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特集 英国艦船SHIP

 HMS ドレッドノート1918(トランペッター 1/700)

by 平針みなみ HIRABARI Minami



 同類のものよりはるかに強大であったり、すぐれていたりするとき、「超弩級」(いまではカタカナを使って、「超ド級」と表すことも)という言葉が使われることがありますが、その「弩級」の元になった英国戦艦ドレッドノート。1906年に竣工すると、これ以前の戦艦をすべて旧式化してしまったといいます。



このドレッドノートのキットはいくつかのメーカーから出ていますが、私が所蔵しているのはトランペッター1/700のドレッドノート1907とドレッドノート1918の2点です。トランペッターのドレッドノートのキットは、1/700と1/350の両スケールでドレッドノート1907、1915、1918の3種類が出ていたようですが、今回の特集は「第1次大戦から第2次大戦期まで」ということですので1918を作ってみました。
1906との違いは、艦橋の左右の張り出しがなくなったり、舷側の防雷網展張用ブームがなくなったりというところがすぐ目につきます。

キットの船体パーツ


キットはフルハルモデルですが、喫水線の上下で船体のパーツが分割されているので、洋上モデルにもできます。ただ、吃水板のパーツは用意されていません。
キットの上部船体の構成は、船首楼甲板と上甲板が別パーツになっていて、それぞれにパーツを取付けて合体させるというもの。短艇甲板(甲板といっていますが、細い板を渡したようなもの。)は厚手のエッチングパーツで用意されていて、船首楼甲板の第2煙突の脇のあたりに取付けるようになっています。

エッチングパーツは厚さの異なるもの2枚が用意されていますが、プラパーツのオプションということではなく、エッチングパーツも含めて組み立てていかなければいけないという設計になっています。

プラパーツの組み立てはとくに問題となるようなことはありませんが、エッチングパーツの薄手の方はすぐに曲がってしまったり、ちぎれてしまったりと扱いがやっかいです。

艦橋はのちの戦艦に比べると非常に小ぶりで、小屋のようです。また、艦橋の屋根と思っていたパーツが、実は露天艦橋でした。手すりでも付ければよかったと思います。


全体をぱっと見ると、あたかも太平洋戦争時の艦船が防空のため機銃を増備したときのような姿になっていますが、これは12ポンド砲で塗装は船体と同じグレーです。

旗竿はエッチングパーツが用意されていますが、艦首のものはただの1本棒に支柱がついているだけのものではなく、それらしく再現されていました。

細かいパーツの取付けについて、組立説明書の接着位置が分かり辛いところがところどころあったので、ネット上の写真(実艦、模型)を参考にしましたが、それでもよくわからないところがありました。

塗装
キットの指定では、船体の塗色はクレオスのC333エクストラダークシーグレー、木甲板はC44タン、喫水線はC33つや消しブラックの帯となっています。細かい塗装指示はありません。

船体のグレーがどんな色か、写真を見てもネットや雑誌記事などの作例を見ても、かなり明るく写っている写真もあったりしたので、どうしようかと思っていたところ、ドレッドノートを描いた色刷りの絵葉書の写真を見つけることができました。それには船体があまり明るくはないグレーで塗られていました。キット指定のC333エクストラダークシーグレーやC32軍艦色(2)でもよさそうにも思いましたが、1/700というサイズなどを考慮し少し明るくC363ミディアムシーグレーで塗ってみました。

イギリスでは、1912年に竣工したオライオン級戦艦が、最初の超弩級戦艦だそうで、その後も続々と新鋭戦艦が登場し、ドレッドノートは第一次世界大戦では主力艦の座を降りていたようです。
第一次世界大戦での戦果は、1915年3月18日にドイツの潜水艦U-29を体当たりで沈めたという記録があるようです。有名な英独の主力艦隊同士による1916年5月31日~6月1日のユトランド沖海戦時には、ドレッドノートは改修中のため参加していないとのことです。

さて、超弩級戦艦のクイーン・エリザベスは1915年に竣工し、主砲の威力もドレッドノートを大きく超えているということで、ドレッドノート1918とクイーン・エリザベス1918とを並べてみました。一世を風靡したドレッドノートも、10年も経たずに後進に追い越され、1920年3月31日に退役、1923年に解体されたということです。



附)三笠のこと
ドレッドノートのキットを作ってみて、10年近く前に横須賀に行ったとき、三笠を見学して撮った写真を見なおしてみたところ、似たようなところや参考になりそうなところがあるように感じました。

三笠は、イギリスのヴィッカース・サンズのバロー・イン・ファーネス造船所で建造。
1899年1月24日に起工し、1902年3月1日に竣工。竣工したのはドレッドノートの4年半ほど前ということになります。

三笠の12ポンド砲、舷側に4門突き出して見えているのが12ポンド砲。艦内に入ってみると砲のところに「8cm砲台」との表示があり、「当時12听砲と呼ばれ、・・・20門ありました・・・」と書いてありました。砲身の向きを自由に変えることができます。




次の写真は左舷側からみた三笠の艦橋など。露天艦橋があり、そこに上ると足下に日本海海戦時の東郷司令長官、伊地知艦長、加藤参謀長、秋山参謀の立ち位置のプレートがあります。艦橋の左右に張り出しがあり、探照灯が設置してあるのが見えます。探照灯はレールの上に乗っていて、左右に移動できるようなつくりです。その下の方に舷灯があり、その周囲が赤く塗られています。海上に出ないと見えませんが右舷の舷灯は緑。


三笠の艦首の旗竿の写真を見てみたら、キットのエッチングパーツとよく似ていました。


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