Home  > General Dynamics F-111E Aardvark (Hasegawa 1/72) > 特集 ジェット戦闘機>2024年4月号

特集 ジェット戦闘機

 General Dynamics F-111E Aardvark (Hasegawa 1/72)

by 翔バナイカイ 大山 盛幹



 今月のテーマの「ジェット戦闘機」ということで、F-111を紹介したいと思います。F-111が「戦闘機か」との声も聞こえてきそうですが、F-105の前例もありますし、Fナンバーだから「よし」としましょう。
Hasegawa のキットは1989年にまずA型が発売され、その後、C、D、E、F、G型、そして、爆撃機型のFB-111、電子戦型のEF-111とバリエーション展開されてきましたし、デカール替えで何度も再版されています。残念ながら、試作に終わった艦上戦闘機型F-111Bは、キット化されていません。



 F-111の1/72のキットは、Hasegawa以外に、Revell、Airfix、Heller、Italeri、ESCI等から発売されていました。これらのキットの中で、一番印象に残っているのは、1966年初版のRevellのキットで空軍型と艦上戦闘機型のコンパーチブルで、脱出モジュールの再現、主翼は可動、脚は実機通り格納されるという小学生時代の憧れのキットでした。



  さて、F-111は1958年にF-105の後継として計画され、1964年に初飛行、世界初の実用可変翼機として、そして、並列複座のコクピットエリア全体が脱出モジュールとなっていることで知られています。
開発あたっては当時のマクナマラ国防長官の開発費、及び維持費の削減という狙いを強く反映して、アメリカ空軍とアメリカ海軍で共通の機体とすることから、空軍型のA型と艦上戦闘機型のB型の2機種の開発を目指しました。しかし、B型は艦隊防空戦闘機としての重量軽減などを実現できず、最終的には空軍型のみが採用となりました(B型の構想は、後にF-14となって結実しました)。
戦闘爆撃機として開発された機体にも関わらず対空戦闘能力はほとんどありませんでしたが、攻撃機・爆撃機として見た場合は優れた兵器搭載量や低空侵攻能力を有しておりました。そのため、ベトナム戦争、リビア爆撃そして湾岸戦争等に投入され、主に対地攻撃に用いられました。採用国は、アメリカ、オーストラリアの2ヵ国だけで、イギリスも採用を検討しましたが見送っております。アメリカでは1998年、オーストラリアでは2010年に退役しました。
Fナンバーの主な生産型は、最初の量産されたA型、オーストラリア向けで、B型同様に主翼端を延長したC型、A型の空気取入口を「トリプル・プラウⅡ」に変更しアビオニクスを強化したD型、D型同様にA型の空気取入口を変更して速度、高度制限をなくしたE型(型式名はD型より新しいですが、D型より先に生産されました)、シリーズ最終生産型になったF型、爆撃機型のFB-111Aより改修されたG型があります。



  さて、今回製作したキットは、2013年に再版された「F-111E Aardvark 'Nose Art'」です。キットは、主翼の可動をやめて差し込み式にした代わりに、前縁、後縁フラップダウンがデフォルトになっており実機の雰囲気を醸し出しています。また、ジェットノズルの縁も大変薄くできております。前脚収納庫のディテールも1/48並みの再現がされています。Hasegawaの油の乗っていた時期のキットのため、サードパーティーのレジンパーツの必要性も特に感じず、インストラクションに従って作り進めていくと難なく完成させることができます。



 注意すべき点は次の通りです。
① パーツ分割の関係で胴体は組み上がっても強度が出ず、また、主脚収納庫パーツ脱落防止のために、主脚収納庫パーツと胴体上面パーツの間にランナー利用の突っ張り棒を入れました。
② 主翼のパイロンに取り付ける武装はDurandel anti-runway rocketsが一つのパイロンに6発懸架できるにもかかわらず4発(両方で8発)しかセット同梱されていません(SAM Publications「 General Dynamics F-111 (2013年)」の84頁に写真が掲載されています)。この爆弾は、別売のウェポンセットにもないので、次回再版の際には是非12発セットしてほしいものです。Mk.82爆弾は、Hasegawaのウェポンセットを利用しました
③ 主翼の前縁フラップ、後縁フラップ共に接着面が小さいので、瞬間接着剤を使ってしっかりと固定します。
④ 機首のピトー管は、真鍮線と真鍮パイプでの自作パーツに置き換えました。



  塗装は、下面黒、上面がベトナム迷彩というF-111の標準的迷彩です。今回の迷彩塗装は型紙を使わずに、口径0.2㎜のエアブラシで直吹きしてみましたが、思っていたよりうまくいったと自己満足しています。また、現用機は爆弾、ミサイル等機外搭載物をキッチリと塗装できると作品が締まってみえます。マーキングは1992年の在欧アメリカ空軍 第20戦闘航空団 司令官機です(前述のSAM Publications「 General Dynamics F-111 (2013年)」の86、87頁に写真が掲載されています)。空中給油口のデカールは用意されていますが、迷彩色の境界に合わないことがありますので、その際は合わない部分を迷彩色で上塗りすることが必要です。



  資料としては、洋書では
TAB Books「In detail & scale F-111 Aardvark (1989年)」、
Squadron/Signal「Walk Around F-111 Aardvark (2008年)」、
そして一番役に立ったのは「a comprehensive guide」と謳っているだけあって、細部写真、細部イラストが多い前述のSAM Publications「 General Dynamics F-111 (2013年)」でした。
 和書では文林堂 世界の傑作機「 旧版第85集GD.F-111/FB-111 (1977年)」、
「 新版第62集ジェネラル・ダイナミックスF/FB-111 (1997年)」を参考にしました。


  Home>General Dynamics F-111E Aardvark (Hasegawa 1/72) > 特集 ジェット戦闘機>2024年4月号
Vol.188 2024 April.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集1

TOTAL PAGE