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特集 米国海軍機

SBD-3 ドーントレス (ハセガワ 1/48)

  by 寿



 ドーントレスと言えばミッドウェー海戦。ミッドウェー海戦といえば先代未聞の戦闘中の爆雷装交換で甲板を火薬庫そのものに変え、普通なら致命傷にならない筈の爆弾如きで三隻の空母を一瞬にして喪失したことで有名です。まさに報仇雪恨、憎っくき宿敵ドーントレス、恨み晴らさずにおくべきかってところでしょうか。 



 まぁ日本軍が油断と傲慢の果てにやらかしただけの話で、ドーントレス隊は狙ってやった事ではないのですから些か筋違いな気もしますけれどもね。普通やらないよ、一分一秒を競う航空戦の最中に爆撃にしようか雷撃にしようか迷った挙げ句、二回も魚雷と爆弾を交換させるだなんて。ご当人達にはご当人たちの理由があったのでしょうけれど「上空に制空隊が居るから大丈夫」という緩んだ考えがあったのは否めないのではないかと。



 IF小説とかでは日本が勝ったミッドウェー海戦が山ほどありますが、当時の日本の増長っぷりから考えると「例えミッドウェーがセーフでも、似たような大ポカを何処かでやらかしていた気はする」と軍事評論家の岡部いさくさんもおっしゃっています。わたしも全く以て同感です。古今東西どの軍隊も連戦連勝すると調子ぶっこいちゃうって話なんでしょうね。 



 それはそうとしてドーントレス。キチンと調べたことは無かったけれど以外や以外、思った以上に真っ当なヒコーキだったのね。後継機のヘルダイバーよりは随分とキチンとした機体で、しょぼしょぼの最大速度以外は現場に好評で、急降下爆撃機に求められるものは全て備えた機体だったようです。ちなみにSB2Cヘルダイバーは、カタログスペックは優秀で上層部には好評だったけれども使う方からしてみれば相当にスカタンな機体で、型番をもじって「サノヴァビッチ・セカンドクラス(Son of a Bitch 2nd Class:二流のろくでなし)」と忌み嫌われていたのだとか。(ウィキペディアより)
 どうりでドーントレスが終戦まで使われていた訳だよ。 



 アメリカも色々調べてみると結構無茶無謀強引なことやっていて、よくコレで勝てたなと唖然とするシーンが多々あります。同じ事他の国でやったら絶対ポカってるよ、てな場面も得意の組織力と基本ドクトリンの優秀さ、そしてそれを支える生産力とで乗り切っている感じです。国力云々よりも根本部分が違っているのだよなぁと感じ入ることしきり。 



 ドーントレスが地味な性能ながら現場に好評だったのは、こういった基本原則を大事にする姿勢の発露だったのではと思う次第なのであります。  



製作の詳細

(写真1) 小池先生のボックスアートです。この頃のアメリカって「パールハーバーを奇襲した卑怯卑劣なジ○ップ」「ステイツに刃向かうなんて100万年早い」「黄色人種は黄色人種同士でコ○シあってりゃいいんだ」的なイケイケゴーゴーなノリでハデハデ塗装がまかり通っていた時期のものですね。やがて「あり、ひょっとしてゼロってヤバいんじゃね?」という意識が浸透したり、中央の赤丸を日の丸と誤認されてフレンドリーファイアされたりで今度は地味地味塗装になってゆく訳ですが、まぁなんちゅうか、天狗になっていたのは日本も変わらないのでお互い様というところですね。

(写真2) 多種多様な事情が重なって締め切り四日前でこの有様であります。いや~どうしよ。間に合うんかなぁ、コレ。


(写真3)制作時間が逼迫した最大の原因です。ホントは開けるつもりなかったんだけれど、ちょっとした浮気心というか気の迷いというか、なんちゅうかそんな感じのヤツです。「この機体を作るからにはコレやっとかにゃならんだろ」みたいな?プラモやっているとそういう瞬間ってあるよね。
 なるべくペラペラに見えるように開口部には皿サグリを入れてます。効果があったのかと問われると、うーん、微妙じゃね。

(写真4) ニュートラルグレー吹いた後に朱色っぽい赤をぷーと吹く。ホントの真っ赤だと主張が強すぎる気がしたもので・・・・まぁこんなもんでせう。


(写真5)エンジンは見事なモールド。嗚呼、でもこれでお別れなのですね。集合排気管のパーツまで入っているのに。このキットは意外に細かい所までリキ入っているのよ。なので最後の記念にパチリ。

(写真6) 下塗りにネービーブルー塗って上塗りは所謂「空自F2洋上迷彩用の二色」を程よくブレンドした色を塗りました。実機はもっと濃い感じだけどこーゆー色合いの作品もあるって事でw


(写真7) 完成であります。垂直尾翼のデーハーさが正にアメリカ。インシグニアと合わせてまさに「星条旗よ永遠なれ」です。オメデタさ全開です。これでイエローウィングだったら完璧だったんだけれどもなぁ。流石に戦時中の軍用機に黄色い羽根でははしゃぎすぎだと気付いたようで。




(写真8) おまけです。ドーントレスと云えばダイブブレーキ。ダイブブレーキと云えばドーントレス、という位に特徴的な穴ぼこ付きフラップであります。改良型は二度にわたりエンジンをパワーアップさせて性能向上を図ったんだけれど、全然まったく思ったような効果が現われなかったのだそうな。
 ひょっとすると原因は、翼面上面にまで開口したこの猛烈なまでの穴ぼこのせいなんじゃないかしら。下面なら兎も角、翼上面にこの貫通孔ってどうよ?下までずず抜けなんですけれど。何だかこれのせいでめっちゃ気流を乱して誘導抗力増やしている気がするんですけれど。




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