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特集 アメリカ陸軍機、民間機

 Curtiss P-40E “Warhawk” 製作記(Revell/Takara 1/48)

by Kiyoshi Iwama(ひやめし会)


Curtiss P-40E “Warhawk” Revell/Takara (1/48) Box Artより

 普段はプロペラの無い飛行機を製作する機会が多いのですが、12月号のテーマに合わせて第二次大戦の米陸軍機を製作してみました。P-47やP-51はこれまでに何機か製作したことがありますが、P-40は子供のころに作ったマルサンの1/100以来だと思います。今回のキットはときたま開催されるクラブ内のオークションで入手した、Revell-TakaraのP-40E “Warhawk”(1/48)です。このキットもかなり昔のキットですが、形状は本機の特徴を良く捉えています。コクピットは少し手を加えましたが、他の部分はできるだけストレートに組み上げてみました。


完成したP-40E “Warhawk”(キャノピー開状態)

実機紹介

 P-40は星型エンジンを搭載したP-36 “Mohawk”戦闘機を液冷のアリソン V-1710エンジンに換装した機体として生まれました。そのためプロトタイプのXP-40は、P-36Aの1機を改修したもので、V-1710-19を搭載して1938年10月に初飛行しています。そして量産化されると、様々なヴァリアントが産み出され、米陸軍だけでなく、英空軍(RAF)でも多数、採用されました。このP-40、米陸軍ではE型以降一貫してウォーホークのニックネームで呼ばれましたが、RAFでは型式によってトマホークやキティーホークの名称が付けられました。P-40はヴァリアントの多い機体ですが、機体の全長から、9.45mのE型までを前期型、10.16mのF型以降を後期型と区別されています。そして各型合わせた総生産数は14,000機に達しますが、そのなかで2320機が生産されたE型は前期型の代表ともいえます。

基本要目はエンジンをアリソンV-1710-39にアップグレードしたD型と同じですが、主翼に12.7㎜機銃を左右各1挺ずつ追加し、合計6挺の12.7㎜機銃を搭載しました。このため重量が若干増え、最大速度が570㎞/hとなっています。爆弾は胴下のパイロンに315㎏まで搭載可能ですが、後に主翼にも爆弾架が追加されています。またこのE型はRAFでは、”Kittyhawk Mk.1A”と名付けられました。

P-40Eが最初に送られた戦場は中国大陸で、抗日戦の義勇軍として活動していたシェン・ノート中将率いる米陸軍航空隊、第23戦闘大隊、通称“フライング・タイガー”でした。1942年3月に30機のP-40Eが配備されたのですが、新鋭のP-40Eにしても空戦では日本の戦闘機には敵わず、もっぱら地上攻撃に使用されたようです。そんなこともあり、低性能機のレッテルを貼る人もいますが、頑丈な機体に、コクピットの防弾や燃料タンクの防火対策など、搭乗員へ残存性への配慮は日本機よりも優れものでした。確かに同じ液冷エンジンを搭載したP-51やスピットファイアと比べると性能やスマートさでは見劣りがしますが、それでも総生産機数が14,000機にも達し、米国や英国を含め、連合国軍で広く使用されことを考えると、使いやすい機体だったと言えます。


P-40E “Warhawk” Revell/Takara (1/48)

製作

 このキットがリリースされたのは1979年と古く、パネルラインは凸彫りです。しかし細い線で綺麗に彫刻されており、そのまま活かすことにしました。部品点数は39点と少なく、最近のキットとは対照的です。しかし老眼の目にはこの方がありがたく感じます。コクピットは左右の胴体を接合してから下方から組み込めるのも好感が持てました。できるだけストレートに組もうと思っていましたが、間違って購入したATMのP-40E用エッチングパーツがあったので、これを組み込んでみることにしました。完成機は付属のデカールでフライング・タイガーの機体に仕上げたかったのですが、デカールが黄ばんでいたため、手持ちのマイクロスケールのデカールを使用してアイスランドに駐留した第343戦闘群第18戦闘飛行隊所属機に仕上げています。それでは以下に製作過程について簡単に述べます。


1. コクピット
 まずはコクピットから始めます。最初にキットの主計器盤にある計器類のモールドを削り落としエッチング製の主計器盤を貼り付ける準備を済ませます。そして主計器盤、コクピット側壁、シート等コクピット部位をインテリアグリーンで塗装しました。次にエッチングパーツの計器盤を貼り付けるのですが、本キットの計器盤は真中で折れ曲がっているため、ATM用のエッチングパーツをそれに合わせて折り曲げ、貼り付けました。(写真1)が出来上がった主計器盤です。またコクピット側壁にもエッチングパーツの部品やプレートを取り付けました。
(写真2)が左側面、(写真3)が右側面です。
そして(写真4)がシートベルトを取り付けた座席です。

