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 (Photo) M29C ウィーゼル

by  コルディッツ
博物館実機写真

 M29ウィーゼル(Weasel)はアメリカのスチュードベーカー社で開発され、生産された雪上車です。開発目的はドイツ占領下のノルウェーにあるヴェモルクにある重水製造工場破壊のためで、破壊任務を行なう特殊部隊が、雪上で使う軽量高速輸送車が必要と考えられたからです。実際にはノルウェーでの作戦にM29が使用されませんでしたが、装輪車では移動困難な泥地や沼などの地形を、移動可能な車輌として、欧州や太平洋で広く運用されています。
 1943年11月にM29輸送車として米軍に制式採用され、第二次世界大戦終了までに約15,000輌が生産されました。戦後も国共内戦やインドシナ戦争で運用され、その後は極地探検にも用いられています。
※ 本稿は博物館の標示を参照しました。

   M29C Weasel
 自動車&技術博物館(ジンスハイム)にて 2020年3月撮影


 ウィーゼル(Weasel)はイタチの意味。M29CはM29の発展型で、M29の車体の前方と後方にフロートを装着、後方に2枚の舵を追加し、水上航行能力が強化されています。


 同博物館にはM29も展示されていますが、国籍マークの都合により、本稿ではパスさせて頂きます。

  M29C Weasel / BandVagn (Bv) M/48
 戦車博物館(アーセナル、スウェーデン) 2014年6月撮影  


 戦後、スウェーデンもM29Cを数量購入して、操縦席右脇に置かれた燃料タンクを後方に移し、空いた区画に座席を設置しています。スウェーデン軍ではBandvagn (Bv) M/48 と呼称され、Bandvagnはスウェーデン語で軌道車を意味します。


 展示車輌は燃料タンクの移設がありません。実は展示車両はスウェーデン軍の物ではなく、ノルウェー軍の装備品との説明がありました。



   M29C Crabe
 戦車博物館(ソミュール)にて      2016年8月撮影


   第二次世界大戦後フランスはM29Cを購入し、インドシナ戦争に投入します。フランス軍の愛称は「クラブ」(蟹)で、偵察と襲撃任務に用いられました。



   上-車体前部 
  
  下-運転席席と計器盤。




   後部座席は3席です。

   M29C 黄鼠狼(中国語でイタチの意味)
 中国人民革命軍事博物館(北京)     2019年4月撮影




   M29Cの履帯幅は20インチ(510mm)。M29は15インチ(380mm)
よりも拡張されています。


 朝鮮戦争で米軍からの捕獲品と考えていたら、国共内戦時の1949年に、上海で国民党軍からの捕獲と説明されていました。


   M29Cで特徴的な2枚舵。

国民党軍からの捕獲なのに、なぜ米軍の塗装のままか分かりませんでした。米軍から供与された車輌の塗装を、国民党軍は塗り替える時間が無かったのでしょうか。


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