Home >  海上自衛隊 護衛艦 FFM-2 くまの(タミヤ 1/700 FFM-1 もがみ) >特集 海上自衛隊艦船SHIP>2024年2月号

特集 海上自衛隊艦船SHIP

 海上自衛隊 護衛艦 FFM-2 くまの
(タミヤ 1/700 FFM-1 もがみ)

by 平針みなみ HIRABARI Minami



 近年、各国の艦艇にはステルス性を重視した設計のものが目に付くようになりましたが、日本の護衛艦にも「もがみ型」が出現しました。ステルス性を高めるための船体や艦橋を傾斜した平面で構成するスタイルで、従来の護衛艦とは一線を画したコンパクトかつ多機能な艦艇ということです。艦種記号は、フリゲートを表す「FF」に多目的(Multi-purpose)と機雷(Mine)の頭文字「M」を合わせた「FFM」という新しいものになっています。

2023年12月にタミヤから1/700 ウォーターラインシリーズとして「海上自衛隊 護衛艦 FFM-1 もがみ」が発売されたので作ってみました。



タミヤの「もがみ」のキットには、1番艦から6番艦までの艦名と艦番号のデカールが用意されていますので、今回は2番艦の「くまの」にしてみました。



  なお、護衛艦「もがみ型」のプラモデルとしてはピットロードが先行し、2023年1月に1/700「海上自衛隊 護衛艦 FFM-1 もがみ」のキットが、2023年9月には「海上自衛隊 護衛艦 FFM-4 みくま」が出ていますが未入手です。

「もがみ」と「くまの」の起工は、それぞれ2019年10月29日と2019年10月30日ということですが、進水は「もがみ」が2021年3月3日、「くまの」が2020年11月19日、就役はそれぞれ2022年4月28日と2022年3月22日ということで、2番艦の「くまの」の方が進水・就役ともに早くなっています。これは「もがみ」が主機関試験時の事故で工事が遅れたことによるものだそうです。


今回は、タミヤのキットのパーツのみを使って組み立ててみました。

「もがみ型」の船体の特徴として、舷側の横断面が「く」の字型になっていて上にもすぼまっていることがあげられます。また、船体内に収納できるものは収納するなどして、余分な出っ張りなどができないようにしています。艦船につきものの錨も収納されていて、使うときにだけ出すというようになっています。
なお、ピットロードのキットは、フルハルモデルにも、船底パーツを付けなければ洋上模型にもできます。前甲板は現行の状態の他、後日装備とされているMk.41 VLSを搭載した状態のパーツも用意されています。また、各ハッチは開閉選択式で、内部搭載パーツのOZZ-5自律式水中航走式機雷探知機(UUV)、無人機雷排除システム用水上無人機(USV)、OQQ-25ソナーなどのパーツも付いています。



  タミヤキットの組み立て上の特徴は、船体左右を貼り合わせてから、艦中央の構造物(格納庫上甲板、格納庫、マスト、中央構造物)をブロックごとに組み立て、それぞれを順に船体下側から差し込んでスナップフィットすることにあります。



  マストやアンテナなど、向きや角度に配慮した設計がなされていて、そのまま組み立てれば済むようになっています。

62口径5インチ砲はポリキャップで旋回可能。

ヘリ格納庫のシャッターは開閉どちらかを選択できますが、今回は開状態にしました。

搭載ヘリコプターSH-60Kが1機セットされていて、メインローターは展開状態、格納状態の両方のパーツが用意されていますので、折りたたまれた状態のものにしました。(実艦の写真でヘリコプターを搭載しているものはまだ見ていませんが。)

細かいパーツ、小さなデカールも含まれているので取り扱いに注意が必要ですが、シンプルで組み立てやすいキットです。

今後は、バージョン展開で前部甲板にVLS装備のタイプも出して欲しいところです。





  後方はアオシマの「あたご」。FFMのコンパクトさ、外形のシンプルさがよくわかります。



塗装
「海上自衛隊の使用する艦船等の塗粧及び着標に関する訓令」(昭和32年8月28日 海上自衛隊訓令第35号)によると、露天甲板は暗灰色、その他の船体外部は灰色となっています。(潜水艦を除く。)
この「灰色」、「暗灰色」については、「艦船等の塗粧及び着標に関する達」(昭和44年10月17日 海上自衛隊達第55号)の第2条(塗料)において「艦船等に使用する塗料の色相、明度及び彩度は、別表第1のとおりとする。」としています。その別表1を見ると、番号2に灰色、番号3が暗灰色となっています。
番号  名称   色番号   基準値
2  灰 色   2704    N5
3  暗灰色   2705    N4
この「基準値」は、マンセル値で表しているということで、Nは無彩色、いわゆるニュートラルグレイを示しています。

なお、クレオスのMr.カラーのC607は「灰色2704(N5)」、C608は「暗灰色2705(N4)」と、そのものズバリの名称になっています。

塗色について、露天甲板は暗灰色(色番号2705、基準値N4)、その他の船体外部は灰色(色番号2704、基準値N5)ということですが、タミヤのキットには前部甲板とヘリコプター甲板等はデカールが用意されていて、それ以外の露天甲板はLP-14(舞鶴海軍工廠グレイ)、船体はAS-7(ニュートラルグレイ)を指定しています。
実際塗装する段になって、ネット上に公開されている実艦の写真をつらつら眺めてみると、あたかも1色で塗られているように見えました。光線の当り具合によるものでしょうが、暗灰色と灰色の差があまり大きくない方がよさそうに感じたので、デカールは使わず、船体全体にクレオスのC607を吹き付け、その後、舷側上部(「く」の字の上の部分)や各構造物の側面にC607に少量のホワイトを混ぜて吹き付けてみました。舷側下部は影になるのでかなり暗く見えますが、この程度にしておきました。ということで、C608は使っていません。
なお、船体側面の下の方に塗別線のモールドがあるので、そこから下はつや消しブラックを塗りました。

搭載ヘリコプターUH-60Kの塗装は、「海上自衛隊の使用する航空機の分類等及び塗粧標準等に関する達」(昭和37年12月24日 海上自衛隊達第119号)の別表第2によると、SH-60Kの上側面がグレイ(ツヤ消し)(塗料番号36495)及び下面がアンティンドホワイト(ツヤ消し)(塗料番号37925)となっています。この場合の塗料番号は、AMS STANDARD 595(旧Federal Standard 595)に基づくもので、FS36495はクレオスMr.カラーのC338(ライトグレー)が該当し、アンティンドホワイトの方はつや有りFS17925であればMr.カラーの特色セットにあったT-4ブルーインパルスの機体色C381のホワイトになります。



  Home>海上自衛隊 護衛艦 FFM-2 くまの(タミヤ 1/700 FFM-1 もがみ) >特集 海上自衛隊艦船SHIP>2024年2月号
Vol.186 2024 February.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                   editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず/リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集2


TOTAL PAGE