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連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第1回)

RSモデル1/72 「立川キー94Ⅱ高高度迎撃機」

by 鳥巣 Torisu           /     
 <初めまして>
 縁あって今月よりウエブモデラーマガジンで模型誌等で取り上げられない世界の名作(迷作)キットの作品をご紹介するモデラーで横浜市在住の鳥巣と申します。

自宅の上空では高い所を飛ぶ旅客機の飛行機雲が眺められたり、低い所は自衛隊・米軍・警察や消防ヘリ等が飛び交う賑やかな環境でモデラー生活を送っています。
以後宜しくお願い致します。

<今月のお勧め・RSモデル1/72「立川キー94Ⅱ高高度迎撃機」>



 「実機解説」
 太平洋戦争半ばの昭和18年初め陸軍より高高度戦闘機の開発の指示を受けた立川飛行機はそれまで中島の一式戦「隼」の転換生産を行っていたが飛行機メーカーの夢である「自社開発」の戦闘機を作る好機と捉え胴体の前後にエンジンを積み二本の細いビームで水平尾翼を支持するオランダの「フオッカーD23戦闘機」に似たユニークな形状の戦闘機「キー94」の試作を行い18年末完成したモックアップ(木型)の審査を受けたが、不時着した時にパイロットがエンジンに押しつぶされるとか落下傘脱出の際プロペラに叩かれて危険などの意見が出されたのと設計側でもこのエンジン配置では排気ガスタービンの搭載が無理と解ったので「キー94Ⅰ」計画は中止となった。
 計画中止後陸軍は代案の開発を命じ昭和19年5月に標準的な単発単胴の機体になった「キー94Ⅱ」の設計試作が開始された。
 
 当初開発時間の短縮のために4式戦「疾風」の設計を流用するよう陸軍から指示されたが立川の技師たちが検討した結果4式戦の設計流用では目標の性能が出せないと判明し独自の設計で進めることにした。
 外見は4式戦に似ているが戦闘機としては初めて層流翼を採用し、最大の特徴である排気タービンは胴体の下面に搭載された(ライバルのP-47も同じ胴体下に搭載)
さらに立川飛行機が以前より開発していた気密室を設け高高度でのパイロットの肉体的負担を軽減するなど本格的な高高度戦闘機として開発が進められていたが初飛行を迎える直前の昭和20年8月15日玉音放送と共に敗戦が決まり大空へ飛び立つチャンスを奪われた。
 完成されていればB-29に対抗できる唯一の高高度戦闘機として陸軍より多大な期待を抱えられていただけに初飛行直前で敗戦は何とも惜しい機体である。


<キー94予定性能>
発動機 中島ハ219型空冷18気筒排気タービン付き2450hp
高度一万二千メートルで時速720キロ・20ミリ及び30ミリ機関砲各2丁搭載


 <キット紹介>
近年、隼3型や二式高等訓練機と1/72のスケールで旧日本陸軍機をリリースしているRSモデルが2007年頃発売したキットです。
 内容は基本的に簡易インジェクションキットで、計器パネルやイス等コクピット周りを中心にしたエッチングパーツとレジン製のエンジンとカバー部品の一部そしてクリアーパーツ化されたキャノピー部品で構成されています。
価格はビーバーコポーレーションが輸入代理を行っていてその時の為替レートで変わりますが概ね2500円前後です。
<製作開始>
 それでは組み立てを始めましょう
「キットを洗おう」・まず海外のキット特有の離型剤を台所に置いてあるクリームクレンザーで洗い落とします。細かいパーツを洗っているときに落として無くさないように金属製のザルの上で洗います。洗い終わったらキッチンペーパーやテイッシュで水気を拭き取り乾かします一晩乾かしたらOKです。

 <胴体内部の組み立て>
胴体内部の組み立てを始めます。
ランナーから胴体を切り出し仮組をして正しく貼り合わせができるか確かめます。このキットにはダボと穴が有りません。プラ板をガイト代わりにして裏打ちし貼りわせるのが良いでしょう。
胴体パーツのすり合わせを行った次にエンジンを取り付けます。
レジン製で良く表現されていますが胴体を貼り合わせると全く見えなくなります(泣)





エンジンを取り付けたらコクピットを組み立てます。
イス・計器盤・ハンドル等がエッチング部品なので下地にメタルプライマーを塗った後塗り分けます。

イスを組み立てたら床板に取り付けます。シートベルトを着けたらこの機体の特徴の一つである気密室にはめ込みます。

 <胴体と翼の接合>
 気密室が組みあがったら胴体の貼り合わと上下の翼を接着します。
翼のパーツには大きな押し出しピンが所々あり干渉し合うので削り取ります。
 ピンを削り取ったら上下の翼を接着し胴体に取り付けます。


パテ修正と基本塗装
胴体の接着面と翼と胴体接合部に少々スキ間が生じたのでポリパテを盛り付けて修正します。紙ヤスリで削り整形した後1200番のサーフエンサーを吹き付けてキズやスキ間が無いのを確認したら消えたモールドや堀が足りないところを掘り直します。
スジ堀が終わったら基本塗装としてクレオス8番「シルバー」と69番「グランプリホワイト」をブレンドし日本機の「しっとり感のある銀色」を塗装します。


 
防空識別用の白帯や垂直尾翼・翼の敵味方識別の黄橙色の下地色としてクレオス69番「グランプリホワイト」を吹き付けます。
乾いたら防空識別帯の白にマスキングを施し垂直尾翼にはクレオス「キャラクターブール」

翼の敵味方識別にはクレオス58番「黄橙色」を塗装します。

白・青・黄橙色の塗り分けを施しエンジン上部からコクピットまで黒の塗装を終えたらで
クリアーを吹き付け乾燥させます。今回はMr・スーパークリアー(缶スプレー)を使用しました。
一晩クリアー掛けを乾かしたらデカールを貼ります。
垂直尾翼に244戦隊のマーキングとコクピット左側に撃墜マークを貼り付け帝都防空戦闘機に仕上げました。

 


最後に翼に穴を開け機関砲とピトー管を取り付けアンテナ線をテグスを使い再現した後
デカールの剥離防止に半光沢クリアーを吹いたら完成です。














毎日1時間の工作時間でコツコツ製作すれば2週間程で完成できる好キットです
駆け足の製作文となりましたが製作時の何かのご参考になれば幸いです。

最後に日本陸軍最後のプロペラ戦闘機キー94Ⅱの雄姿を再現できる機会を下さった編集部に感謝です。

Vol.5 2009 June.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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