Home  > 中島 キ-43-Ⅰ 隼1型丙 (日本模型 1/48)> 特集 絶版プラモデルを作る>2023年8月号

特集 絶版プラモデルを作る

 中島 キ-43-Ⅰ 隼1型丙 (日本模型 1/48)

by 翔バナイカイ 大山 盛幹



 絶版キットを大切に持っていても墓場まで持っていけないので、絶版キットであっても作りたいキットを積極的に作っていくことに方針変更して半年が経ちました。
今月は「絶版プラモデルを作る」の特集となっておりますので、今回は特集と方針が合致したため、この方針の第三弾として、日本模型 1/48 キ-43-Ⅰ隼1型を製作しました。



 キ-43隼は 中島飛行機により開発されたもので、太平洋戦争中における事実上の主力機として運用されました。総生産機数は5,700機以上で、旧日本軍の戦闘機としては海軍の零式艦上戦闘機に次いで2番目に多く、陸軍機としては第1位でした。生産型は、1型、2型、3型の3タイプで、それぞれのタイプには武装や排気管等の違いのあるサブタイプがあります。



 今回製作した日本模型 1/48 キ-43-Ⅰ隼1型は1977年初版のキットです。今でこそ、隼1型のキットはSweetの1/144、Hasegawaの1/48がありますが、このキットが発売された当時は、LSの1/75、Revellの1/72くらいしかなくこのキットは隼1型の決定版とされました。事実、モデルアート臨時増刊「プラモダイジェスト航空機編Vol.1(1981年)」では「これは隼の、いや日本の飛行機のキットのうちでもトップクラスに位置する優れたキットである。プロポーションはまず完璧に1型の美しい姿を再現している。」と高い評価がされています。



  日本模型は1951年に日本模型航空機工業として創業され、1/200の戦艦大和、護衛艦等の艦船模型で有名ですが、飛行機模型ではマルサンの金型を引き継いだTBF、SBDや零式水偵等がありましたし、自社開発としては1/48では赤とんぼ、九七艦攻、九九軍偵、屠龍、隼1型、1/20ではエアロスバル等を発売しておりました。しかしながら、2013年9月をもって、プラモデルを含む模型部門の活動が休止となり、企業としては現在でも存続しておりますが、模型部門の収益の確保も困難なことから、再開の目途は立たず、模型製造業としては事実上の廃業となっているため、現時点では日本模型のキットは中古品を除き入手不可能となっています。



  さて、日本模型 1/48 キ-43-Ⅰ隼1型のキットですが、主翼が大きく、胴体がほっそりとしたイメージ通りの隼1型の姿が再現されています。表面は軽い梨地仕上げで全面にリベットが打たれています。ホビージャパン1977年8月号の記事に、「リベット打ちに2ヵ月近くかかった。」との記載があります。エンジン部やコクピット内部が再現されているため細かいパーツが多いのですが、組み立てはパーツの合いもよく、容易く完成させることができます。また、箱の横には、隼の塗装についての新たな考察が書かれており、日本模型のこのキットに対するこだわりや気合が伺われます。



  組み立て上の留意点は、実機通りエンジンをエンジン架を介して胴体パーツに取り付けるようになっていますので、プロペラ軸が偏心しないように仮組・調整のうえ取り付ける必要があります。
その他、ニュージーランドで保存されている機体にするための細かい修正点は次の通りです。
① カウリング直後の胴体側ブラストチューブが左右一体となっているので、削り込んで左右を独立させた。
② カウリング下面のエアインテイクの仕切りがキットでは8本だが実機ではもっと多いが、作例ではキットのままとした。
③ 左主翼前縁の着陸灯は1型には装備されていないので、この部分をプラ板で塞いだ。
④ 実機風防の可動部後半のフレームは内フレームとなっているが、復元機同様に外フレームとして塗装した。



  古いキットのためデカールは黄変して使えませんでしたので、マーキングも含めてすべて塗装としました。
マーキングは、オーストラリアで復元され、現在ニュージーランドで保存されている第11戦隊所属機です。
上面が茶色と緑の迷彩、下面が灰色という塗装で、上面の茶色はMr.カラー526番、緑はMr.カラー16番、下面の灰色はMr.カラー56番を使用しました。細部の塗装で注意すべき点は、①機首上面の防舷塗装は、カウリング前面の開口部にかからず、直前までであること、②カウリングと胴体の隙間に見える胴体側は青竹色に塗られていることです。



  資料としては、大日本絵画「エアロディテール29 中島 一式戦闘機 隼(2000年)」がニュージーランドで保存されている機体の細部写真が多く一番参考になりました。



  これ以外にホビージャパン1997年8月号掲載の柄沢英一郎氏の記事「隼イン・ディテール」並びに日本模型のキット開発者へのインタビュー記事、エアワールド臨時増刊「J&P№3(1987年)」、モデルアート臨時増刊「日本陸軍一式戦闘機隼の塗装とマーキング(1992年)」、酣燈社 別冊航空情報「精密図面を読む1第2次大戦の花形戦闘機編(1994年)」、
文林堂「世界の傑作機新版№13陸軍1式戦闘機隼(1988年)」、「世界の傑作機新版№65陸軍1式戦闘機隼
(1997年)」、学習研究社「歴史群像太平洋戦史シリーズ Vol.52一式戦闘機隼(2005年)」を、洋書ではMonogram Aviation Publications「Japanese Aircraft Interiors 1940~1945(2000年)」を参考にしました。




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