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特集偵察機&観測機

  コンソリデーティッドPBY-4カタリナ(アカデミー 1/72)

  by  Windy Wing 2013

 今回は第二次世界大戦で活躍した美しき米軍哨戒偵察爆撃機PBY-4カタリナをご紹介いたします。



 <コンソリデーティッドPBYカタリナ>といえば、日本人には真珠湾で地上撃破されていく高翼の姿がとみに印象的ですが、結局、戦争が終わってみれば、海上自衛隊にまでバリエーション機が供与されることになる飛行艇の名機です。今回はその美しい各型の中でも最も美しい引き込み脚装着前の水上型<PBY-4>を韓国アカデミー/ミニクラフト社のキットを用いて製作してみました。



 このキットは1993年製、そろそろアカデミー社がデタラメな造型や他社のコピーから脱しつつあったころの製品なので、全体的にはよくまとまった佳作となっています。ただし、同社のこの時期通例の「いったいどうやって金型に刻印したのだろう?」とあきれるほどの全面凹リベットは完成時のスケール感を著しく毀損していて、他の舵面や外板のモールドが秀逸なだけに、思わず「無駄にもったいない」のぼやきが出てしまいます。また、さらに丁寧に見ると、機首平面形がスマートすぎてガマガエルのようなエラの張り出しに乏しく、これは外見が最大のウリの本機にとっては、あるいは致命的な欠点といえるかもしれません。



 飛行艇として史上最多の生産機数を誇る本機ですが、その割には大昔のモノグラムのハンパスケール、そしてエアフィックスとレベルの1/72以降、本国アメリカでもあまりまともなキットが発売されなかったのはプラモ史における意外な盲点と申せましょう。ここでアカデミー社が本機を<PBY-2/-4/-5/-5A>と複数の形式で製品化したその意気やよし、と高く評価しつつも、上記のような造型上の瑕疵が見られる以上、そのシルエットを真に追求するためには、やはり巨大なる名品<プロモデラー/モノグラム 1/48 PBY-5Aカタリナ>に着手せざるをえないのかもしれません。



 海上で救援を待つ米兵たちの目にはPBYの「P」として、本機はまさに舞い降りる白鳥と映ったに違いありませんが、一方、艦艇から見上げる大戦末期の日本兵には「B」として、しつこく襲いかかるただの黒ガラスにしか見えなかったはずです。こうして「航空機」というものの持つ二面性を、この美しい飛行艇はその美しさゆえに、いつも私に意識させずにはおかないのです。



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