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(Photo)　カーチス ホークⅡ ＆ Ⅲ

by　 コルディッツ
博物館実機写真

　1923年1月にカーチス社の開発した複葉単座戦闘機 P-1（開発時の呼称はXPW-8）の初飛行が成功し、アメリカ陸軍航空隊で最初のP（Pursuit、追撃機）の識別番号を持つ機体になりました。P-1のカーチスV-1150-1液冷12気筒エンジン(435hp）を、同社製V-1570C液冷12気筒エンジン（600hp）に換装した機体がP-6で、P-1に次ぐ主要戦闘機になります。アメリカ海軍もP-1に注目していたため、カーチス社はP-1の艦載機版F6Cを75機生産し、空母ラングレーとレキシントンで運用されました。カーチス社のモデルナンバーは、P-1がモデル33、P-6がモデル34、P-6Eがモデル35、海軍のF6Cがモデル34Cとなっています。カーチス社がモデル33を母体に、次々にエンジンの換装や小改造を積み重ねて、商品化していく手法を確立した時代のように思われます。
※　本稿は博物館の表示、ポーランド空軍博物館の英文ガイド
ブック、Wikipediaを参照しました。

　Curtiss　P-6E
　アメリカ空軍博物館（デイトン）にて　　　　2004年12月撮影


　海軍版のF6Cは、陸軍版の液冷エンジンをP&W R-1340 ワスプ（450hp）空冷星型エンジンに換装したF6C-4が作られ、以降空冷星型エンジン装備のカーチス・ホーク戦闘機が続きます。1932年にエンジンを600hpに強化したモデル64が初飛行に成功し、F11Cゴスホーク（大鷹）として採用されます。
C-1、C-2、C-3の3型式があり、C-1は前代のF6Cを改造した試作機でモデル64、C-2は生産型でモデル64Aで、海軍向けに28機が生産されました。C-2は胴体に7.62mmブローニング機関銃2挺装備し、胴体下にハードポイントを備えて215kg爆弾1個を搭載か、主翼下に53kg爆弾を各1個搭載する事ができました。このためF11C-2は戦闘爆撃機として、後にBFC-2に改称されます。
C-3はモデル67に当り、手動式着陸装置を導入しています。C-3も戦闘爆撃機として後にBF2C-1となります。
BFC-2の次がBF2C-1になるので混乱しましたが、これで正しいようです。
それぞれに輸出型が作られ、C-2はカーチス・ホークⅡ、C-3はカーチス・ホークⅢと呼ばれています。

　 Curtiss Hawk Ⅱ　　D-IRIK　　　
　ポーランド空軍博物館（クラコウ）にて　　　2011年5月撮影


　現在ではレストアが修了し、他のコレクションと共に展示されています。本機の由来は、第一次世界大戦のドイツの空のエース、エルンスト・ウーデットが1933年に渡米し、急降下爆撃機に注目して、カーチス社のF11C-2（BFC-2）をドイツ空軍の急降下爆撃機開発の参考にするため、ドイツ航空省に購入に働きかけ、これにドイツ航空省が応じて、2機の非武装型のカーチス・ホークⅡを購入した事に始まります。このうち1機（D-IRIS)は、ウーデットが1934年に操縦中に墜落して喪われますが、脱出に成功しました。
残る1機（D-IRIK）は1934年から1937年にかけてエア・ショーでアクロバット飛行を行ないました。この間の1936年にベルリン・オリンピックが開催されたため、ナチスの旗と五輪マークが一つの機体に描かれる事になりました。ドイツ航空機コレクションの1機となり、第二次世界大戦開戦後は英空軍の夜間爆撃を避けて、ベルリンからポーランドに疎開し、戦争の結果ポーランドの所有となりました。



　カーチス・ホークⅡの残存機は本機と、アメリカ海軍博物館（ペンサコラ）所蔵のBF2Cの2機のみとの事です。


　 Curtiss Hawk Ⅲ　KH-10　　　　　　　　　　2017年6月撮影
　王室タイ空軍博物館（ドン・ムアン、バンコク）にて




　カーチス・ホークⅢはF11C-3相当の複葉単座機で、主脚の引き込み機能が追加されています。タイは24機のホークⅢを導入し、ライセンス生産権も取得、1934年から1949年まで運用しました。
　同空軍のホークⅢは1944年4月8日に英空軍のボーファイターと空戦し、1機撃墜されましたが、パイロットは脱出できました。




カーチス・ホークⅢの残存機は、タイ空軍博物館に展示されている機体のみとの事です。


　 Curtiss Hawk Ⅲ　IV-1（Replica）　　　　　
　航空教育展示館（岡山、高雄市郊外）にて　　2018年12月撮影


　中華民国はカーチス・ホークⅡ（BFC-2)を52機、ホークⅢ
（BF2C-1）を102機導入し、対日戦に用いました。






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