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特集 ドイツ機

フォッカー・アインデッカーE.Ⅱ (エアフィックス 1/72)

  by 翔バナイカイ 栗人@ケータイ



 ドイツ機特集のお題の下、今回は私のドイツ機最新作であるマックス・インメルマン搭乗機フォッカー・アインデッカーE.Ⅱ37/17をご紹介致します。



 アインデッカーは初めてプロペラ同調装置つき機関銃を装備し第一次大戦の1915年夏から約半年間、連合軍機に対して猛威を揮い(「フォッカーの懲罰」)、制空権の概念を初めて具現化した機体。
 アインデッカーによる公式戦果第一号を記録したのがインメルマンであり(*1)、ドイツ帝国の最高勲章「プール・ル・メリート」の授章者第一号でもあります。この勲章は彼の名をとって「ブルー・マックス」と称されるようになり、さらに彼はインメルマンターンという空戦機動に名を残しています(実は彼があみ出した空戦機動は現在言われるインメルマンターンではなく、現在のハイスピード・ヨーヨー機動に近い内容。もっとも速度域は現在とは桁違いですが)。
(*1)1915年8月1日の撃墜記録によるもの。しかし最近の研究では、その半月前に別人が撃墜戦果を記録しており、これがアインデッカーによる最初の撃墜戦果らしい。



 ベースとしたキットはエアフィックスが2016年に発表したもの。非常によくできた内容の古典機キットで、コクピット周り等の細部もスケール相応でよく再現されています。組立も胴体下面パーツのはめ合わせに少々ガタが出た位でスムースに進みました。ただし私が感じた注意点が少々。ご参考になれば。
①主翼の取付け
主翼パーツの前後2箇所の「ほぞ」を胴体パーツの「ほぞ穴」に差し込む構成。胴体に差し込むと左右主翼パーツの後の「ほぞ」は胴体を貫通して左右で勘合しますが、前の「ほぞ」は胴体パーツの浅い穴にはまるだけ。後段の主翼リギング作業で力を入れると折れそうで不安です。そこでこの「ほぞ」部分の胴体と左右主翼間に真鍮線を埋め込んで補強しました。
機体主要部の組立て前の様子。

 主翼取付けの補強について、まず横向き赤矢印の「ほぞ」部分にΦ0.4mmの穴を穿っておきます。次に縦向き赤矢印の先にある「ほぞ穴」部分でΦ0.3mmの真鍮線を胴体左右貫通して突き出すようにします。この真鍮線を先の「ほぞ」部分に開けた穴に差し込んで接着しました。

②方向舵の取付け
方向舵パーツのヒンジ部分を胴体尾端上面のソケット部分に差し込むだけでなく、方向舵パーツの下端軸を尾橇のV字支柱に取り付けます。インストシートではV字支柱への取付けがはっきりと表現されていないのでご注意あれ。さらにインストシートのリギング説明では、方向舵の操縦索がなぜか記載されていませんので、ここもご注意あれ。


方向舵の取付け状況。インストシートで省略されていた方向舵の操縦索も追加しています。

塗装は機体全体リネンのベージュが基本色。本機の記録写真では機体上面のみ暗い色が塗られているようで、この作品ではフィールドグレーで塗装しました。機首まわりの金属部分には特徴的な模様がありますが、ここは3種類ほどトーンを変えた銀を面相筆で点描して表現したつもりです。



主翼と尾翼の国籍標識はキット付属のデカールを使いました。一方、胴体の標識は標準よりも横長、かつ高さには胴体上下ラインに合わせてテーパーがかかっているというインメルマン機特有のもので、ちょっと手描きでは難しく、クラブの友人に切ってもらったマスキングシートを使って描きました。機体ナンバーや胴体のステンシル類は手描きしています。
最後にリギングです。以前のモランソルニエLの時と同様に、今回もリギングには「すが糸」(日本人形の髪の毛に使う絹糸)を使いました。

機首周りのアップ。

キット付属の着座姿勢のパイロットフィギュアはお行儀が良すぎてつまらないので、「寒さに耐えて飛ぶ」雰囲気で少々ポーズを変えてみました。コクピット両脇にある黒枠の四角はマップホルダー。左翼にある英軍ラウンデル部分は、被弾箇所を繕ったパッチらしいです。

マックス・インメルマンはE.Ⅱ37/17に1915年の秋~冬の間、搭乗しました。この機体は当初オズワルド・ベルケの搭乗機でしたが、ベルケが他部隊へ転出した後にインメルマンが本機を引き継いだので、第一次大戦初期の二大エースの愛機になったという経歴があります。

機体下面全景

当時のロータリーエンジンは排気とエンジンオイルを撒き散らしていたので、カウリングの開口部がある下面側はその汚れがべっとりとつきます。その様子を表現してみました。

 1916年に入ると連合軍側にも新型戦闘機が登場して「フォッカーの懲罰」は終わりを迎え、インメルマンはその中でも出撃を重ねましたが同年6月18日にE.Ⅲで英軍機との空戦で戦死。彼は「絵に描いたようなドイツ貴族」だったと伝えられる一方、Osprey社の本などにある評伝では、大食漢でいたずらや冗談が好きで軽業もこなす人物だったとのこと。搭乗機の塗装や追加装備のことからも、貴族出身のインメルマンさん、けっこう好き勝手やっていた様子が伺えます。


出撃直前イメージ。発進を間近で見送る人の視線に近いアングルで撮ってみました。



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