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F-18ホーネット>2025年8月号
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Boeing EA-18G “Growler” 製作記(Platz-Italeri 1/48)
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| by Kiyoshi Iwama(ひやめし会) |

Boeing EA-18G “Growler” (1/72) Platz Box Photoより
今年5月に静岡ホビーショー/モデラーズクラブ合同作品展2025が開催されました。所属クラブでは例年参加し、作品を展示していますが、今年のクラブのテーマが「厚木」ということで、厚木基地に関係する作品を製作・展示することになりました。そこで拙者は、現在は岩国基地へ移動してしまったのですが、第5空母航空団所属のVAQ-141シャドーホークスのEA-18Gグラウラーを製作することにしました。1/48のキットではMENG
Modelのキットが良く出来ているとの評判でしたが、高額キット故あきらめました。やはりハセガワのキットが手ごろでVAQ-141のデカールも付いているのですが、残念ながらCVW-5へ移動する前のものです。そこで白羽の矢が当たったのが、プラッツから発売されたイタレリのキットです。このキットにはプラッツが企画した、厚木駐留時のVAQ-141のデカールが付属しています。一方でイタレリのキットは古く、いろいろ問題点も指摘されていましたが、先のような理由もあってこのキットの製作を始めることになりました。しかし案の定、進めていくうちにいろいろ難関にぶつかりましたが、幸いにも完成し、何とか作品を展示することができました。
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EA-18G “Growler” Platz-Italeri
(1/48)
実機について
EA-18G Growlerは、米海軍/海兵隊の電子戦攻撃機として長年使用されてきたEA-6B Prowlerの後継機として、F/A-18F
Super Hornet Block IIをベースに開発された最新の電子戦攻撃機です。EA-6Bでは3名の電子戦士官が搭乗しましたが、EA-18Gでは電子機器の高性能化により後席の1名のみで電子戦ミッションに対応できます。
搭載される最新の電子システムは、AN/APG-79 AESAレーダ、AN/ALQ-218(V)2無線波受信システム、AN/ALQ-227通信妨害装置、AN/ALQ-99戦術ジャミングポッド、衛星通信用JTT-R(Joint Tactical Terminal-Receiver)などです。AN/ALQ-99ポッドはプラウラー時代から使用されているもので、後継となるAN/ALQ-249次世代ジャミングポッドの開発が、現在進められています。
機体の外観は、F/A-18Fと似ていますが、いくつか差異があります。F/A-18Fの機首に取り付けられていたバルカン砲が取り外され、電子戦用の電子機器が搭載されています。またバルカン砲の発射口やガス抜き口が塞がれました。主翼の翼端にはランチャーに代わってAN/ALQ-218のポッドが搭載され、外翼根本のドッグツース部の形状も少し変わっています。また主翼中央部にはフェンスが設けられました。
一方搭載ウェポンですが、敵レーダサイトなど電波源攻撃用のAGM-88と、プラウラーではなかった自衛用のAIM-120が搭載できます。
試作機2機がF/A-18Fから改修され、初号機は2006年8月15日に初飛行しています。2機のEA-18GはVX-9とVX-31によって運用評価試験を受け、量産初号機は2008年6月3日にEA-18Gの艦隊転換飛行隊となる、VAQ-129に引き渡されました。VAQ-129でパイロットや電子戦士官のグラウラーへの転換訓練が進められるとともに、2010年には最初の空母運用部隊となるVAQ-132、-141、-138のEA-18Gへの転換が完了しました。
現在、米海軍では16個のEA-18Gの飛行隊が存在し、そのうち11個飛行隊が空母航空団関係の飛行隊で、残る5個飛行隊が米空軍との統合運用に充てられる統合遠征飛行隊です。日本では岩国海兵隊基地へCVW-5のVAQ-141がパーマネント配備され、三沢基地に統合遠征飛行隊のEA-18G部隊がローテーション配備されています。
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製作
箱を開けて目に入るのはカラー刷りの取説と奇麗に印刷されたカルトグラフ製のデカールです。キット本体は前述のようにイタレリ製で、ブロック1のF/A-18FのキットにEA-18Gの製作に必要となる主翼端のポッドアンテナやALQ-99ジャミングポッドなどが追加されたものでした。しかしALQ-99ジャミングポッドは形状が実機と異なります。特に胴体中央に取り付けるローバンドのポッドはまるで形が異なります。また翼端に取り付けるALQ-218のポッドも径が少し細いようです。ハセガワのキットが手元にありましたので、比べてみるとやはり差があります。(ハセガワのキットの方が正確でした)結局いろいろ考えましたが、改修にも手間がかかりそうなので、そうしたパーツはハセガワのキットから部品流用することにしました。部品チェックと仮組で気づいた主な点を書いておきます。
①レドームの径が少し大きく前胴部も少し太め。このためウィンドシールドやキャノピーが胴体部品とフィットしない。②ブロック1のF型のままなので機首にバルカン砲の砲口やガス抜き部のモールドが残っている。③エアーインテイク奥にエンジンファンを取り付けるようになっているが奥行きが浅すぎる。④エアーインテイク外壁に空気の排出口があるが、キットでは内壁にもスロットがあり繋がってしまっている。(実機の内壁にはスロットがない)⑤コクピットの床面が浅い。⑥操縦桿の形状がおかしい。⑦後席にも操縦桿が付いているが、実機は後席には操縦桿はなく電子機器操作用のジョイステイックが左右に付く。しかしジョイスティックは部品化されていない。⑧パイロンが薄く、またフラップのヒンジが小さい。⑨ALQ-99の形状が異なる。⑩ALQ-218の翼端ポッドの径が小さい。⑪尾翼や胴体の編隊灯のモールド位置が間違っている。(これはデカールを貼る際に気が付き、修正せずに貼っています)。⑫ストレーキ上面の編隊灯がない。
等々いろいろありますが、古いキットでもありそこはやむを得ないとあきらめ、出来る限りカバーして作り上げることにしました。では順を追って製作過程を紹介していきます。
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まずはコクピットから始めます。コクピットはサイドコンソールがモールドされたバスタブ形式で、計器盤はデカール仕上げです。前後席とも主計器盤の中央支柱部の形状がおかしいので外形寸法を合わせてプラ板で作り直し、塗装してデカールを貼りました。(写真1,2)これらをコクピット内に納め、操縦桿等も取り付け、コクピットとして完成した状態が(写真3)です。前席の操縦桿と後席のジョイスティックはハセガワのキットからの流用です。また後席には防眩カバーを取り付けています。
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(写真1) 前席主計器盤

