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特集 ドイツ機

 Hannover CL.Ⅲa (Airfix 1/72)

by 翔バナイカイ 大山 盛幹



 今月のテーマが「ドイツ機」ということで、第一次大戦のドイツ機ではローゼンジ塗装がネックとなりますが、1996年に製作したHannover CL.Ⅲaを紹介したいと思います。30年近く経った今でも箱詰めのまま保管していたからか、壊れもせずにデカールも色あせていないため、写真も新たに撮り直しました。



  第一次大戦のドイツ機の内、Cクラスは複座の武装偵察機 (Roland C.Ⅱ等)とされていましたが、このクラスより一回り小型で、自重750㎏以下で、対地攻撃、爆撃機援護等にも使えるクラスとしてCLクラスが設定されました。このクラスとしては中心戦力として使われたHalberstadt CL.Ⅱが有名ですが、鉄道メーカーであったHannoverで開発された Hannover CL.Ⅲaも多数が使用されました。



Hannover CLは、まずCL.Ⅱが1917年12月より実践に投入されました。そして、1918年になり、エンジンを換装、補助翼等を改良したCL.Ⅲが投入されましたが、エンジン供給の面から少数生産に終わったため、エンジンをCL.Ⅱと同じエンジンに戻したCL.Ⅲaが1918年4月より生産に入り、570機ほどが生産され、西部戦線での地上攻撃に活躍しました。主翼、尾翼ともに複葉という外形的な特徴を持っていましたが、性能はよく、乗員には好評であったとのことです。



  Airfix の1/72のキットは、初版が1967年で、なんと半世紀以上前のキットですが、現在でも1/72のキットとしては唯一のもので、何度も再版されており、直近の再版は2009年でした。キットの出来はというと、初版発売時期からもわかる通り、当時のAirfixキットの常で外形はしっかりと再現されているものの、操縦席はパイロットと座席のみ、後席は射手のみと非常にあっさりとしたものです。それでも、プラモガイド1974年版では「アウトラインもよく、細部までよく表現され、考証も確か。発動機周りに手を入れると。なおよくなる。」と評価されています。
しかし、Windsock Datafile23「 Hannover CLⅢ(1990年)」では「Generally accurate but with heavy wing rib detail and slightly inaccurate fuselage section. 」とリブの表現がオーバーで、わずかに胴体形状が不正確だと記載されています。そうはいっても、胴体のどの部分をいじればいいのかが不明でしたので、キットのまま製作しました。



  プラモガイドに書かれているエンジンについては、無垢の排気管を開口し、エンジン上面の主翼上面のラジエターへの配管を追加しました。このキットの最大の難関は全面に施されたローゼンジ・パターンの塗装です。
パターンを作って一マスずつ塗装していくことも考えましたが、1/72というスケールを考えると一つ一つのパターンが小さくなるため全面デカール仕上げとしました。塗装箇所は、プロペラ、機首上面、方向舵、上翼上面のラジエターくらいです。今では、ローゼンジ・デカールは考証もしっかりして上面、下面の4色や5色ローゼンジ・デカールが発売されており、加えて夜間用のローゼンジ・デカールも発売されています。また、リブテープのデカールも同様です。



  ボックスアートではグリーン系のローゼンジでしたが、製作当時はこのようなローゼンジ・デカールはなかったため(なお、プラモガイド1974年版では、ABTデカールの利用をすすめています)、当時発売されていたマイクロスケール・デカールを使用することとしました。 デカールは、1/72用の、上面は72-43A、下面を72-43Bを使用しました。これらのデカールセットには、ローゼンジ・デカールだけでなく、リブテープのデカールも含まれています。胴体は主翼より大きめのパターンとなっていたため1/48の48-100のデカールを使用して、差異を表現しました。ローゼンジ・デカールは、主翼上面を一枚のデカールで貼るのではなく、翼弦方向に短冊状にしたデカールの端を重ねるように貼っていきました。大変そうですが、慣れるとそう難しくはありません。ただし、貼ってから余分な箇所のデカールを切り取りますので、常に刃先の新しいカッターが離せません。ローゼンジ・デカール乾燥後にリブテープのデカールを貼っていきました。国籍マークはマイクロスケール72-3を、上翼上面の赤のラインはハセガワのストライプデカールを使用しました。



リギングの張り方ですが、0.6号テグス(0.128㎜)を使用して、翼間支柱に0.3㎜の穴をあけ、胴体側から翼端に向かって通していきます。一カ所の穴を通す毎に眼玉クリップでテンションをかけてピンと張らした後に、伸ばしランナーで作った楔を差し込み瞬間接着剤で固定していきました。この記事をお読みになった方は完成した写真をご覧になって、「こんな派手なローゼンジはなかったよ。」と思われたと思います。上面のローゼンジは青系の色が鮮やか非常に派手な印象になりましたが、確かに色調は違うものの、それらしい雰囲気は出せたのではないかと自己満足しております。



  資料として、洋書では前述のWindsock Datafile23「 Hannover CLⅢ (1990年)」、和書ではデルタ出版ミリタリーエアクラフト1月号別冊「第一次大戦ドイツ軍用機(1999年)」を参考にしました。




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