Home  > ウェストランド ホワールウィンド (BILEK 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2023年10月号


ウェストランド ホワールウィンド (BILEK 1/72)

  by 加藤 寛之



 一時期、エアフィックス社製品の何点かがチェコのBILEKという会社から発売されたことがある。袋詰めだけがチェコなのかと思っていたが、作ってみたらプラの材質が違うしデカールも東欧製の品質だった。
エアフィックス社のホワールウィンドは新・旧版の金型があると聞いていたので『プラモガイド』1972年秋号掲載のホワールウィンドを見たら、形が違う。と、いうことは、今回製作したものは新版ということになる。そうはいってもパネルラインは凸線だから、改定からかなりの年数が経過している。

  実機は1939年量産発注というから、日本式にいえば99式双発戦闘機。機首に集中装備した20mm砲4門は双発戦闘機ならではのもの。それでいて翼面積はスピットファイアとほぼ同じ。一気に襲い掛りさっと離脱するような構想なのだろう。当然、着陸速度は高くなるので、強力なファウラーフラップ(だと思う)を装備している。後縁に1本の棒が出ているのでそうかと思うのだが、ではもう1本は?と思ったら、ナセル後部がカクッと垂れ下がるみたいだ。そのフラップやエンジンナセルが要因だろうが、後流を避けるために水平尾翼を高くしてあって水平尾翼も幅広に見える。バフェットでも発生したのか垂直尾翼との取付け部分にフェアリングがある。主翼が細長いのも、横転性能の不得手を受け入れても抵抗を減らしたいんだよね、ってことなのかも。
 双発戦闘機が有用かどうかではなく、双発戦闘機を作るならばどうするかの立場を徹底して設計したのだろう。おかげで、プラモデルとしてはとても面白い形の飛行機になっている。実機は肝心のエンジンが不調で、生産力集中のなかで整理された飛行機になったらしい。



 新しい製品ではないので、パーツの整合はそれなり水準。でも、組んでみてどこにも難しいところはない。主翼が前から見てクタクタしないように修正して上下接着することと、その主翼と水平尾翼を捩れないように接着するのが大切なところ。
 エンジンナセルは、主翼上面に上部があり、主翼から下は1パーツ。合わせ目に多少のバタと隙間が生じるが、大した作業でなく整形できる。上部後端の側面形は軽く丸まるめた。
 脚カバー類は少々厄介。閉状態で成型したものを切断するのは困難でないが、それをどんな方法でエンジンナセルや尾部に接着するかの工夫がない。それらしいところにベタッと接着するか、接着のための小片を用意するかは、各自の判断。もちろん私は前者。開く角度の指示もないが、開いて下がるだけです、の位置でいいと思う。
 風防前のアンテナ支柱と垂直尾翼のピトー管(?)は、丈夫が大切の観点で真ちゅう線に置き換えた。スケール感無視だが、私は丈夫の方が大切だ。



 塗装は、テキトウにそのあたりにある色で塗った…だけでは不親切なので、今回は使った色をメモしておいた。使ったのはモデルカラー。最初に上側面全体を13番ニユートラルグレーに。次に波状に12番オリーブドラブ。下面は35番明灰白色(三菱系)。それぞれは、「もう1回塗ろうかな」のところで塗装終了にしている。そのムラが味になる。後胴帯とスピンナーは128番灰緑色。迷彩色が接するところは、上側面は12番オリーブドラブ、下面は35番明灰白色(三菱系)を希釈した色でボカシを入れた。その希釈は、ほぼ汚れた溶剤の程度。この後は、突起の下側や動翼の凹みに暗い色を塗ったり、凸線の一部2000番のサンドペーパーで擦ってプラの地色を露出させたりしている。突出部分に角には、軽く明るい色を塗っている。デカールの胴体英字の並びに疑問はあったが、そのまま貼った。

 完成。面白い形だ。細かいことを言えば、エンジンナセルの膨らみが足りない、主翼断面形が違っているのでエンジンナセルとの接点が違う、水平尾翼の断面形がちょっと、脚カバーの取付け方が曖昧等々あるが、どこからみてもホワールウィンド。修正しなくても充分にホワールウィンド。私にはこれで充分だ。 



  Home>ウェストランド ホワールウィンド (BILEK 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2023年10月号
Vol.182 2023 October.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
           editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」
 

プラモデル模型製作記事

TOTAL PAGE