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> Northrop F-89D “Scorpion” 製作記(Revell 1/72)>特集 銀翼 シルバーウイング>2026年7月号
Northrop F-89D “Scorpion” 製作記(Revell 1/72)
by Kiyoshi Iwama
(ひやめし会)
Northrop F-89D “Scorpion” Revell (1/72) Box Artより
銀翼時代の戦闘機ということで、レベルのF-89D “Scorpion” (1/72)を製作しました。スコーピオンのキットは数が少なく、滅多にお目にかかりません。最近手に入るのはアカデミーのキットくらいでしょうか?今回のキットも随分以前に入手したもので、最近では見かけなくなりました。あまりメーカが手を出さなかったのは、本機が北米大陸以外では使用されなかったため、飛行機ファン以外には馴染みが薄くセールスヴァリューが低いと判断されたからかもしれません。
レベルのこのキット自体は、形状的にも本機の特徴をよく捉えたもので、機体全面に繊細な筋彫りが施されています。キットの箱にはF-89Dと明記されていますが、箱の中身はD型とJ型のコンパチブルキットとなっており、翼端のポッドと翼下のストアは両タイプのものが入っています。今回の作品では派手目塗装のD型に仕上げました。完成した機体は1/72の戦闘機としては大きく、実機が中翼機にもかかわらず、地上クルーが翼下を腰をかがめずに歩くことができるという話にも納得しました。
実機紹介
F-89 スコーピオンは、ノースロップ社が開発した北米大陸防空用の双発ジェットエンジンの全天候型迎撃戦闘機です。タンデム複座で、薄型の層流翼断面の直線翼に大型の翼端ポッドを搭載しているのが特徴です。エンジンにはアリソンのJ35軸流式ターボジェットエンジン(後にアフターバーナー付となる)が採用されました。
太平洋戦争が終わって間もない1945年8月28日、陸軍航空隊(空軍に昇格するのは1947年9月18日)から全天候型迎撃戦闘機の運用要求書が発出され、メーカの提案を受けてカーチス社のXP-87とノースロップ社のXP-89が最終候補となり、1946年4月10日にXP-89が選定されました。原型となるXF-89は1948年8月16日に初飛行に成功し、量産への道が拓かれました。しかし開発・生産は思うようには進みませんでした。
1950年2月22日、XF-89の102回目の飛行試験で、尾翼が外れ機体が墜落する事故が起きました。原因は、エンジン排気の後流が水平尾翼に当たり、高周波フラッターを発生させたことでした。このためA型の生産は滞り、契約分の大半はB型に回されます。一方でマスバランスの付加や排気ノズルへのデフレクターの装着などで対応し、B型、C型の生産が進められました。しかしマスバランスの外部装着は一時凌ぎと判定され、恒久策が求められました。そこでノースロップはマスバランスを補強した昇降舵の中に埋め込む方式を採用して難を逃れたのですが、これだけでは終わりませんでした。1952年、数機のF-89Cで主翼破損による墜落事故が発生。原因調査の結果、大型翼端ポッドの影響で、それまで知られてなかった空力弾性効果により、高G機動時に主翼に大きな捩じれが生じ構造破壊に至った事が分かったのです。結局F-89のフリートは全機ノースロップに送り返され、主翼構造の強化を命じられました。
不調だったエンジンもアップデートごとに改修されていきました。機体の方もD型になって安定してきたようです。そのこともあり、D型はシリーズ中生産機数が最も多く、682機が生産されています。またD型からは兵装が大きく変わりました。C型までは機首に取り付けた6門のM20 20㎜機銃を固定装備していたのですが、D型では機銃を取り外し、翼端ポッドの前方部に各52発(合計104発)の2.75”FFAR(マイティマウス対空ロケット弾)を装備する重武装化が図られました。またH型では新たな翼端ポッドにFFAR 各21発とGAR-1/2(ー1が赤外線ホーミングミサイル、ー2がレーダホーミングミサイル)各3発が搭載されました。そして最後のバージョンとなるJ型では翼端ポッドは燃料タンクのみとなり、翼下内側の4つのパイロンにGAR-1とGAR-2を各2発、最外舷の2つのパイロンにダグラス社が開発したMB-1無誘導空対空核ロケット弾が搭載されました。さらにJ型では、火器管制システムも最新のMG-12に更新され、最強のスコーピオンとなりました。J型は350機が配備されましたが、これらは全てD型から改修されたもので、F-89としての総生産数は試作機も含め1052機となります。
