(上からの続き)
1955年5月17日に初飛行、9月28日にファイアストリーク・ミサイルの発射テスト実施、1956年4月5日に空母アークロイヤルで初の発着艦テストが実施された。
DH.110 Mk.20Xが初飛行前の1955年1月にデ・ハビランド社は量産型78機を受注、1957年3月5日に公式にシービクセンと命名され、量産型FAW.1の初号機は3月20日に初飛行した。シービクセンは赤外線誘導のファイアストリーク・ミサイルを主装備し、固定武装を持たない初のイギリス海軍戦闘機となった。艦隊防空の他、攻撃戦闘機の能力を持ち、通常爆弾やロケット弾等も搭載可能だった。
1958年11月4日にヨービルトンでシービクセンの訓練部隊No.7000 Sqが編成され、1959年10月に初の実戦部隊No.892 Sq所属機が空母ビクトリアスに着艦した。
シービクセンFAW.1はイギリス海軍に配備が始まり、同型は計119機生産された。
FAW.1に続く量産型FAW.2は搭載燃料を増加する為にテイルブーム上部にコンフォーマルタンクを追加し、空対空ミサイルは射程距離5マイルのファイアストリークに換わり射程距離7マイルのレッドトップを4発運用可能になった。ファイアストリークと同様レッドトップも赤外線誘導だがファイアストリークは目標の後方から狙えるだけだったのに対し、レッドトップはシーカーの性能が向上したので前方から狙える様になった。FAW.2の初号機は1962年夏に初飛行し29機製造され、119機製造されたFAW.1の内、69機がFAW.2仕様に改修された。
シービクセンのレーダー手はキャノピー右側の胴体上面のハッチから出入りし、ベイルアウト時はハッチを投棄して射出されるが、FAW.2の後期生産ロットからスルーキャノピーで脱出出来る様、ハッチは金属から射出座席で破砕出来る材質に改修された。金属製ハッチの機体は胴体と面一だが、改修された機体はハッチの周りが盛り上がっているので識別出来る。
1960年代後半、イギリスは国防予算削減に伴いアークロイヤルを除く空母の退役が決定、後継機にF-4ファントムが採用された為、シービクセンの退役が始まり1970年7月の空母ハーミスが最後の航海となった。
第一線から退役後に殆どがスクラップにされたが、少数は1980年代半ばまで標的曳航等に運用されていた。
|
|
●仕様●
乗員:2名
全長:16.94 m
全幅:15.54 m
全高:3.28 m
翼面積:60.19 m2
空虚重量:12,679 kg
運用時重量:
最大離陸重量:16,783 kg
動力:ロールス・ロイス製 エイヴォン RA28 Mk 208 エンジン× 2
推力:5,094 kgf
最大速度:1,040 km/h
航続距離: km
上昇限度:14,600 m
●参考資料●
De Havilland Sea Vixen: De Havilland's Ultimate Fighter Aircraft
Richard A. Franks Dalrymple and Verdun Publishing
Warpaint Series No.11: De Havilland Sea Vixen
Steve Hazell Hall Park Books Ltd.
Dehavillan Twin Booms: Vampire, Venom and Sea Vixen
Adrian Balch Airlife Publishing Ltd
X-Planes Profile-5: Prelude to the Sea Vixen DH.110
Henry Matthews HPM Publications
(上に戻る→) |