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(Photo) DH89 ドラゴン・ラピート
by コルディッツ
博物館実機写真
謹賀新年です。令和6年(2024年)は辰年、辰名称のヒコーキは思い当りませんが、近縁?のドラゴン名称のヒコーキにHe162サラマンダー(火蜥蜴)とサーブ35ドラケンがあります。しかし何回か記事に写真を使って新鮮味がなく、悩んでいた処、デ・ハビランドDH89ドラゴン・ラピートの存在に気づきました。同機の初飛行は1934年で生誕90周年、ジャストフィットです。DH89の生産数はは731機で、実はそのうちの521機は軍用機のドミ二なのですが、そこは忘れることにします。
※ 本稿は博物館の標示と「航空機 第二次世界大戦Ⅰ」(小学館)、
「ヒコーキの心」(光人社)、Wikipediを参照しました。
DH89A Dragon Rapide G-KAIF
帝国戦争博物館ダックスフォードにて 2013年7月撮影
DH89Aは、DH89の下翼にフラップをつけた型で、バルーニング
(着陸における接地後、地面効果や主輪の跳ね返りにより、再び
機体が飛行状態になること)が改善されたので、前の型にもつけ
るようになりました。
G-KAIFはダックスフォードで遊覧機として運用されています。
旅客は6~8名で、ダックスフォード飛行場を周回します。
空中から見た戦争博物館ダックスフォード。中央にある貝殻状
の建物が米国機博物館です。
G-AKIF機は英国TV番組「刑事フォイル」や「名探偵ポワロ」に
登場した記憶があります。1930~40年代の象徴なのでしょう。
DH89 Dragon Rapide G-ACYR 2004年10月撮影
スペイン航空宇宙博物館(クワトロ・ビエントス)
以前にも触れましたが、やはり本機は歴史的な機体でした。
1936年7月スペイン内戦の狼煙が上がるや、陸軍参謀総長から
カナリア諸島司令官に左遷されていたフランコ将軍は、密かに
手配されたドラゴン・ラピートに搭乗し、反乱軍の巣窟スペイン
領モロッコに飛び、モロッコ部隊の指揮権を握り、ムッソリーニ
やヒトラーの支援を受けて、左派政権の支配するスペイン本土に
攻め込み、統領(カウディーリョ)としてスペインの支配者に
なりました。反乱軍蜂起時にフランコは反乱軍将官の一人に過ぎ
ませんでしたが、中心人物のホセ・サンフルホ将軍やエミリオ・
モラ将軍が飛行機事故で死去したため、フランコに国家元首への
道が開けました。
スペイン航空宇宙博物館展示のDH.89は、最近になってフランコ
の搭乗機乗機そのものと知り、また内戦史に関心が沸いてきました。
同機は英国のOlley Air Serviceの機体で、フランコ脱出目的
でチャーターされました。オーリー社は1934年設立、ロンドンの
クロイドン空港を拠点に英国国内と英国とアイルランド、英国と
フランス沿岸に空路を運航していました。1953年にライバルの
モートン社に買収されています。
DH89 Dragon Rapide F-AZCA/ZC-A
Volant Salis 博物館(la Ferte Alais)にて 2016年8月撮影
英国の国籍マークを付け、英国塗装ですが、国籍記号は「F」
なのでフランスの機体です。目的があっての塗装と思いますが。
軍用機のドミ二はこんな感じに見えたのでしょうか。
DH89 Dragon Rapide F-BHCD
航空宇宙博物館(ル・ブルジェ)にて 2016年8月撮影
意図はないと思いますが、上面をじっくり見られるように展示
に感激です。胴体と主翼の隙間は、残す必要があるようです。
DH89A Dragon Rapide ZK-AGT/ NZ558/ ZK-AHS
輸送と技術の博物館(オークランド)にて 2017年9月撮影
本機は1939年までニュージーランドのクック海峡航空で運用
され、首都ウェリントンと南島を結んでいました。当時の記号が
ZK-AGTです。1939年の第二次世界大戦の開始でニュージランド
空軍に徴発され、NA558として軍務に従事しました。1944年初期
に民間に戻され。今度はZK-AHSとして幾つかの航空会社で運用
されました。
展示機は戦後のNational Airways Coporaion時代の塗装と思い
ます。操縦席脇に書かれた「MOKAI」は北島にある地名です。
DH89は一人のパイロットにより操縦されますが、コクピットの
視界はとても広そうです。
エンジン架は鋼管溶接枠組で下翼前縁に設置され、主脚カバー
と一体化しています。エンジンはジプシー6(200hp)2基です。
DH89A シリーズ4からは1936年に開発されたジプシー6の軍用機
型のジプシークィーン(205hp)を搭載するようになりました。
DH89A Dragon Rapide TC-DAG / TC-ERK
イスタンブール航空博物館にて 2019年3月撮影
展示機は1937年8月8日に製造され、1937年8月16日にトルコの
国営航空会社が購入しました。同社は4機のドラゴン・ラピート
を国内線で運用しています。展示機の最初の記号はTC-DAGで、後
にTC-ERKに変更されています。1966年まで運用されました。
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