当初は数々のトラブルに見舞われましたが、空軍で運用を終え、F-101BやF-102AにバトンタッチしたたスコーピオンはANG(州兵航空隊)に移管され、最後のJ型がANGを去ったのが1968年のことです。A型の量産初号機が空軍に受領されたのが、1950年9月28日ですから、当時としては長寿命の機体であったと言えるのではないでしょうか。
<F-89Dの基本諸元>
全長 : 16.41m
全幅 : 18.42m
全高 : 5.33m
空虚重量 : 11,428kg
最大離陸重量 : 21,219kg
巡航高度 : 14,996m
最大速度(海面高度) : 1013km/h
上昇率(最初の1分間) : 2530m/h
Northrop F-89D “Scorpion” Revell(1/72)
製作
レベルのスコーピオンのキットは最初に書きましたようにD型とJ型に対応し、デカールもそれぞれ1種類付属し、D型は空軍のADC所属、J型はノースダコタANG所属のものです。インストに飛行隊名が書いてないのでいろいろ調べてみましたが、マーキングがぴったり一致する機体は見つかりませんでした。製作したD型は機首下面に描かれたシャークマウスがそっくりな飛行隊が見つかったのですが、翼端ポッドや尾翼にはキットのような白と黒の市松模様は描かれていませんでした。作品はほとんどストレートに組み上げたものです。コクピットのみエッチングパーツを使ってデイテールアップをしてみましたが、1/72では完成後はほとんど分かりません。また風防のワイパーが目立つので、これはプラ板で自作して取り付けました。製作途中の写真が少ないため文書だけの説明になるところもありますが、ご容赦ください。
1.コクピット部
まずはコクピットから始めます。コクピットは床とサイドコンソールが一体となったバスタブ構造で、それに前後席の主計器盤、操縦桿、レーダ操作桿、座席などを取り付けていきます。主計器盤やサイドコンソールはデカール仕上げですが、その部分をエッチングパーツに置き換えました。エッチングパーツはAIRWAVES製ですが、このメーカのエッチングパーツは計器部分に穴の開いた金属板のみで計器のパーツがないため、デカールを貼ってその上に黒色塗装をした計器板を貼り付けました。バスタブ状のコクピットにこれ等を組み込んだ状態が(写真1)です。
次に座席ですが、座席は前後席形状が異なります。キットのパーツは細部の彫刻も施され、1/72スケールでは十分なものです。但しシートベルトは胸の部分しか彫刻されてなかったため腰のシートベルトのみエッチングパーツを使用しました。
(写真2)が前席の座席、(写真3)が後席の座席、これ等を取り付け、完成したコクピットが(写真4)です。なお、コクピットやシートの色にインストではオリーブドラブが指定されていましたが、作品ではエアクラフトグレーのつや消しを塗装しました。
(写真1) 主計器盤やサイドコンソールを取り付けたコクピット
(
写真2) 前席
(写真3) 後席
(写真4) 組み上がったコクピット
2.機体の組み立て
胴体は左右と下面の3つのパーツから構成されます。コクピットは下面から取り付けることになっているので、まず左右の胴体パーツを接合します。このとき、コクピット内側面はエアクラフトグレーのつや消しで塗装し、その部分ににエッチングパーツのサイドパネルを取り付けました。また機首部には鉛板の錘を取り付けています。(写真5)キットでは尻もち防止用の透明プラ棒を取り付けるようになっていますが、見栄えを考えました。
(写真5) 胴体左右パーツ
胴体左右のパーツを接着し、コクピットを組み込んだ後、下面パーツを取り付けましたが、胴体下面のパーツとの接合部の嵌合が甘く、かなりすり合わせをしました。その後エアーインテイク部に焼き鉄色で塗装したエンジンのフロントパーツを取り付けます。そして内面を銀塗装したエンジンインテイクを接着して、接合部を整形しました。(写真6)に完成後の胴体下面を示しますが、白線部が大まかな下面の接合部です。
(
写真6) 機体下面
主翼は、左右それぞれ上下パーツを貼り合わせるだけです。ストアの数がD型とJ型とで異なるため、それぞれに合わせて、事前に下面のパイロンの位置に取付穴をと開けておきます。(写真6)に見えるように脚収納部にも細かく内部の配管などがモールドされています。内部は無塗装のため、銀塗装後墨入れでアクセントを付けましたが、写真では良く分かりません。胴体への取付は左右からの差し込みです。接合面を擦り合わせして隙間が出ないようにしました。主翼は水平に固定します。注意するのはフラップのところまで接着しないこと、そして接着後主翼を水平に保てるように簡便な治具を用意することです。
水平尾翼は一枚板です。垂直尾翼が水平尾翼取り付け部で上下に分割されており、水平尾翼を挟み込んで接着します。取り付け部の嵌合精度がいいので、接着は塗装後の最終組み立て時に行うことにしました。
