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誌上個展

<日本航空史> ダブ ヘロン

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 今では、エアフィックス社がヘロンをキット化していたから知られているような旅客機だと思う。古い製品なのできれいに組むのはそう簡単でないが、小さな4発機でポコット出た頭や上反角がある水平尾翼(?)など、味がある外観で出来上がるとイイカンジになる。

ダブ

  最初に開発されたのが小さいほうのダブで、調べてみたら初飛行は1945年9月25日だそうだ。いくら疲弊していたとはいえ、日本の敗戦直後のことだ。国力と将来への見通しが格段に違う。こりゃ、日本は負けるわ。当然、設計は対戦中になるから、よく見るといかにもデハビランド社で、垂直尾翼の形はモスキートにフィンを付けた形だし、水平尾翼はホーネットの形に似ている。垂直尾翼は「我が社の形」という味付けをしやすい部分なのだろう。

ヘロン

  その拡大版がヘロンになる。双発から4発になり、翼幅で4.5mくらい、胴体は3mくらいのびているそうだ。

 日本でもいろいろ輸入して使っていたようだ。写真で双発の3枚ペラがダブ、4発で2枚ペラがヘロンだと思う。縦型の細いエンジンナセルは、いかにもデハビランドの飛行機を感じさせる。ここに写真は載っていないが、東亜国内航空はこのエンジンを横に広い水平対向エンジンに換装した機体を使っていて、東亜国内航空のヘロンだからとタウロンと呼んでいたそうだ。

左ヘロン 右ダブ

  写真のヘロンが何で固定脚なのかと思うけれども、巡航速度は時速250キロくらいだから、この方が運用面で実用的と考えたのだろう。引込み脚タイプは飛行速度が上がったうえに燃費が向上したというが、そりゃ、そうだろう。ちなみに、エアフィックス社のヘロンは引込み脚タイプ。 


  航空情報『世界航空機年鑑 1958』にはダブもヘロンも載っていた。ダブは「アメリカあたりの同級機にくらべてかなり質素」とあり、ヘロンには「キャビンの狭いこと、振動のやや多いことなどが難点とされており、キャビンの真中に大きな主桁が出張っているのも気になる」とある。同誌記事によれば、国内使用機は、ダブが乗客数8人、ヘロンが14人。周囲の人との比較でも分かるように、そんな小さな旅客機なのだ。


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