製作上の留意点は次の通りです。
① コクピット直後の風防中央部に風防枠がモールドされていますので、後ろから2本目の枠以降を残して枠のモールドを削っておきます。
② 風防は開状態と閉状態の2種類のパーツがありますが、開状態パーツを使用する場合には、そのままでは後部風防パーツ№H4、H5が中央風防内に収納できませんので、パーツ№H4、H5の高さを低くするか、中央風防パーツ№H3を0.5~0.8㎜程度嵩上げが必要です。
③ インストラクションでは片翼2基の機銃をセットするようになっており、左右の主翼上面には機銃点検口がモールドされています。しかし、薬莢排出口は左翼下面に機銃1基分しかモールドされていませんので、インストラクション通りにする場合には、左翼外翼下面にもう1箇所、右翼下面は内翼、外翼にそれぞれ1箇所、計2箇所の薬莢排出口を作ることが必要です。
Naval Fighters №106「Vought SB2U Vindicator(2018年)」207頁に左翼外翼下面の薬莢排出口がはっきりと確認できる写真があります。作例の機銃は、左翼のみにセットしてあります。
ちなみに、Accurate MiniaturesのSB2U-3のインストラクションでは、モールド通り左翼内翼に1基の機銃を取り付けるように図示されています。
塗装は、上面Blue Grey、下面Light Greyの当時のアメリカ海兵隊の標準塗装です。下面のLight GreyはANA602(FS36440)でしたのでMr.カラー325番を使用しましたが、問題は上面のBlue Greyでした。Squadron/Signal 「 Navy Air Colors Vol.1 1911-1945(1983年)」67頁にはSea Grey ANA603 と書かれており、あまり青みのないグレーで、ニュートラルグレーにやや青みを増した色です。
FSナンバーでは36118です。そして、注記には「Also known as Non-specular Blue Grey」とも書かれています。
しかし、Monogram Aviation Publications「The Official Monogram US Navy &
Marine Corps Aircraft Color Guide Vol.2 1940-1949 (1989年)」には、Sea Grey ANA603以外にも3色のBlue
Greyの色見本が示されていました。
3色の色見本の内の1色に近いものが、Mr.カラー367番(FS36189)でやや青みの強い文字通りのBlue Greyです。当時に撮影されたカラー写真を見ると、上面色は青みの強いものと青みのないBlue
Greyが見受けられます。
当時のカラー写真を何枚も見て迷ったあげく、上面はソリッドカラーのA2ブルーグレーFS36118で仕上げました。最後にカウリングの排気管後方のパネルはスチール色で塗装します。
参考資料として、実機関係の洋書ではAircraft Pictorial №2「 SB2U Vindicator(2009年)」、Naval
Fighters №106「Vought SB2U Vindicator(2018年)」の2冊が細部写真も多く有用でした。併せて、外形変化の推移理解のためにはSquadron/Signal
In Action№122「 SB2U Vindicator In Action(1992年)」が役に立ちました。
和書では航空情報別冊「アメリカ海軍機の全貌(1967年)」を参考にしました。今回悩んだ塗装関係については、前述の2冊以外にModeler’s
Journal Color Chart Supplement C.3「ANA Standard Aircraft Colors 1943-1970(1972年)」を参考にしました。