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(Photo) アルバトロス BⅠ 20.01

by  コルディッツ
博物館実機写真

 アルバトロスBⅠ は、第一次世界大戦勃発時のドイツ軍の主力偵察機で、無武装の複座複葉機として1913年に初飛行に成功しました。設計にエルンスト・ハインケルが関わったという説があり、私も2016年8月号でアルバトロスBⅡの紹介した時に、そのような記述をしましたが、事実ではありませんでした。誤った説を披露していまい、申し訳ございませんでした。
 アルバトロスBⅠは、オーストリア=ハンガリー帝国でも生産、運用されていますが、同じく無武装でもあるBⅡと共に、1915年に前線から引き揚げられ、武装偵察機機型に発展したアルバトロスCⅠと交代し、以降は練習機として活用されました。
※ 本稿は博物館の説明、ポーランド空軍博物館の英文ガイド
ブック、英文Wikipediaを参照しました。  

 ウィーンの軍事博物館に「Albatros BⅡ Prototype 20.01」と
題された複座複葉機が展示されています。

 Albatros BⅡ Prototype 20.01  (博物館の標示)
 軍事博物館(ウィーン)にて        2016年12月撮影


 博物館の冠した題名を素直に読むと、アルバトロスBⅡの試作型
になりますが、英文WikipeiaではBⅡの原型になったアルバトロス
BⅠのヴァリエーションの一つで、ウィーンでBⅠを生産するため
のテンプレートと紹介されていました。機体サイズを比べてみる
と、BⅠの翼幅は14.18m、BⅡは12.8m、20.01は12.8mです。全長
はBⅠは8.57m、BⅡは7.6m、20.01は8mと、20.01はBⅠとBⅡの中間
形態のようで、博物館がBⅡと標示するのも分かる気がします。
 しかしBⅠの一種とするのが定説のようなので、以降本稿では
BⅠと表記します。



   BⅠは100hpのメルセデスD.1 6気筒水冷エンジンを搭載ですが、
20.01はオーストリア・ダイムラーの145hpのヒエロ 6気筒水冷
エンジンを搭載します。ドイツ版の最大速度は105km/h、オース
トリア版は115km/hと、速度性能が向上したようです。






 第一次世界大戦機の木製構造に、懐かしさを感じるようになり
ました。これは老化でしょうか。



 BⅠとBⅡはタンデム複座ですが、前席と後席は離れています。
 前席に観測員が、後席に操縦士が座る配置です。この配置は
英国人独自の考えと思い込んでいましたが、第一次世界大戦当初
は万国共有の配置法だったようです。





 Albatros BⅡ (SK-1)04  (再掲) 2014年6月撮影
 スウェーデン空軍博物館(リンショーピン)にて


 1914年にドイツ人の操縦するアルバトロスBⅡが、サンクト・
ぺテルスブルクへの飛行途上、中継のストックホルムで着陸装置
とプロペラを壊し、飛行不能になります。修理未完のうちに第一
次世界大戦が勃発し、スウェーデン当局は機体を押収しました。
 その機体をスウェーデン陸軍航空隊はSK-1として制式化して、
国内の航空機工場で生産させます。全部で47機のSK-1が練習機
及び偵察機として運用されて、1935年まで現役でした。

 Albatros BⅡA 1302/13 ada  (再掲)
ポーランド空軍博物館(クラコウ)にて   2011年5月撮影


   第一次世界大戦後に独立を果たしたポーランドは、合計116機
のBⅡを保有し、1920年の対ソビエト戦に運用しました。Adaは
戦間期の有名なオペラ歌手で女優の Ada Sari が由来です。
 アルバトロスBⅠとBⅡは、第一次世界大戦中にドイツ、オース
トリア=ハンガリー、トルコ、ブルガリアの同盟国側で使われ、
戦後も北欧や東欧諸国で使われた、長寿で有用な機体でした。




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