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(写真2) 後席主計器盤
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胴体は大きくは前胴部と中後胴部(内翼下面付)とに分かれています。まず前胴部とレドームを接合し、ウィンドシールドとのフィットチェックを行いました。この結果胴体側が若干大きく、クリアパーツとの取り付け部に段差が生じます。胴体側をサンドペーパーで削りながらクリアパーツと現合調整しました。その上でバルカン砲の排煙口など余分なモールド部をパテ埋め・整形しました。また前胴部右舷にある空中給油プローブのカバーがモールドされてないため、ラインを彫りこみました。(写真4)はパネルラインの下書きをしたところです。
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次に前胴部と中後胴部をドッキングします。そしてストレーキ部の下面パーツを取り付け、整形しました。中後胴部の組み立ての説明を省略しましたが、この工程で新たに追加された衛星通信アンテナのフェアリング、ブロック2で変更となったECSの排気口、後部胴体に付く干渉計のアンテナアフェアリング等を取り付けています。この段階で気づいたことは、ハセガワのキットでも部品化されてないLEXベントが別パーツになっていることです。しかし部品の精度が悪く、取り付けには苦労しました。組みあがった胴体部の上面が(写真5)、そして下面が(写真6)です。
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(写真5) 組みあがった胴体部上面
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(写真6) 組みあがった胴体部下面
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| 3. エアーインテイク部の組み立てと胴体への取付け |
問題のエアーインテイクです。(写真7)と(写真8)がパーツを仮組みした状態での外観です。(写真8)で側面のスロットが外壁を貫通しているのが分かります。そこで内面のスロットを塞ぐため、(写真9)のようにエアーインテイクの内部パーツにプラ板を貼って整形しました。その後エアーインテイク部を組み立て整形し、内面を塗装をし、エンジンファンを接着しました。(写真10)
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(写真7) エアーインテイク外面
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(写真8) エアーインテイクの内部を覗く
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(写真9) スロットを塞ぐためにプラ版を貼った状態
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(写真10) 最終的に組みあがったエアーインテイク部
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| エアーインテイク部としては組みあがりましたが、次は胴体への取付です。左右にそれぞれ取り付けますが、うまくフィットしません。結構大きな隙間が空き、プラ板を埋め込み、残りをパテで埋めるなどなどさんざんです。(写真11) |
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(写真11) エアーインテイクを胴体に取り付けた状態
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| この後プラ板を切り取ったりパテを盛った部分を削り取り、、形を整えました。 |
| 主翼下面は内翼部分まで中後胴部と一体になっていますが、上面部は左右別パーツです。まず翼端部を修正し、ハセガワのALQ-218ポッドを取り付けられるようにします。またイタレリのキットにはF型の翼端の編隊灯部分がそのまま残っているので、これも切り取りました。そして翼端ポッドを両翼端に取り付け、その後機体とドッキングしました。隙間の生じたところにはパテを埋め整形しています。主翼の取付が終わった機体上面が(写真12)、下面が(写真13)です。これで塗装の準備が完了です。 |


