装した表現をしてみました。駆逐戦車ゆえに、敵を待ち伏せる任務が多かったでしょうから、敵に発見されないように搭乗員達も神経質になっていたのではないかと想像しました。
 マーキングは国籍マークのみ、車体後部側面装甲板に、それも左側のみ、デカールは使わず塗装で再現しました。デカールだとコーティングされた面になじませるのに苦労すると判断したからです。右側のマークはコーティングとともに剥がれ落ち、その部分に迷彩色が再塗装された状態にしました。
 使用した塗料の種類と塗装の手順は、別項の 「4号駆逐戦車 L/70」とほとんど同じです。





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