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スピットファイア　Mk.Ⅰ (レベル 1/32)

　　by 加藤　寛之

　約半世紀前、プラモデル界を驚愕させたレベルの名キット。当時絶賛された表面処理は、長年の奉公で消えかかったところはあるが、部分ごとに工夫があり、しかも抑制された表現で、実にすばらしい。作った商品そのものは1990年以降生産のアメリカ・レベルの製造品で、先日、友人からいただいたもの。今日、このキットを好んで作る意味はないのだろうが、子供のときの憧れは消えない。やっと、その日が来た、という気持ちで開封した。

可動全盛時代のキットだが、これは全て固定して、整形はするが修正はしないで、キット本来の形を楽しむことにした。レベルの大型キットで問題になりやすい事後変形は、入手したキットでも強烈で、主翼はひどく捩れて、胴体も左右を合わせるのも困難だった。細かなパーツの仮合わせをしてみると、どれもガタガタだし、ズレも随所にある。可動のためのヒンジも気になる。組み始める前に、これらを調整したり、ヒンジ穴を埋めたりした。
組み図はエンジンから始め、次にコックピットを組む順になっている。今回はエンジンを付けないので、排気管を外側から接着できるようにプラ板で機内に壁を作っておく。側面パネルも固定して、それなり程度に表面を揃えておく。
コックピットのパーツは数点の構成。なんとなく曖昧だが、覗き込む予定はないので問題ない。コックピットが明るいと迫力が出ないので指定色よりもずっと暗い色でテキトウに塗り、銀をちらしてオワリ。コックピットパーツと尾輪を挟み込んで、何とか胴体左右を合わせる。ラダーは固定するので、胴体後端のヒンジを切除し、ラダー側の穴を埋めて、接着。いかにも別パーツ、って感じなので、軽く整形する。

　主翼はパーツの捩れを手の力で戻し、内部に厚いプラを貼って固める。厚みも左右で違うので、胴体近くだけ部分的に柱を立てて、ソレナリ程度に目立たなくした。断面形もちょっとマズイのだが、プラモデルだからと、見なかったことにする。可動の主脚は、後から接着して固定できるだろう、の判断で、後付けにする。可動のエルロンと主翼側には、大きな隙間がある。この隙間にはプラ板や熱で伸ばしたランナーで大雑把に埋めてから、パテを擦り込んでおいた。スッキリしない溝埋め結果だが、まあイイや。そして、主翼後縁ラインを整形する。
　胴体と主翼の接着前に、コックピットパーツと胴体内部の間にランナー片を接着して、胴体幅の固定をする。これをしないと、主翼の上反角が固まらない。胴体と主翼を合わせてみたら、上面側に大きなスキマが出た。プラ板や熱で伸ばしたランナーを詰め込み、瞬間接着剤を流して固定した。その後、パテを刷り込み、溶剤で拭き取ってＯＫとした。水平尾翼もエレベータを固定し、捩れないように胴体へ接着する。
風防パーツ中央の可動部分（つまりキャノピー部分）は、底部ワクが可動のために別部品になっている。この構成ではスッキリ出来あがらないが、キットの持ち味だと諦める。
そんなこんなで、なんとか形になった。眺めると、なかなかイイカンジだ。

塗装はキレイ感を大事にした。上面はMr.カラーの22番ダークアースを全面に塗ってから、23番ダークグリーンを雲形に。下面は128番灰緑色。デカールはキットのもの。痛んでいないようだったが、貼っていたら割れだした。翌日には浮き上がり、何とか貼り直し、欠けた部分は塗装で補ったが、特に右主翼上面はグダグダの酷い状態になってしまった。でも私はこの程度で「失敗だ」とは思わない。許容範囲が広いというよりは、完成すればイイのだ。仕上げに半光沢のスプレーをプ～～～～～～とし、そして見事に完成とした。

いやぁ、イイですね！やっと作れましたよ。完成しましたよ！結構、大変でしたよ。
半世紀前に、このキットを組上げたモデラーは、本当に立派だと思った。猛烈にガタガタだもの。もしも子供の私が作り始めたら、たぶん完成しなかった。今だから完成まで持ち込めた。半世紀待って作って、本当に良かった。

ヒント：これから作る方に。、スピンナーの先端をちょっと丸めるだけで、ずっとMk.Ⅰっぽくなると思います。　

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