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特集偵察機&観測機

スピットファイアPR Mk19 (フジミ 1/72)

  by 寿



 イギリスの超絶高性能偵察機、「ス」の字戦闘機改造によるバージョン機であります。ちなみに日本は偵察というものにやたらと力入れていて様々な偵察専用機を開発しておりますが、欧米では従来機の改造やバージョン違いで充足するコトが多くって、考え方の違いというか「別に専用設計機でなくてもよくね?」というか、そんな感じの機種であります。まぁ敵を知るというのは大切なコトではありますが。



 それは兎も角、このスピットファイアは形こそMkⅧにグリフォンエンジンを乗せた応急バージョンでありますが、主翼は無武装のDウィングだわ、与圧キャビン付いてるわ、胴体燃料タンクは増設されてるわ、偵察カメラは付いてるわで完全に別物。純然たる偵察専用機でございます(グリフォン乗せたMkⅩぢゃん、だとかは言いっこなし)。いやースゴイね。現場じゃ嫌われるけれどもね。取り扱いも整備のやり方も既存機と違って厄介だし、壊れたときに部品の調達も難しいしね。整備員の手間も増えるし、当然稼働率も低くなっちゃう。 



 それでも偵察とか、数は要らないけれど重要な単一任務に特化する機種にはどの国も力を入れちゃうもののようです。イギリスは特にその傾向が顕著な気がする。妖しい魔改造機しこたま作っているし。あ、ドイツも似たようなものか。エゲレスは英国面の印象が強くって。



 まぁ確かにカッコイイよね、専用機。クルマやスマホに自分専用の色やデザインが施されていたらちょっと嬉しくなっちゃうかもだしね。



 しかもこのPR Mk19は性能も隔絶していて高度7930メートルで721㎞/h、実用上昇限度12993メートル、航続距離2254キロメートル。枢軸側のレシプロ機でこれを捕捉できる機体はなくって、真っ当に相手が出来るのはMe262くらいという、まさに英国版「我に追いつく敵機無し」であります。いやー爽快な機体じゃのう。 



 もっとも、この機体が登場した頃のドイツはもうあちこちズタボロで、この機体が偵察すべき要所は殆ど無くなっていたのですけれどもね。 



 しかも現代になれば従来機に偵察ポッド付けて済ませたり、最近に至っては無人機が幅を利かせているしで、こういった有人偵察専用機は過去の遺物となりつつあります。機械で代替出来るならソッチの方が安全だし、やられても機材とお金が減るだけで済むからね。
 戦争はいつも打算的であります。 

製作の詳細

(写真1)佐竹先生のボックスアートです。なんかとても高い所を飛んでてめっちゃ寒そうな感じ。実際高度一万メートル辺りだと、水平線はうっすらと地球の丸みが見えるのだとか何とか。地面を這いつくばって喜んでいるわたしには想像出来ない世界であります。

(写真2) 魅惑の無武装バージョンの翼、Dウィング。パネルラインが全然違うのであちこちスジ彫り埋めたり彫ったりしろ、などと取説に書いてある。フジミの得意技でありますなぁ。基本このキットMkⅩⅣだし結構メンドイ。純粋なDウィングのキットが欲しくなるよね。


(写真3) 機体の方が粗方出来たら小物パーツを塗って行きましょうかね。小物を先に仕上げておけば後々気が楽だからね。

(写真4) 友人のダビデ氏曰く「バナナ型ペラ」と毛嫌いしているロートル・ジャブロの木製五翔ペラ。そーかなー、割といい味出してると思うけどなー。ブッとくて力強くて。ずらっと行儀良く並んでいるので翼端の警戒色まで一気に塗って行きます。


(写真5)最大のお楽しみ、機体塗装に突入であります。先ずはミディアムブルーでざっと筆塗り。

(写真6) 上塗りはエアスペリオリティブルー(長い)とミディアムブルーを混ぜた色で。上塗りする前に筆塗りで下地が透けている部分をエアスペリオリティブルー単色でフォローしておくのがミソ。


(写真7) いつものように茶褐色でスミ入れ。定番作業じゃのう。

(写真8) 上塗りしてエナメルでスミ入れし直して小物付けてデカール貼って、トップコート吹いたら出来上がり。おお、この水色一色ってのがステキ。翼にインシグニア付いてないのもストイックでさぁ。(たぶん極力目立ちたくなかったんだと思う。役目は敵陣の覗き見だし。しかも丸腰だし) 

(写真9) エアショウでのフライヤブル機や、野外展示のロングショットだとコレにちょっと緑が混ざっているようにも見えるけれど、近接での野外撮影や博物館での写真だとコッチの色合いに近いような気がする。まぁその辺りは個人の趣味ってコトで。

(写真10)


(写真11) おまけ。キットは持っていないけれど、何故か箱だけ持っているエアフィックスのPR Mk19。なんでなんだろーなぁ。買った憶えは当然無いし、中身は入っていないしどーゆーコトなのかなぁー。Mk19を作りたいと思って居る方々へ。たぶん、コッチの方が苦労少ないと思います。ご参考までに。




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