Home > 自由の女神(イタレリ ノンスケール) >特集 米国 甲冑、橋、建物、鉄道、動物、恐竜など>2023年12月号

特集 米国 甲冑、橋、建物、鉄道、動物、恐竜など

 自由の女神(イタレリ ノンスケール)

by 平針みなみ HIRABARI Minami



ニューヨーク港内のリバティ島に立つ自由の女神像は、アメリカを代表するシンボル。

ということでイタレリの自由の女神のキットを作ってみました。このキットはWorld Architecture The most famous monuments(世界の建築、最も有名なモニュメント)シリーズの第2弾です。なお、第1弾はパルテノン神殿、第3弾はコロッセウム(1/500)です。

フランスからアメリカ独立100年の記念に贈られた自由の女神像は、現在リバティ島と呼ばれている島に、それ以前からあった要塞の上に、アメリカ側で新たに台座を作り、その上に女神像をのせた3層構造になっています。

イタレリのこのキットは、どこを見てもスケール表示がありません。海外の通販サイトでいいかげんなスケール表示をしているものがありましたが、Fine Scale Modelerのサイトでは1/564としていました。これは要塞の底面から、トーチの炎の上端までの寸法をもとに計算したもののようです。もう少し詳しく(幅が分からなかったので高さからだけですが)3層それぞれで見ていくと、女神像と台座はそれぞれ1/500より少し大きいくらい、それに対して要塞はかなり小さくなっています。キットを組み立てたものと実物の写真を見比べてみても、要塞がかなり小さくなっているのが分かります。これは、要塞を像や台座と同スケールにしてしまうと、要塞に比して肝心の女神像が小さく、貧弱に感じられるようになってしまうため、このような異なるスケールにしたのだと思います。

キットには12ページの小冊子が入っていて、前半が自由の女神の解説、後半がキットの組み立てを図示したものです。そこには星条旗を塗装したくない人のためにということで、星条旗を印刷したものがあり、それを切り取って旗竿のパーツ(旗のモールドを切り取ってから)に貼り付けるというもの。

キットのパーツ総数は12点。

パパッと組み立てて塗装すれば、すぐにできあがると考えていましたが甘かったようです。

要塞
要塞は最下層の頂点が11ある星形部分と2つの正方形部分の3つパーツから成っていて、積み重ねて要塞部分が形成されます。下の写真がその要塞の姿で、写真で下に見える方が正面になります。その2段目のパーツの手前左端に旗竿を差し込む穴が開けられていますが、実際に星条旗が翻っているのは要塞の後方の場所なのでこの穴は埋めました。


台座
4つの側壁パーツとその上の正方形の2パーツから成っています。4つの側壁パーツの下の辺にある出っ張りを、要塞の一番上のパーツの窪みに差し込み、上の辺は正方形のパーツに止めるようになっています。さらにその上にのせる正方形のパーツに女神像を取付けるようになっています。

要塞と台座は、手を加えずそのままを受け入れています。
サーフェイサーを吹き付けた状態の要塞と台座。付属の小冊子の上に乗っています。


自由の女神像
女神像は、冠(クラウン)・頭頂部とそれ以外の2つのパーツで成型されています。ということは、ほぼ全身が一体成型。
パット見たところでは、よさそうだったのですが。




次は左右の側面の写真です。
左側面を見ると、左腕の前側がえぐれています。袖口は実際の位置より後方になっています。足のあたりはかなり平になっていて立体感に乏しくなっています。


右側の側面もかなり平になっていて、とくに足の部分のローブの皺が水平面に平行になってしまっているところがあります。


実際の像の写真とキットを見比べると全体的に違和感があります。
上記のキット成形上の制約によるもののほか、女神像の体つきが細目になっています。私がイメージする一般的な「女神さま」はこのような感じでいいのですが、自由の女神の像には、顔つき、表情も、体つきも、毅然とした力強さのようなものが感じられます。

顔は真正面を向いているはずですが、少し右向きになっています。また、横から見ると頭部が前に出すぎているように感じます。
実物を左側から見ると、スクッと直立してスタティックなイメージ、それに対し右側は足先を縁の近くまで開き、かかとをあげて履いているサンダルの裏が見えています。ローブの上から、太もも、ふくらはぎ、かかとへと至るラインが感じられダイナミックなイメージが感じられます。キットではこういった造形上のポイントともいえるような表現が不十分です。右足先はあまり外に出ていないし、かかとが見えているまずなのにローブに隠されています。足先を外に動かすのは大変なので、かかとだけローブから外に出しているように加工しました。

あちこちローブの皺や袖口などの開口部におかしいところがあるので、パテを盛ったり、削ったりしてみましたが不十分です。

トーチを持っている右腕は、実物ではもう少し前に出しているようです。また腕自体が細く感じられたので少しパテを盛りました。

トーチの炎の形が変で、チューリップの花を1輪持っているかのようです。また後方にたなびいている炎は省略されています。トーチの柄の下の方を少しカットして短くし、炎も途中から上をカットして短くし、それらしい形にパテを盛り、後にたなびいている炎もそうみえるようにパテ盛りしました。炎はゴールドに塗っています。

・左手で抱えている「アメリカ合衆国の独立宣言書」の上部左右端に切り込みがあるのでニッパーでカットしました。表紙には3行にわたって次のように独立した日付(1776年7月4日)が記されているのですが、
        JULY
         IV
      MDCCLXXVI

年号のローマ数字がところどころ省略されています。ここのスペースのことを思うと、正確に表記してよく見えなくなるより、それらしくローマ数字が並んでいるほうがよいと思うことにしましょう。

実物では左足のサンダルで鎖を踏みつけ、右側のローブの裾から足枷と鎖がのぞいていますが、キットでは省略されています。これこそ「自由」への象徴であり、自由の女神たる所以ともいえるものだと思いますので、適当なサイズのチェーン(モノクローム汎用極細チェーン)と余剰な爆弾パーツを細切りにした足枷を置きました。足枷の形状はもっと複雑なもののように見えますが、はっきりと形が把握できませんでした。

足下の縁に沿って並んでいる丸いものはキットでは再現されていません。これが何なのかよくわかりませんが、像と台座をジョイントするためのものでしょうか。


あちこちにパテを盛ったり削ったりして、最後に頭部に冠をかぶせたところ、ここもイメージが悪かったです。冠はあみだに被っているようだし、冠の高さも切り詰めた方がよさそう。冠の中央に頭頂部が見えるのですが、その形状が十分再現されていません。ここも手を入れずそのままにしています。


塗装
キットの指定では台座・要塞の塗装は、側面がフラットライトブラウン、要塞の上面などはフラットライトフレッシュ。自由の女神像は、フラットペールグリーンの指定。11角の要塞の上面には歩行帯のかように見えるラインがあり、これもフラットライトブラウンで塗りました。
それぞれの色は、実物の写真を見たりしながら適当に似たような色で塗ってみました。




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