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三菱艦上戦闘機 烈風11型(MPM 1/72)

by 小山新一



[発端]
 ストックしていたキットを作ろうとするモチベーションは様々である。新作の戦争映画をみたから、あるいは航空雑誌の最新号が取り上げたから等々。しかし、私の今回の烈風の場合は、珍しいケースであろう。
 二か月ほども前のことであったか。2Fで片づけものをしていたらしい妻が、おりてきて私に、プラモデルのボックスを2つ差し出したのである。「2階の洗面所の、引き出しに入ってました」といいながら。
 モデラー諸氏は家族に対して、趣味の模型づくりについて、どんな約束をしておられるだろうか。私に関していえば、塗装は自分の室内でのみ(筆塗り)、スプレーは外に限ること、完成品とボックスともに自室から出さないことが、主な不文律になっている。だから、ボックスが自室以外から出てきたのは、約束違反なのであった。そうしたわけで、私は黙ってボックス2つを受け取った。一つが1/72のBACキャンベラ(エアフィックス)で、もう一つが今回作った1/72の、MPMの烈風である。で、これをきっかけに作ることにした。洗面所の引き出しに入ったいきさつは、部屋の引っ越しにともなう緊急避難だったようで、すっかり失念していたのである。  


ボックス・アート 考証しっかりしている!

[実機について]
  昔、1年がかりで本機のソリッド・モデルを作ったから、烈風に関しては、たいていのモデラーよりは詳しいとの自負がある。零戦の後継機として設計、試作されたものの、エンジン選定の失敗などがたたり、試作段階のままで終戦を迎えている。間に合わなかった傑作機などと持ち上げる向きもあるが、間に合わなかった時点で、傑作機と呼ぶには値しないと思う。


左側面(後方より)

[模型の制作]
  購入してから、もう20年ほどもなるだろうか。簡易射出成型の組みにくいキットだなと、失望気味のところに、ファインモールド社のできのいいキットが発売され、そちらになびいてしまった。
 MPMはチェコのメーカーだが、はるか東洋の日本機を積極的に製品化してくれている。初期製品のこととて、主翼の外翼はムク、しかも中央翼との接着のために、ホゾもピン穴もない。イモづけでは強度が足りないし、烈風の美しい二段上半角の再現は不可能だ。金属のピンを埋め込み接着、継ぎ目と隙間はタミヤのエポキシ・パテで埋めた。ソリッド感覚で対処、めげずに組立てを完了したのち塗装をする。
 デカールが使えたのはありがたかった。密着性もよく、ストレスなく完成にこぎつける。


パーツ全体の配置


主翼結合、エポキシ・パテ盛り

 しまい込んでいたファインモールドの1/72烈風11型と並べ、ツー・ショットを撮る。MPMの烈風、完成形は悪くなく、少し離れてみるとファインモールドのそれと区別がつきにくい。外形での区別は、新資料の反映でファインモールドの方、水平尾翼の翼端が角型になっている。もう一つのユニークな判別法は、目をつぶって持ってみるとわかる。なぜか、MPMの方がはっきりと重いのである。簡易射出の成型ゆえに、各パーツが肉厚だからである。前述のように、主翼の外翼はムクだしね。


ファインモールドの烈風とのツーショット


右側面(前方より)


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