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パンターG 後期型 (グンゼ産業 1/35)

  by Takafumi



 グンゼ産業(現在はGSIクレオス)製のパンターG型を製作しました。このキットは1987年に発売されました。私が購入したのは発売されてから後年の事です。当時、すでに他社から同スケールで後発のパンターG型のキットが発売されていたのですが、模型店でたまたま見かけ、物珍しさから購入しました。キットはアゴ付きの防楯、車体後部上面のヒーターユニット、消炎排気管などが装備された後期生産型が再現されています。
 現在、パンター戦車の研究は、外見の差異で生産時期や製造会社を細かく分類するリサーチが進んでおり、後発のキットにも反映されているみたいです。浅学な私は正直なところよく把握できておりません。今回は消炎排気管に付く偏向ノズルの部品を使いたかったのと、砲塔側面に予備履帯をぶらさげた外観にしたかったため、後期生産型でこの2つを備えている車輌を資料写真やインターネットの画像検索から探し出し、それらを参考にしてなるべく矛盾なく再現するように努めました。砲塔に予備履帯が掛かっていなくても専用のフックが着いている、あるいは着いていたけど破損してしまったと推測できる車輌も対象にしました。あたかも真面目に考証したように記しましたが、自分の好みを優先したということです。専門家の皆様がみたらツッコミどころが多い作例だと思います。



 キットはプラスチック、ホワイトメタル、真鍮などで構成されています。
 製作を始める前に、多数あるホワイトメタル製部品の成形と研磨をまとめて行いました。バリやパーティングラインをデザインナイフ、模型用の金属やすり、四角い木片に貼り付けた紙やすりなどで取り除き、最後に目の細かいスチールウールで磨いて仕上げました。ホワイトメタル製の部品の成形は、組み立て作業の際も部品同士を合わせるためにダボや接合部を削って調整するなど、度々行いました。
 金属製部品の接着には瞬間接着剤とエポキシ系接着剤を使用しています。エッチングパーツで再現されている防楯の庇など、接着面積が小さく、そのまま着けると完成後脱落する心配があると判断した部品は、完成後隠れる部分、あるいは目立たない箇所に、補強とノリ代を兼ねたプラ材を継ぎ足したり、エポキシ系接着剤を盛り付けるなどして対処しました。
 車体両側面にあるシュルツェン架のL型レールは、組み立て説明書では帯状のエッチングパーツ同士をL型に接着して作るように指示されていますが、私はL型にハンダ付けしました。また、虫ピンの頭をリベットととして使うように指定されている箇所のうち一部を、WAVEから発売されている「R・リベット 丸」で代用しました。他にも、キットの部品は使わずプラ帯材などで代用した箇所がいくつかあります。
 砲身は上下に動かせますが、真鍮製で重く、俯角になってしまうため、好みの位置で固定しました。可動部である砲塔内部の砲耳部に瞬間接着剤を流して固定後、その部分にさらにエポキシ系接着剤を塗りつけました。最後にプラ角材の断面を楔形に削ったものを、文字通り楔として、やはり砲塔内部、防楯裏側の下部にある横長の隙間に押し込み、接着しました。
 ホワイトメタル製の車外装備品はオーバースケールな印象ですが、独特の風合いがあり、このキットの特色でもあると判断して使用しました。車外装備品のうちいくつかは、固定用金具のモールドの一部を削り落とし、手元にあった他社製のエッチングパーツを接着してディテールアップしました。
 排気管の偏向ノズルは、説明書では排気口に円いメッシュ状のエッチングパーツを貼り付けるように指示されています。しかし、実車写真で排気口にメッシュが張ってあるものが見つからなかったのと、後発のキットもメッシュを部品化していないようですので、メッシュの部品は貼り付けませんでした。キットの排気口はメッシュに覆われて隠れることを前提にしているからか、少し凹んでいるだけです。排気口らしくみえるように穴を少し深くしました。まず、ピンバイスを使い、偏向ノズルの排気口の直径より小さい径のドリルで穴を慎重に掘った後、デザインナイフで穴の内側を削り、穴を大きくしました。ナイフの刃の跡を紙やすりで削って滑らかにし、目の細かいスチールウールで磨いて仕上げました。



 先述した「生産時期や製造会社による外見の差異」を再現するために追加したディテールや、キットを製作する際に注意した箇所を記します。
 まず、追加したディテールについて記します。
 砲塔上面3箇所にある毒ガス検知パネルと、防楯右側面にある暗視装置用の金具をプラ帯材などで作りました。砲塔のキューポラ付近にある馬蹄型の突起と、ベンチレーターのそばにある、方位磁石を設置するための台は、タミヤの「ヤークトパンサー (後期型)」の不要部品(同社の「パンサーG 後期型」と部品のランナーを共用しているみたいです)のものを接着しました。
 次に、キット付属の部品の中で、注意したものを記します。
 車体右側面に着くワイヤー用のリールの向きを、組み立て説明書指定の向きから時計回りに90度回転させました。また、車体後部上面の右側の角型グリルにシャッターを装備した仕様を選択しました。作例のシャッターは「開」状態です。
 とりあえず、上記を注意しました。
 砲塔のキューポラに着く機銃架用のレールは、今回再現したタイプには装備していない車輌が多く確認できますが、本作では着けています。