胴体後部上面にはエンジン冷却用のエアースクープが付きますが、先端をピンバイスで開口し整形しました。またエンジンナセル下面にも補助空気取り入れ口がありますが、この部分も奇麗に開口しておきます。(写真7)
(写真7) 冷却空気取り入れ口
またインストではこの段階で排気ノズルや排気のデフレクターを取り付けるようになっていますが、筆者は塗装後に取り付けるようにしました。
3. 風防とキャノピー
風防とキャノピーの胴体とのフィッティングは問題ありません。キャノピーはレベル流の手法でキャノピーフレームのベースとクリアー部が別部品です。フレーム部品は内側をエアクラフトグレーのつや消しで塗装後、キャノピーの透明部品と流し込み接着剤で接着し、その後クリアー部をマスキングして銀塗装をしました。風防は窓枠部を残してマスキングし、窓枠部をつや消しの黒で塗りました。実機の窓枠にはシールが施されていて、結構目立ちます。手塗するかどうか思案したのですが、ハセガワの白色フィニッシュを細切りし、貼り付けました。時間がかかったのは風防の正面ガラスで上の部分が曲線のため、テンプレートを使って何度も円環状に切り抜くトライを重ね、何とか貼り付けました。
また前述のように風防の前面ガラスに装着されるワイパーをプラ板とプラ棒で自作し、取り付けました。(写真8)
(写真8) 風防とキャノピー
4. 塗装
機体は全面メタル塗装で、主翼の外翼部、胴体後部から垂直尾翼の下半分と水平尾翼迄、そして翼端ポッドは極地塗装色のインターナショナルオレンジとなります。作品ではMr.ColorのC79(シャインレッド)を使用しました。その他はメタル地です。また翼端ポッド前方のロケット弾発射部、そして翼下の増槽はつや消しの黒が指定されています。
まずは機体全面を銀塗装するため、接合部の段差を修正し、最後に#1200の紙やすりで全体を磨きました。写真で見るとスコーピオン実機の胴体や主翼はぴかぴかと輝いている部分があります。パネルごとに塗り分けるのは大変なので、一部にMr.ColorスーパーメタリックSM208スーパージュラルミンを使用し、C8のシルバーと適当に塗り分け、輝きの違いを演出してみましたが、最後にクリアーでオーバーコートするとあまり違いが分からなくなった次第です。また排気口周辺は焼き鉄色と銀を混色して塗りました。
銀塗装後、前述した極地塗装部分をシャインレッドで塗装、また翼端ポッド前方部、翼下の増槽をつや消しの黒で塗りました。ウィンドシールド前方のグレアシールド部はデカールが入ってましたが、塗装に変更しました。また機首レドームはセミグロスブラックで仕上げています。
(写真9)が塗装後の機体上面、(写真10)が機体下面、(写真11)が両翼端ポッドの写真です。水平尾翼と垂直尾翼の上半分が見えませんが、水平尾翼はシャインレッドで、また垂直尾翼の上半分は、エアクラフトグレーで前縁のアンテナレドーム部をセミグロスブラックで塗りました。
(写真9) 塗装後の胴体上面
(写真10) 塗装後の胴体下面
(写真11) 翼端ポッド
5. デカールの貼り付け
古くなったデカールですが、レベルらしくしっかりと貼り付けることができました。少し厚めのため、軟化剤を多目に使った気がします。一番難儀したのは翼端ポッドの白黒の市松模様でした。
(写真12)がデカールを貼り終えた状態の機体、(写真13)が機首下面のシャークマウスです。(写真14)が白黒の市松模様のデカールを貼った翼端ポッドです。
(写真12) デカールを貼り終えた機体
(写真13) 機首下面
(写真14) 翼端ポッド
6. 完成へ
部品を機体に取り付ける前にデカールの保護も兼ね全体につや有りと半つやの比率が2:1のクリアーを吹き付け、パネルラインや動翼の隙間に軽く墨入れをしました。そして乾燥後、個別に塗装しておいた、水平/垂直尾翼、前脚、主脚、増槽、風防/キャノピー(キャノピーは開閉ができるように非接着)、翼端ポッドなどを取り付け完成です。
(写真15~20)が完成したF-89D スコーピオンです。
(写真15) 完成したF-89D “Scorpion”
(写真16) 完成したF-89D “Scorpion”
(写真17) 完成したF-89D “Scorpion”
(写真18) 完成したF-89D “Scorpion”
(写真19) 完成したF-89D “Scorpion”
(写真20) 完成したF-89D “Scorpion”
年のせいか、この時代の機体には愛着を感じます。キットやデカールが少ないですが、手に入ればファルコンを抱いたJ型なども作ってみたくなりました。
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