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デハビランド・モスキートB.XVIの作り方 (AIRFIX 1/72)

  by 翔バナイカイ 栗人@ケータイ



 今回は2021年にAIRFIXからリリースされた新キットを取りあげてみました。キットは2ステージマーリンエンジンを装備したモスキートの後期型。1/72のモスキート後期型のキットは1970年代のマッチボックス以来。英国の名機モスキートだけに、AIRFIXの思い入れも感じられ、大方の組立もスムースで全体の雰囲気、モールド、細部表現など、マッチボックスと比べて大幅に進化した内容です。



 ただし本キットにはひとつ大きな問題があり、それは「キットをそのまま作るとB.XVIではなく標的曳航型TT.35(Type1)になってしまう」ということなのです。AIRFIXは現在保存されているTT.35(Type1)の実機を調査した内容を正直にキット化してしまったのでしょう。そこで今回、TT.35(Type1)からキットのタイトルとおりにB.XVIへ戻して行くポイントを「作り方」として挙げてみました。



機体下面全景。爆弾倉にはフル装備です。


  ●B.XVIへの改修点
①爆弾倉バルジの後端の両脇が大きく直角に抉られています。
②爆弾倉扉の爆弾倉扉の外側にも半月形の低いバルジとスリット状のモールドがあります。また扉の内側にも同じ箇所に浮き出しモールドがあります。
 これらは、TT.35で吹き流し標的を格納・展開するための改修箇所なので、バルジ後端の抉られた部分はエポパテで埋め戻し、爆弾倉扉の余計なモールドは削り落としてツライチに整形します。
③爆弾倉内側のパーツ番号78は不要
 爆弾倉扉の内側にこのパーツを取り付ける指示があります。これもおそらく吹き流し標的の格納に関係するパーツで、爆撃型にはこのようなパーツはありません。ここもこのパーツの取付穴を塞いでツライチに整形します。(そもそも、このパーツがあると、爆弾倉を閉じた時に中の爆弾と干渉するでしょう?)

TT35からB16に戻すための爆弾倉バルジ後端と爆弾倉扉修正部分です。


同じくTT35からB16に戻すための爆弾倉扉内側の修正部分です。


●その他、組立上で「こんな所で手間をかけさせやがって」となった点
①翼端灯どうするの?
 主翼端がまるごと透明パーツになっています。「こうすれば先端の翼端灯部分はクリアカラーを塗るだけで再現できます」という開発スタッフの声が聞こえてきそうです。しかし、モスキートの翼端灯は色がついているのは中の電球だけで外側のカバーは透明。どうやって翼端灯を再現するの???
結局、翼端灯カバー部分は別な透明部材で作り替え、その根元の接着部分にドリルで穴を穿って左右各々クリアーレッドとクリアーグリーンのカラーを流し込んで翼端灯を再現しました。

透明な翼端パーツの翼端灯部分のみをさらに別材で翼端灯を再現。


  ②キャブレターインテイクの異物混入防止用の金網が省略されている
 この金網はほとんどのモスキートで装着されており、エンジン周りで割と目に付くポイントです。今回は、ストックにあったAIRFIXのモスキートの旧キットのスクラップパーツを取り付けてあります。

キャブレターインテイクに金網カバーを追加(プラの色が違う部分)。
また排気管パーツも後付けできるように改修すると後の工作が楽になります。



  ③プラ材の厚みがある部分でヒケが多い
 主翼や垂直尾翼等でプラ材が厚い部分にあちこちヒケが出てるので瞬着やパテでちくちく埋め戻して整形が必要です。

  ●塗装とマーキング
塗装は当時のモスキートの標準塗装でダークグリーンとオーシャングレーの地図迷彩。使用カラーはMr.カラーで、ダークグリーンはC330にスケール効果としてC311を30%ほど混色。オーシャングレーはC365にC73を30%混色。下面のミディアムシーグレーにはC338を使っています。各色とも細筆で短いストロークで塗り重ねて行く手法で筆塗りし、クリアーがけした上で研ぎ出しをしています。
イギリス空軍第617中隊の「KC◎W」(チェシャー中佐搭乗機)として仕上げました。第617中隊はランカスターを装備した部隊でダムバスターとして有名ですが、大戦後半には他部隊からレンタルしたモスキートを用いて夜間低空での爆撃目標マーキングに活躍しています。その任務の中心人物であったチェシャー中佐が搭乗したモスキートというアビエーションイラスト(英国で発行・販売されているもの)を見つけて本作品のマーキングに採用。しかしマーキング完了後に知人から「同時期の第617中隊に同じコードのランカスターがあったのであのイラストは間違い」との指摘を受け思わず「オ~、マイガッ!」。元のキットにあった「落とし穴」を埋めてほっとしたところ、最後に別の落とし穴に陥まってしまった、というオチでした。



モスキートはこの角度から見た姿がベストだと思っています。
 わりとキャブレターインテイクの金網カバーが目につくでしょ?




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