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誌上個展

<日本航空史> 日本のX-1は?

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 先進技術実証機X-2は高機動とステルスの実験機だ。これが2番目の「2」なら「1」が在るはず。では、Xの「1」は何か。
 航空自衛隊の黎明期、いろいろな飛行機が自衛隊に引き取られた。これらを通称「押しかけ自衛隊機」という。もしかしたら“正式手続きは面倒だし、悪いようにはしないから代わりに買っておいてよ”みたいなメーカーや商社の育成があったのかなァ…なんて思うが、それは私の勘ぐり。

 「押しかけ自衛隊機」は通称だから、どれがそれですかと問われても困るのだが、川崎KAL-2とか、ノースアメリカンT-28、デハビランド・バンパイアなどはそれだろう。陸上自衛隊も川崎KAL-1、海上自衛隊も川崎KAL-2を持っていた。そして防衛庁技術研究所が研究及び連絡用に購入したサーブ91Bサフィルは間違いなく「押しかけ自衛隊機」だ。サフィルは『航空ファン』昭和31年12月号に購入を報じた記事があるのだが、名刺大の写真2枚と簡単な記事だけという簡素なものでオシマイ。練習機候補になりたかった飛行機たちの一つみたいだが、どうなのだろうか。



 サフィルはサーブがドイツのビッカース・ベストマンの設計者を迎えて作ったものだそうで、なるほど、なんとなく似ている。舵感覚は旧日本機に近いらしい。『航空情報 写真集自衛隊の航空機』(第259号・昭和44年7月)によると、このサフィルは昭和28年に輸入されたまま宙に浮いていた機体を昭和31年に防衛庁技術研究本部が買い取ったのだそうだ。昭和32年以降およそ5年間に、吹き出しフラップや翼端板の取り付けなど7回の大改造を行って研究を行ったという。研究成果はPS-1の開発に役立ったと書いてある本がある。余計なことかも知れないが、買いとったところの名称が資料により「技術研究所」だったり「技術研究本部」だったりするのだが、よく分かりません。



 研究は昭和30年代の古い話だし、よく分からないから、一気に割愛。そんなこんなで、この研究機となったときの名前がX1Gということになる。Gは岐阜だとか。
 用廃はだいぶ後らしいが、それまで使っていたのだろうか。実機は各務原にある岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で見ることができる。展示状態はたぶん最終形態だと思うが、それもよく分からない。現地に行ったら、動画と説明をよく見てください。ちなみに、サフィルの機体構造が実験機に適していたみたいな説明があるのだが「輸入されたまま宙に浮いていた機体」だったのだから、“ホントかなぁ…これが使えそうだから使おうや、くらいじゃないのかなぁ…”と私は思っている。



 オマケ:サフィルは1/72がエレールから売られていたはず。実機があるとはいえ細部まで知っている人は少ないから、私ならばちょっとだけ手を加えて“X1Gです”と塗装でごまかしちゃうだろうなぁ。現存状態は、F86時代のブルーインパルス塗装そっくりだから、カッコいいと思うぞ。え?下面の塗装? ああ、写真を撮り忘れました。



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