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4号駆逐戦車 L/70 (イタレリ 1/35)

  by Takafumi



 久しぶりに投稿させていただきます。昨年の7月号に掲載された、「M3 グラント」と「ハンバー スーパー スナイプ スタッフカー」以来です。今回製作したのは本項で取り上げる4号駆逐戦車 L/70と、別項の4号駆逐戦車 L/48です。
 4号駆逐戦車 L/70のプラモデルは、1/35スケールでいくつかのメーカーが発売しております。今回私が製作したイタレリのキットは、1990年代に発売されたものです。1/35スケールでは1970年代に発売されたタミヤ製(2014年に発売された製品とは違うもの)以来の製品だったと記憶しております。模型誌の記事などで、車体前面装甲板の位置が高すぎる、付属するロードホイールのタイプが実車の生産時期と適合していないなど、いくつか難があるところを指摘されていました。そうした評判を耳にし、私はキット以外に他社製の改修用の部品も購入し、製作を進めていました。程なくして、グンゼ産業(現在はGSIクレオス)から、より正確に再現されているキットが発売され、作る気が失せ、製作を中断したままにしていました。グンゼ産業のキットは、現物に触れたことはありませんが、広告に掲載された完成見本の写真をみただけで、イタレリのものより正確に再現されていることが分かりました。グンゼ産業のキットは海外ではドラゴンから発売され、日本国内ではグンゼ産業から発売されたみたいです。OEMなのか、どのような事情か私には分かりません。ドラゴンはその後も、1/35で4号駆逐戦車のキットを新金型で発売し、そして2014年にはタミヤからも新金型のものが発売されました。さらに先頃、タミヤから4号駆逐戦車 L/70のバリエーションの一つが新た発売されました。タミヤから新製品が発売される噂を昨年末頃聞き、製作途中のままにしていたこのキットの存在を思い出し、製作を再開した次第です。



 主に使用した改修用の部品はクリッパーモデルから発売されていたものです。レジン製の防盾と車体前面装甲板、メタル製の照準器用レールや戦闘室前面の視察孔などの部品が同梱されていました。ディテールアップのためにザ ショー モデリングのエッチングパーツも使用しています。他にもMB Modelsのメタル製転輪など、過去に模型店で目にして使えると判断し、購入したものをいくつか使用していますが、現在では入手困難なものばかりです。
 後期型ロードホイール、ゴム縁のない上部支持転輪、ダンパー、起動輪やデフケースなどはタミヤの4号戦車J型、あるいはメーベルワーゲンFLAK43搭載型の該当する部品が含まれているランナーを購入(どちらのキットのパーツを購入したのか忘れました)し、使用しました。装備品も同社の「4号戦車 車外装備品セット」の中から選び、使用しました。



 今回主に参考にしたのは、アメリカのアバディーンに展示されていた(現在は他の場所で保管されているそうです)車輌の写真です。同車輌の写真で、手元の書籍に掲載されているもの、あるいはインターネット上でみつけた写真画像を参考にしました。戦時中に撮影された写真も、アバディーンの車輌と同時期に生産された型と見受けられるものを参考にしました。排気管の部品がキットには2種類付属しますが、今回製作した、比較的後期に生産された型に多く確認できる縦型ではなく、横置き型を選んだのは、アバディーンの車輌がその仕様だからというよりも、キットの縦型排気管がとても使えるものではなかったからです。
 製作は、防楯、車体前面装甲板などの改修用の部品を組み込む作業と、エッチングパーツ、プラ材、金属線などを使用したディテールアップ作業の繰り返しでした。
 まず、シャーシについて記します。シャーシ左側面にモールドされている2つの給油口の位置を変更しました。キットのシャーシ底面は後端近くで上向きに折れ曲がり、斜面が後端まで伸びてますが、実物の底面は平らになっています。シャーシ底面を修正し、リアパネルも替えました。実車のリアパネルは一見すると4号戦車の後期仕様と同じに見えますが、資料写真などで確認すると、異なるものです。クリッパーモデルから発売されていた4号戦車の後期仕様のリアパネルに手を加え、使用しました。アバディーンの車輌を参考に、誘導輪基部にある履帯緊張装置にリブ状のディテールをプラ板で追加するなど、再現を試みました。シャーシ底面は折れ曲がっている箇所の少し前から後端までの部分を切り落とし、リアパネルの位置や角度に合わせて底面と側面にプラ板を貼り足しました。リアパネルについて追記しますが、カナダにあるL/70のリアパネルは、アバディーンのものと違い、4号戦車J型の大型牽引ホールドを付けたタイプに似ています。カナダの車輌は照準器用レールやトラベリングクランプの形状なども、今回参考にしたタイプと違います。
 写真だと分かりにくいですが、ロードホイールのサスペンション中央に着ける円板型の部品を、左右間違って着けてしまいました。
 車体前面装甲板、防楯、照準器用レールなどは先述したクリッパーモデル製のものを組み込みました。クリッパーモデルの説明書には、改修用の部品を組み込むためにイタレリのキットのどの部分を如何程切り取ったり削ったりするか、また、プラ板を貼り足す箇所などが、詳細に指示されていました。車体前面装甲板の高さと角度を修正し、防楯をより正確な形状のものに替えたことで、だいぶ印象が変わりました。
 車体後面にある予備履帯用ラックは本作のような着け方ではなく、基部が両側面にあるのが正解です。



他社製の部品に替えた、砲身、スチール転輪、後期仕様の軽量履帯など、ひとつひとつ詳述すると膨大な文字数になりそうですので、止めておきます。また、これからこのキットを改修して作る人(そんな人いないでしょうけど)がいるとしたら、現在では本作で使用した製品より入手が容易なものがありますので、詳述してもあまり意味がないでしょう。自作した部品もいくつかあります。



レジンや金属製の部品を多用しているため、塗装前にMr.プライマー・サーフェイサー 1000を全体に吹き付けました。塗装はWW2のドイツ戦車定番である三色迷彩をガイアカラーで施し、その上にタミヤエナメルで斑点模様を描き「光と影」迷彩を再現しました。本車輌が生産された時期はドイツ軍の戦車は工場で迷彩塗装が施され、迷彩パターンも工場で決められていたとのことです。斯く言う私もどこの工場でどの車輌が生産されていたかなど詳しく知っているわけでもなく、手探りで資料写真をリサーチしながら塗装しました。塗装後、資料と見比べると、もう少しだけダークイエローで塗られた部分があった方が良かったみたいです。「光と影」迷彩の斑点の形状や大きさも、車種や生産工場の特徴があるとのことで、注意しました。製作当初、外形の仕様と迷彩塗装の相関を念頭に置かなかったため、本作は矛盾があるかもしれません。
 マーキングは国籍マークのみ貼り付けました。バーリンデンのドライデカールを使用しています。 戦時の写真に写っているものを見ると、車体後部側面に装備された薄い装甲板に、国籍マークが描かれている車輌を多く確認できたので、本作も倣いました。ドライデカールは今回のように平滑な面に貼り付けるのなら転写も容易で、水転写デカールのようなシルバリングの心配もなく、重宝します。
 装備品やタイヤなどの細部をタミヤエナメルで塗り、乾燥後、水性ホビーカラーのつや消しクリアーを全体に吹き付けました。ウェザリングにはエナメル塗料、油絵の具、粉状に削ったパステルを使用しました。
 後日製作する予定のディオラマに登場させる際、車輌番号などを新たに加えるかもしれません。



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