 (写真1) 主計器盤


(写真2) コクピット左側面

   (写真3) コクピット右側面

(写真4) 座席

  これでコクピットの主要構成品が出来上がりました。後は床面にこれらの構成品と操縦桿を取り付ければコクピットは完成です。


2. 胴体・主翼部
 次に胴体と主翼の製作です。胴体は左右のパーツを貼り合わせればいいのですが、貼り合わせる前に、機首上部にはエンジン排気口を、そして機首先端部には(写真5)のダクトの付いたエンジンオイルの冷却ラジエターを先に取り付けなければなりません。このため(写真6)の胴体左パーツのように吸気ダクトが取り付く部分を機体下面色のニュートラルグレイを塗っておきます。なお冷却ラジエターの吸気口にはエッチングパーツを使用しています。

(写真5) 冷却ラジエター

  (写真6) 胴体左側パーツ

 また写真では見えませんが、排気口周りの胴体表側は機体上面色のオリーブドラブを塗っています。そうすることによって胴体組み立て後、組み込んだエンジン排気口を周辺部丸ごとマスキングしてオリーブドラブの塗装ができます。一方、主翼は下面が左右一体、上面が左右別に整形された3つのパーツから成っています。主輪収納口内側部をインテリアグリーンで塗って上下接着、接合部を整形すれば主翼が出来上がります。上反角もぴったりです。

 その後胴体パーツの左右を接着し、コクピットを組み込んだ後主翼を取り付けます。翼取り付け後の姿を上から見た様子が(写真7)、下面を見た様子が(写真8)です。組み込んだエンジン排気口部分と主輪収納口の部分にはマスキングテープを貼っています。上面の胴体と主翼の接合部はぴったりですが、下面は後端部に隙間が空き、胴体のつなぎ目にプラ板を挿入して整形しました。

(写真7) 胴体と主翼を接合した状態(上面)


(写真8) 胴体と主翼を接合した状態(下面)


 組み込んだコクピットの部分が(写真9)です。主計器盤とウィンドシールド取り付け部との間に隙間が空きます。キットにはパーツが無いのでグレアシールド部のパーツをプラ板で自作しました。(写真10)グレアシールドの切り欠き部はガンサイトが入り込む箇所です。

(写真9) 組み込んだコクピット


(写真10) 自作したグレアシールド


 胴体と主翼の接合部には隙間の生じる箇所があり、パテ埋めで修正しました。(写真11)

(写真11) 胴体と主翼接合部の整形箇所



3. 機体の塗装とデカール貼り
 機体の塗装色は、前述のように上面がオリーブドラブ、下面がニュートラルグレイです。まだ水平尾翼が付いていませんがラダーに付ける白色のマークを塗装するため、水平尾翼は塗装後取り付けることにしました。デカールはマイクロスケールのものを使用しましたが、やはり古いためマイクロスケールのデカール・リキッド・フィルムで補強した後、軟化剤を使って貼り付けました。水平尾翼を取り付け、デカールを貼り終えた状態の機体上面が(写真12)、下面が(写真13)です。
デカールの数が少なく、助かりました。
そして主計器盤の上にガンサイトとグレアシールドを取り付けた状態が(写真14)です。これで少し見れるようになりました。ガンサイトの前方の機首上面にあいている小孔は、照準具を取り付けるためのものです。

(写真12) デカールを貼り終えた機体上面

(写真13) デカールを貼り終えた機体下面

(写真14) ガンサイト、グレアシールドを取り付けたコクピット

4. 最終組み立て、仕上げ
 機体全面に艶消しクリアと半艶クリアを1:1で混ぜたクリア塗料を吹き付け、デカールの保護と表面のツヤの調整を行いました。その後僅かに墨入れや汚しを行いました。後はウィンドシールド、キャノピー、主脚、尾輪、胴下の燃料タンク、そしてプロペラなどを取り付けるだけです。ウィンドシールドとキャノピーはマスキングテープを外した後、回り込んだ塗料の清掃を行い、軽くコンパウンドで磨きました。キャノピーは固定せずに開閉ができるようにしています。最後にピトー管と、照準具を取り付けて完成です。完成したウォーホークを(写真15~18)に示します。

(写真15)  完成したP-40E “Warhawk”


(写真16)  完成したP-40E “Warhawk”


(写真17)  完成したP-40E “Warhawk”


(写真18) 完成したP-40E “Warhawk”(キャノピー開状態)


 いくつか失敗もしましたが、何とか完成できました。組み上がってみると最初にも書きましたが、ウォーホークの特徴を良く捉えたキットです。やはり部品点数が少ないというのは、作りやすさにつながるようです。


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