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特集 アメリカ海軍機

 Sikorsky HO3S-1 (Fonderie Miniature 1/48)

by 翔バナイカイ 大山 盛幹



 今月のテーマが「アメリカ海軍機(第二次大戦後)」ということで、第二次大戦後というには少々古い機体になりますが、朝鮮戦争時に活躍したSikorsky HO3S-1を製作しました。



 最近でこそ、SikorskyHO3S(S-51)のキットは1/144、1/72、1/48と-多くのキットが発売されていますが、今回製作したFonderie Miniature 1/48のキットはSikorsky HO3S(S-51)のキットとしては、比較的早い時期に発売されたものです。複座型のSikorsky HO3S(S-51)のキットとしては唯一のキットと思いますが、現在では入手不可能となっているようです。
最近のキットとプロポーションを比べてみると、①メインローターの直径が大きい?②テイルブームがやや長くスマート?といった印象ですが、それでも、完成すると堂々としたSikorsky HO3S-1になります。



  Sikorsky R5/HO3S は、Sikorsky・aircraft社でR4に続いて製造された量産ヘリコプターです。
R5/HO3Sは、キャビン後方に星形エンジンを装備し、2名の乗員がタンデムに座る長い胴体と大直径のメインローターという点が特徴で、Sikorsky H-19、H-34と異なりエンジンはキャビン後方に配置されています。その後、3座、4座となり、またローターブレードも改良した機体へと発展し、結果として300機以上が生産されました。アメリカ空軍、海軍、沿岸警備隊で採用されるだけでなく、世界各国で採用されており、わが国では海上自衛隊、東北電力で使用されていました。
主に救難と救命任務にR5/HO3Sは用いられましたが、朝鮮戦争での働きによって本機は有名になりました。戦争期間中に本機は、撃墜された国連軍のパイロット等を救出するためや前線で負傷した兵員を搬送するために繰り返し呼び寄せられました。これは本機の任務をSikorsky H-19 に代替されるまで続きました。この様子はWilliam Holden主演の映画「トコリの橋(1954年)」に描かれていますので、ご覧になった方も多いと思います。この映画では、HO3Sが空母のエレベーターで甲板に上げられ発艦、現場海域に向かい、そして不時着水した主役のWilliam Holdenを救助してスリングしたままで空母まで運ぶ一連のシーンが印象に残っています。
また、邦画では東宝「空の大怪獣ラドン(1956年)」に阿蘇山でラドンを探すヘリコプターとして登場しています(余談ですが、「空の大怪獣ラドン」以降の東宝の怪獣映画に出るヘリコプターは、実機同様にほとんどSikorsky H-19になってしまいました)。



  さて、Heller以外の初めて作るフランスのキットFonderie Miniature 1/48 Sikorsky R5/HO3S-1ですが初版は2001年頃に発売されたキットで、当時はグンゼ産業(現GSIクレオス)が取り扱っており、オリジナルのデカールに加えて海上自衛隊のデカールが追加されていました。キットはプラ、メタル、レジン、そしてエッチングパーツからなる所謂マルチマテリアルキットです。ほとんどのパーツが用意されていますが、箱を開けた印象では素材と考えた方がよいキットと感じました。



 胴体パーツは窓ガラス部分も含めて一体の透明プラで形成されており、ガラス部分との隙間が生じないようになっています。このため、塗装の透け防止のため内側を黒で塗装しております。キャビン周囲はメリハリをつけるため、窓枠のゴムシールドを0.3㎜のプラ棒で再現しました。



 ローターはメタル製のローターヘッドにプラ製のローターブレードを差し込むようになっており、かっちりと仕上がります。また、ローターヘッドがメタルパーツのため、中心部が安定してローターの傾きが防止されています。
ローターブレード操作桿はパーツがありましたが、真鍮線に置き換えてあります。



 キャビン左舷後方の排気管は、外径2.0㎜の真鍮パイプに置き換えました。パイロット席外側左舷につく乗降ステップはエッチングでパーツ化されていますが、ペラペラで実感に欠けたため、支柱を真鍮線で、ステップ部分をプラ板で作り直しました。右舷のステップも同様に真鍮線に置き換えました。この他にも、ホイスト操作桿、テイルブーム下面のアンテナ、キャビン下部の補強材や尾灯等を追加しました。



  デカールはキット付属のものを使用しましたが、薄くて密着性の良いものでした。 
マーキングは、1952年 USS Bataan搭載のアメリカ海軍第1汎用飛行隊所属機で(「トコリの橋」に登場する機体も同じ飛行隊の所属でした)、全面シーブルー(Mr.カラー365番を使用)の塗装です。
インストラクションではローターブレート上面の色指定は銀でしたが、黒としました。
この作品完成後に映画「トコリの橋」でMickey Rooneyが演じたヘリパイロット「マイク」の1/48フィギュア付(シルクハットもついています)で映画に出たグリーンのシルクハットマーキングのデカールがBelcher Bits Decalより発売されていたことが判り、新たに購入したAMP 1/48のキットをこのマーキングにと思い買ってしまいました。



  参考資料は、地味な機体ですので当然モノグラフは発売されておりません。ネットの写真以外に、洋書ではPen & Sword Aviation刊「US Military Helicopters(2017年)」くらいしかなく、必然的に「トコリの橋」のDVDが一番の資料となり、何回も静止画にして見直しました。しかし、DVD画像を静止画で見ても細部がもう一つと感じていたところ、模型仲間のО氏より青森県立三沢航空科学館に展示されている東北電力が使っていたWestland WS-51 をモデラー目線で撮影した多くの細部写真を頂くことができ、これらの写真が大きな助けになりました。




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