Home  > メッサーシュミット Me109E (日本模型(ニチモ) 1/48)> 特集 絶版プラモデルを作る>2023年8月号

特集 絶版プラモデルを作る

メッサーシュミット Me109E (日本模型(ニチモ) 1/48)

  by 加藤 寛之



 「Me」という表記からして時代を感じさせる。ベテランモデラーならば常識だが、旧マルサンがモノグラムの製品をコピーしたキット。旧マルサンの倒産後にニチモが金型を入手して、長年にわたって生産していた。そのニチモもプラモデルから撤退したので、おそらく絶版だと思う。
もちろん時代性はあるけれども、当時に最高品質を誇ったモノグラムのキットが原型だから、組んでみればそれなりに出来る。ただし、なんとなく精度は落ちている。総部品点数28個でそのうち2個はスタンドだから、パイロットを含めて26個で作れる。



  コックピットは、パイロットと背中の板の2点。床板や計器盤、椅子もない。背中の板にはお人形さん用の取り付け穴があるので、プラ板片2枚を椅子らしく接着して目隠しをする。機内は黒く塗って、これで終わり。
過去に作った経験から、このキットは胴体幅が広すぎて主翼が入らないと知っていた。そこで胴体の下面側接着部分をガリガリと削って細くした。主翼部分で左右各1mm程度か。上半分は削らない、機首のスピンナー部分と尾輪以降は削らないことに注意すればいい。原型となったモノグラムのキットは主翼がスパッと入るから、コピー時のウッカリが原因である。
主翼の後縁は、厚さ2mmくらいで丸くまとまっている。これは外面から削れば改善できるが、今回はそのまま組む。後縁の厚みは塗装で下面色を見せないようにすれば、目立たない。ちなみにモノグラムのキットは後縁もきれいに出来ている。これもコピー時のウッカリが原因である。
水平尾翼は左右通しの一枚モノで、これを垂直尾翼後方から挿入する。主翼との関係がねじれないように接着すればよい。下面にある支柱はバリだらけだったので、熱で伸ばしたランナーで代替した。断面形が丸くなってしまうが、まあイイや。
プロペラはまあOKな形なので、ほんのチョット整形したくらいで使用。スピンナーは前後2バーツで、合いはこの時代らしい精度。たっぷりの接着剤をつけて合わせ、ブチュ~~とはみ出させてパテがわりに。乾燥後に削り整形して合格にした。
主脚は出し入れ可動式だが、もちろん固定に。基部に脚柱の太さにあわせたプラパイプを仕込み、これに挿して固定した。タイヤは焼き止め方式で軸が長いので、これを短縮して固定した。
風防はちょっと潜って低くなるので、胴体側に薄いプラ板を貼って持ち上げた。
実機には各所に開口部分があるが、キットは開口されていないか超肉厚。肉厚は削りとり、閉じているところは塗装で代替することにした。



  塗装は、上面がダークグリーンとブラックグリーンの折線分割迷彩、側面と下面はライトブルーという、このキット全盛当時のプラモ標準塗装。これを筆塗りする。昔ならばここまでだが、ちょっと今風にする。色の境目はぼかし、動翼の境目は暗い色を塗る。ライトブルーの部分に2000番のサンドペーパーを軽くかけ、リベットやパネルラインを露出させる。さらに凹部分は薄い黒を、凸部分は明るい色を軽く塗って、凹凸感を強調した。そしてデカールをペタペタッと貼る。これは昔ながらの作業。最後に光沢クリアーの缶スプレーをプ~~~として完成とした。

 キットの開封翌日に完成した。簡単なキットは大好きだ。部品数26個でも、だれが見てもメッサーシュミットMe109E。「出来た、出来た、いいね、いいね!」と写真を撮ったら、すごく古いキット感が丸見えだった。カメラは冷静に事実をとらえてということだ。でも古いキットが古く見えたのだから、それでいい。完成である。


  Home>メッサーシュミット Me109E (日本模型(ニチモ) 1/48)> 特集 絶版プラモデルを作る>2023年8月号