最初に述べましたように、いくつかのパーツについては改修しました。概要を紹介しておきます。まず翼下に取り付ける外装タンクですが、イタレリのキットのタンクには尾端の振れ止めが付いていないのでハセガワのキットからタンクを流用しました。しかしパイロンとの取り付けインタフェーズが異なるため、(写真14)のように改修しています。イタレリのパイロンの懸架部にプラ棒で作ったピンを差し込み、ハセガワのタンクにはピッチが合うように穴を追加して開けています。同様の方法でジャミングポッドの取り付けインタフェース部も変更しました。(写真15) (写真16)は前脚収納部の扉です。ブロック2の途中から搭載されている前脚収納部扉に取り付けられたアンテナを自作して取り付けました。6角形のものがそれにあたります。裏には電子機器の入ったケースと配線があるので、それも追加しています。
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(写真14) 外装タンクとパイロンの改修
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(写真15) ジャミングポッドとパイロンの改修
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(写真16) 前脚収納部扉へのアンテナの追加

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まず既に塗装を終えているエアーインテイク内部をマスキングし、コクピット部分にマスキングしたウィンドシールドとキャノピーを仮止めしたうえで、機体下面をグレーFS36375(Mr.Color
C308)で塗装しました。次に上下面部の塗り分け部をマスキングして上面をグレーFS36320(Mr.Color C307)で塗ります。翼端のポッドは上下面とも機体下面色のため、ポッド上面もマスキングします。垂直尾翼は上面色と同じ色のため、グレーFS36320で塗りました。次に脚収納庫の周囲をマスキングし、脚庫内をインシグニアホワイトFS17875(Mr.Color
C316)で塗りました。(写真17,18)整形で苦労したエアーインテイクの取り付け部も(写真19)のようにすっきりしました。 写真はありませんがさらに主翼フラップと垂直尾翼ラダーの後縁をグレイッシュブルーFS35237(Mr.Color
337)で塗っておきます。
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(写真17) 塗装の終わった機体下面

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(写真18) 塗装の終わった機体上面

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(写真19) 塗装後のエアーインテイク取り付け部と主脚収納庫

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塗装が終われば機体や外装品にデカールを貼ります。(写真20)がデカールを貼った機体上面です。3種ある機番の中からロービジ系のNF404を選びました。いつも感じるのですが、ロービジ塗装は細かなステンシルが貼り辛いですね。
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(写真20) デカールを貼った機体

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(写真21)が左舷垂直尾翼。編隊灯のモールドの誤りに気付かず、デカールとずれてしまいました。
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(写真21) デカールを貼った垂直尾翼

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(写真22)が外装タンク、(写真23)がALQ-99ジャミングポッドです。
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(写真22) デカールを貼った外装タンク

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(写真23) デカールを貼ったALQ-99ジャミングポッド
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| その他の機体パーツについてもいくつか紹介します。(写真24)が右主脚柱、(写真25)が前脚です。主脚柱のリングにはアルミテープを貼り付けています。また駐機時にタイダウンするために鎖を掛けるリングがキットの部品にはモールドされてないため、似たようなパーツを探して、整形して取り付けています。前脚にもダンパーのモールドが無いため自作して取り付けました。前照灯が大きすぎますが、そのまま使っています。両脚柱に貼ってあるプラカードはキット付属のデカールです。(写真26)がエンジンノズルです。付け根は黒鉄色、アイリス部分はスーパーステンレスにチタンシルバーを混ぜて塗りました。 |
(写真24) 右主脚柱
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(写真25) 前脚
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(写真26) エンジンノズル

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| デカールを貼り終えた機体、垂直尾翼、外装タンク、ジャミングポッドのパネルラインに墨入れをした後、多少汚しを加えました。その後垂直尾翼を機体に接着、キャノピーとウィンドシールドを仮止めします。そして保護のための艶消しクリアーを、機体をはじめその他の部品にもオーバーコートしました。乾燥後キャノピーとウィンドシールドのマスキングテープをはがし、透明部を軽くコンパウンドで磨きました。またコクピットにはHUD、エジェクションシート、そしてパイロットフィギュアを取り付けます。イタレリのキットにはフィギュアは付属していません。これ等もシートと同様にハセガワのキットからの流用です。コクピットの床が浅いため、シートは少し削って収まるようにしました。また主計器盤の支柱部が前後席とも幅が広く、フィギュアの脚と干渉するためフィギュアの股間を少し広げて座らせましたが、予想以上に厄介な作業となりました。フィギュアを載せた状態のコクピット部が(写真27)です。プラッツのデカールはシートのプラカードも付いた良質なものです。 |
(写真27) パイロットフィギュアを載せたコクピット部

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あとは部品を接着して組み立てていくだけです。書き忘れましたが、ウィンドシールドとキャノピーの内側にはクリアブラウンを薄めて吹き付けています。紹介できなかった部品もありますが、完成した状態が(写真28~34)です。
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(写真28) 完成したEA-18G ”Growler”

(写真29) 完成したEA-18G ”Growler”

(写真30) 完成したEA-18G ”Growler”

(写真31) 完成したEA-18G ”Growler”

(写真32) 完成したEA-18G ”Growler”

(写真33) 完成したEA-18G ”Growler”

(写真34) 完成したEA-18G ”Growler”

ハセガワのキットよりも部品点数が少なく、最初は軽く見ていましたが、いろんな改修で完成が大幅に遅れ、ぎりぎりでホビーショーに持ち込んだ次第です。
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