 砲塔側面の予備履帯用のフックですが、ここも迷った箇所です。組み立て説明書では帯状のエッチングパーツを曲げて、端の部分が砲塔上面に架かるU字のフックを作るように指示されています。実際にそのようなタイプも存在しますが、今回参考にしたタイプは凹形のフックを側面に着けていたと判断し、プラ帯材を凹形に曲げて作りました。



 パンターG 後期型は、工場で迷彩塗装が施され、迷彩パターンも製造会社の特徴があるとのことです。今回参考にした車輌にはグリーンベースの三色迷彩が施されていました。ベースカラーの上にブラウンとダークイエローの縦縞模様が描かれています。ブラウンの帯の縁にダークイエローの細い線を描くのが原則だったみたいです。縞模様が真っ直ぐ描かれたものもあれば、斜め、あるいは少し蛇行したものなど、様々な例が確認できます。ということで今回は原則に従いつつ、あらゆる形態の縞模様を描いてみました。
 今回再現した塗装は、車体と砲塔の上面はグリーンの単色だった説と、上面にも迷彩塗装が施されていた説がありますが、両方存在したのではないでしょうか。上面にも迷彩が施されていたようにみえる車輌の写真画像も見つけましたが、迷彩パターンがよく分かりませんでした。本作では上面は単色とし、側面の迷彩色が所々上面に少しはみだしたかのようにしてみました。
 予備履帯にも迷彩塗装を施しましたが、これは私の好みであり、フィクションです。
 金属製の部品を多用しているため、塗装前にMr.プライマー・サーフェイサー 1000を全体に吹き付けました。三色迷彩はガイアカラーなどのプラモデル用ラッカー塗料をエアブラシで吹き付けました。車外装備品や転輪のゴム縁など、細部の塗装はエナメル塗料の筆塗りです。塗料が乾燥した後、水性ホビーカラーのつや消しクリアーを全体に吹き付けました。
 つや消しクリアーが乾燥した後、エナメル塗料、油絵の具、粉状にしたパステルでウェザリングを施しました。
 
 パンターの搭乗員はタミヤの「1/35 ドイツ国防軍 戦車兵セット」の中から選びました。
 塗装にはMr.カラー、ガイアカラー、タミヤエナメル、油絵の具を使用しています。
 徽章類を再現した水転写デカールが付属していたので、使用してみました。デカールが乾いた後、水性ホビーカラーのつや消しクリアーを全体に吹き付けました。



   ディオラマベースは石畳の路面を再現しました。
 ディオラマベースにはA4 サイズの写真用パネルを使用しました。ベースに乗せる完成品が重いため、パネルの裏側に接着する補強材をいつもより多く使いました。パネルの縁に木目シートを貼り付けています。路面を作る前に木目シートを貼った箇所に養生としてマスキングテープを貼りつけました。路面を作るのに使用した素材は、軽量粘土です。近年、インターネット上でディオラマベースの材料として度々取り上げられているのを目にし、一度使ってみたかったのです。今回使ったのは商品名が「ふわっと軽いねんど 白」と「軽いねんど 黒」の二つで、混ぜ合わせて使用しました。どちらも発売元の会社が同じですが、白の方は「ふわっと軽いねんど」シリーズの内の一つで、同シリーズの他色の粘土と混ぜ合わせて使えることが明記されています。黒の方はシリーズと別の扱いなので、他と混ぜるのを推奨されていないのかもしれませんが、今回混ぜて使用しました。芯としてパネル表面に発泡スチロールの板を木工用ボンドで貼り付け、その上に粘土を盛り付けて路面を作りました。粘土を盛り付ける前に、発泡スチロールの表面と、余白になっているむき出しのパネル面に木工用ボンドを塗りました。路面の色が単調にならないように、混ぜ合わせる二色の比率を所々変えて盛り付けました。さらにもう一色、違う色の粘土を混ぜた方が良かったのかもしれません。路面を平らにするために、左官用の柳刃コテを水でぬらして使用しました。
 石畳の模様は、自作したスタンプを粘土がやわらかいうちに押し付けて再現しました。スタンプは平筆の毛を抜き、毛を押さえていた金属部をラジオペンチで拡げて形成したものです。この方法もインターネット上で知った次第です。水彩用の筆の毛の部分をラッカーシンナーに浸し、毛の根元を固めていた糊を溶かした後、毛を抜きました。100円ショップで購入したセットの筆を使用したのですが、筆のなかにはシンナーに浸しても糊が溶ける様子がなく、毛が抜けなかったものもありました。
 粘土が乾燥した後、路面にエナメル塗料をドライブラシの技法で擦り付けたり、粉状にしたパステルを筆で塗りつけて仕上げました。


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