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F-89D スコーピオン (タカラレベル 1/79)

  by 加藤 寛之



 新しいキットではない。金型製作は1950年代半ば、製品としてもタカラ・レベルだから1970年代後半だろう。いわゆる箱スケールという時代のもので、1/79は珍しい。表面には国籍マークや文字が彫刻線(凸線)でモールドしてある。そしてこの時代のレベルならではのツルツル鏡面仕上げ…なんて書いても、何の事か分からないモデラーも多いことだろう。そのくらい古いキットだ。

 プラモデルのなかで実機を無視した成形色で製造しているのは飛行機くらいのモノで、私はちょっと不満に感じている。今回のスコーピオンは銀色成形で表面はツルツル。これは、 塗らなくていいキットだ。それは当然で、このキットの時代は飛行機でも成形色をいかすことが普通にアリの時代だった。だから、実機が金属肌ならば、プラは銀色で、表面はピカピカなのだ…と、いうことで、銀色は塗らないことにした。



 キットは基本的な分割で、小さな部品はほぼ無い。面白いのはコックピットで、たったの1パーツ。前方の計器カバーから計器盤、操縦桿、パイロット、イス、そして後席と背部の機器まで全部まとめて左右方向の1発成型なのだ。でも、実にそれらしくなっている。胴体を組んだ後に、これをコックピットの開口部へ上から入れてOK!というスグレモノ。とても作りやすい。ちょっとアタマの位置が低いけれども、私は気にならない範囲。
もう一つの面白分割は風防パーツで、ワクに透明部品をはめ込むという構造。つまり、塗らなくても風防枠が銀色になる、ということ。でもそのために透明パーツの厚み部分が乱反射して見苦しい。そこで、透明パーツの厚み部分に黒を塗り、コックピット内も黒を基調に塗って、見せ掛けで溶け込ませ、ごまかしている。



  機体全体に銀色を塗らないで済ませるためには、しっかりと組むことが大切。古いキットだから、胴体左右にズレがある。これはガリガリ削って段差をなくし、サンドペーパー2000番で傷を消す。その後に楊枝の斜面でクチュクチュと擦ると、ほぼ鏡面に回復できる。もっと丁寧な方法はあるが、楊枝でクチュクチュはお手軽。
銀色は成形色をいかすといっても、接合部分やランナーからのゲート部分は色が変わってしまう。そんな場所にはごく狭い範囲で銀色を塗って目立たなくしてある。それと、ところどころにシャインシルバーを擦り付けて、メリハリと色の変化を加えてある。
赤は赤、黒は黒の原色を塗った。微妙な色にしないほうが、この時代のプラモデルって感じになるように思ったので。
このキットの塗装説明に「マーキングを手描きする場合は彫刻線を利用、デカールを貼る場合は彫刻線をサンドペーパー等で削ってください」とあった。もちろんデカールはあるのだが、マークは塗ることが優先なのだ。彫刻線を削ると他の線も消してしまうだろうから、USAFとUS…とかの文字は塗りを選択。国籍マークは塗り分けが面倒なのでデカールにした。でも、国籍マークの凸線を消さなかったのでボコボコになっている。やはり削るべきだったが、まあ、いいのだ。デカールは使用限界ギリギリで使えた。
最後に光沢スプレーをかけた。これで、鏡面に回復させたところが全く分からなくなる。

  完成だ。銀色を塗らなくても立派なものだ。プラの湯流れ跡も景色のウチで楽しめる。塗らないって作り方も充分にアリだ。(開封からの完成まで、所要日数は3日でした)

※私もやってみようかナ、と思った方に念のため
塗らないで作るには、それで済むように組むのが前提。特にこの時代のキットは、塗った方が楽かも。


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