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特集 英国大戦機

スピットファイアMk.1 (エアフィックス1/48)

  by 寿



 二次大戦の英国モノと云ったらエアフィックスを外す訳にはいかないでしょう。 



 と、言うわけで同社のスピットファイアを作ってみました。Mk.1です。しかも最初期型です。木製二翔ペラも男らしいゴリゴリの初期型です。スライドキャノピーも膨らみの無いストレートタイプ。頭がギリ入る余地しかなくって後ろを振り返るコトすら出来ません。ブローニング7.7ミリ機銃8門搭載で水まきバケツと揶揄された「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」仕様のAウィングです。



 可変ピッチペラなんて小賢しい。ヒコーキは最高速度をひねり出す為だけに存在しとるんじゃ。オトコは過ぎ去ったことは振り返らない。だから前だけ見えて居ればそれで充分。敵に向けて全速力。マーリンエンジンの唸りと共に豪快に突進し、得意の旋回性能で相手の弾をひらひらと華麗に避けて、雨のように浴びせる機銃弾で小癪な敵機を粉砕せよ。後に残るは勝利の凱歌と空に散った者たちへの哀悼のみ。てな感じですかね。



 本機は初期型に過ぎて、バトルオブブリテンに果たして何機参加していたのか寡聞にして知りません。量産78機目以降は、三翔ペラでマーリンⅢを搭載しスライドキャノピーに膨らみが付いたタイプに変更されていますし、受領後に可変ピッチ三翔ペラに換装された機体もあるようです。



 しかしワタクシとしましては、この二翔ペラこそがスピットの基本。エゲレス人らしい頑固さとストイックさに溢れた男らしい仕様だと確信している次第。正に真の「救国戦闘機」ですよ。反論無用、失笑不要に願います。



 しかしイギリス人のスピット信奉には相当のものがあるようで、ドイツ人ならメッサー、日本人ならゼロ戦といった国民的有名どころの戦闘機とは一線を画した偏執、もとい熱愛ぶりが垣間見えます。「エアフィックスのスピットファイア」(当然博物館にあるホンモノとは完全な別物)を1/1で完全再現してみたり(作った当人はプラモデルだと言い張っていたとかなんとか)、エアショウでは当たり前のようにフライヤブルな機体が飛び回っていたり、小学生でも他のヒコーキは知らなくてもスピットは知っている、というのが社会的な常識だったり(知らないと言ったら大人から怒られる)。日本のゼロ戦ファンとは格が違う感じです。



  なんつーか救国戦闘機ってダケじゃなくって、文化の差って感じがしますね。身の回りの工業製品ですら丁寧に博物館に飾るお方たちですので、作っちゃ捨ての日本とは工業製品への扱い方が根本的に違う気がします。日本の0系新幹線だって英国の列車博物館に飾られているくらいですからね。



日本は工業製品への愛が足りんのう。この辺りにも産業革命に100年遅れたツケが出ているのでございましょうか。

製作の詳細

(写真1)ボックスアートは獅子奮迅真っ最中のかっちょええスピットでございます。メッサーを千切っては投げ千切っては投げ。やっぱりコレ、バトル・オブ・ブリテンのワンシーンなんだろうなぁ。



(写真2)コクピットの中には大したもの入ってないので、ちゃちゃっと塗ってペタペタッとくっつけてまいります。今回は極楽鳥仕様でいくと決めていたので、パイロットも塗ってまいりますよぉ~。エアフィックスはほぼ間違いなくパイロットが同梱されていて好き。何時でも何処でも気が向いた時に極楽鳥に出来るシアワセ。素敵でございます。


(写真3) フィギュアは一通り塗ってシートにお座りになって頂きます。パイロットの飛行帽や装備品は初期と中期以降とではアチコチ違うので要注意です。でもソレっぽく塗ってキャノピー閉めれば判りゃしません。むしろ「ドコソコが違う」とか言われたらよく見て頂いてありがとうございます、といった所でしょうか。

(写真4) 脚も当然収納状態に。でも何だかアチコチ隙間が空くぞ。瞬間接着剤さまのお力でムリクリ貼り付けて知らんぷり。どーせ裏側なんて誰も見やしませんって。
 まぁ仮に見られたからと言って、それで富士山が爆発したり南海トラフが崩壊して日本が沈没したりする訳ではないので、どーでもいいんですけれどもね。


(写真5) キャノピーは何時ものように接着面を黒で塗っておきます。光りの回り込みを防いでおけば透明度が上がったような効果が得られます。

(写真6) 翼をくっつけてキャノピーで封印したら、このまま一気に塗装へ突入でゴザイマスですよ。



(写真7) 裏面が銀の塗装を選んだので、グロスブラック吹いた後にシルバーをぷーと吹く。銀はキズがめちゃ目立つので表面仕上げは入念に行なうのであります。英国の銀は大抵シルバードープなので、この後セミグロスのトップコートを吹いて半つやに仕上げます。

(写真8) 裏面が出来上ったら表面じゃ。極薄のダークアースとダークグリーンでムラムラ塗り。


(写真9) ダークアースそのままじゃあちとパンチが効き過ぎなので、ミドルストーンでマイルドな風味に。

(写真10) ダークグリーンも同じ理由でRLM02を混ぜて、「コクとまろみ」のある色味を目指します。


(写真11) 色作っている内に裏面のトップコートも乾いたので、先にスミ入れしちゃいましょうかね。銀ベースなのでラバーブラックをちょんちょんと。

(写真12) スタンドはタミヤのサンニイシリーズからパクってまいりました。ヨンパチにはちと大きいような?まぁいいよ、大は小を兼ねるって言うし。


(写真13) ベースカラーの上に程よいトロけた風味の色で塗って、スミ入れしてデカール貼って小物を取り付けたら完成。いやー、やっぱかっちょええね、スピット。エアフィックスのスピットは細部のモールドがちと甘いけど、シルエットは他のメーカーの追随を許さないと思うんだよね。このウイングラインの美しさとシェイプされた胴体との見事なバランスよ。
 こうなってくるとタミヤの新金のMk.1と作り比べてみたくなるなぁ。我が家のストックにもきっちり常備されているしね。

(写真14)



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