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誌上個展

TYPE 35B BUGATTI (モノグラム 1/24) 

by 田口博通 Hiromichi taguchi

  Vintage garageは創世記から1970年代までのビンテージレースカーとビンテージクラシックカーの連載コーナーです。クラシックな姿の中に優雅さと繊細さを内包した彼女達にしびれる方々も多いはず。 
 ビンテージ・ガレージは ビンテージカープラモデルの製作だけでなく、その独特の魅力を醸し出すビンテージカーが背景に持つエピソードにもスポットをあてています。 
どうぞあわせてお楽しみ下さい。
 第4回で登場するのは ヨーロッパで最も美しい自動車と言われたブガッティ。それも 1920年代最強のグランプリカー ブガッティT35Bです。
 モノグラムのキットは魅力的な外形のみならず エンジン、シャーシーフレームまで再現した素晴らしいキットでした。 




実車について
 エットーレ・ブガッティは名前でわかるようにイタリア人でミラノで生まれているが、フランスに移り住んだ後ブガッティ社を設立している。1920年代に彼が生み出した名車がブガッティT35だ。
1924年のリヨングランプリでデビューし、以後7年に渡り大活躍をしている。
T35Bのエンジンは8気筒 2262ccSOHCでスーパーチャージャー装備。
 ブガッティは実用一辺倒だった自動車を美術的なものに変革したと言われている。さすが芸術の国イタリアの人である。よって、その生み出した車のスタイルも実に芸術的である。
 ブガッティのシンボルの馬蹄型グリルから伸びる3次曲面のノーズ、リアのポインテッドテールに至るボディラインの美しさはとにかく素晴らしい。




キットについて

 ブガッティT35Bのプラモデルはモノグラムから発売されているキットが唯一だ。モノグラムのこのキットは魅力的なスタイルをそのままに 内臓するエンジン、シャーシーフレームまで再現した素晴らしいキットとなっている。 最近、模型店店頭であまり見かけないのが惜しい。 今回 製作したのは バンダイモノグラム版として発売されていたもので、既に廃版のため ヤフオクで昨年春購入した。国内版なので 親切な日本語説明書が付属していた。

箱絵
部品一式
 

製作

シャーシー、エンジン、防火壁
 下の写真のような構成になっている。箱には上級者向けとあるが、説明書の通り 組んでいけば 問題なく すらすらと組める。シャーシーフレームには先に後輪軸を組み込んで、鉄色に塗装した。鉄といっても 自動車に使われるフレーム材は強度の高いクロムモリブデン鋼(俗にいうクロモリ)のはずである。 シャーシーにエンジンを先に組み込み、次に防火壁を取り付ける。防火壁がメッキパーツで映える。


ボディ
ボデイはブルーでモールドされているので、下塗りをせず、その上にFinisher'sカラーのフォーミュラフレンチブルーで塗装した。
塗装用の馬を下箱を切ったボール紙で作ると塗装しやすい。後で、ボディ内側も筆で同色で塗装しておく。
 

ボディをシャーシーフレームに合わせて接着し、底面部品を接着すると 車としての形になる。
底面部品の接着時にボディを汚さないように内側に接着剤を流すこむように注意する。
ラジエターや前輪軸も丁寧に組み込んでいく。
ここまで来ると後は 座席と車輪のみ。




タイヤはパターンも素晴らしいが、バリがあるので、丁寧に整形しておく。ホイールはメッキも厚い。表裏ホイールの接着には 3Mの万能接着剤を用いた。

車輪の完成


 透明部品は 最近 コニシのウルトラ多用途というクリアーの接着剤を使っているが、強力で非常に使いやすい。
 ストラップはシールが付属しているが、合成皮を手芸店で買ってきて、シールを型紙にして ストラップを自作した。バックルは0.3㎜洋白線をまげて自作し、ボディには虫ピンで留めている。
少し厚かったので、もう少し 薄いものを使うとよかったようだ。
  完成した姿はどこから見ても、ブガッティT35そのもので、優美なスタイルを余すところなく再現していて、大満足だ。

 ベンツSSKなどが3本の排気管をボンネット左右に無骨に張りだしているのと違い、ブガッティは馬蹄形グリルから続くノーズの中にきっちりと収めている。これが世界一美しいと言われたブガッティの美的センスなのだろう。



ブガッティ その後

 人々のスピードに対する欲望は自動車が発明されて以来、限りなく続き、このブガッティT35は 第一次大戦直後から、1920年代を通してグランプリで活躍した。構造は ラダーフレームに前置きエンジンという 現代のフォーミュラレーシングカーに比べると大変クラシックのものに見えるが、自動車としては1960年代以降のトヨタクラウンの設計と同様な構造である。(クラウンは1995年にモノコックになる)

 ブガッティは 車の美しさでもずば抜けており、それがグランプリで勝ち抜いたのだから、当時のヨーロッパの人々の自動車に対する興味と憧れを集めるには充分な広告塔だっただろう。 
 残念なことに、後を継ぐべきエットーレの息子、ジャン・ブガッティは1939年 レースカーのテスト中に事故死しており、失意のうちにエットーレ・ブガッティは戦後1947年に他界している。
 その後のブガッティ社は車でなく飛行機用エンジンの製造で存続していたが、1963年にフランスのイスパノ・スイザに吸収され、さらに1968年にサフランに吸収され、サフラングループ傘下のメッサー・ブガッティとして飛行機のブレーキ・ホイールを製造しているにすぎない。

 その後のブガッティ・ブランド

 1987年、イタリア人実業家ロマーノ・アルティオーリがブガッティの商標を手に入れ、イタリアのモデナにブガッティ・アウトモビリ(Bugatti Automobili SpA )を設立。1989年にブガッティフブランド゙が復活した。
 1991年にはスーパーカーEB110GTを発表。1993年にはEB112とよばれるセダン型のプロトタイプも発表したが、1995年倒産している。それに伴いEB110の生産も終了、総生産台数は154台だった。
 
 (写真EB110 GT SS wikipedia より引用)
 ブガッティが描いた美的自動車の夢は 潰えたように見えたが、ところがどっこい、その後、フォルクスワーゲンが ブガッティブランドの再生をになうことになった。1999年東京モーターショーでフォルクスワーゲン自身のデザインによるブガッティ・ヴェイロンが発表されたのは記憶に残るところである。2006年から販売されているヴェイロンは1台2億円ということだ。ブガッティのシンボルの馬蹄型グリルがしっかりと受け継がれている。

 
  (写真ヴェイロン wikipedia より引用)

 ブガッティというヨーロッパで最も美しい自動車の代名詞を残すべく、ヨーロッパの自動車業界は今後も挑戦を続けていくに違いない。





ビンテージ・ガレージ バックナンバー
1st
シーズン
2014年1月号  第6回 ベンツ 300SLR (レベルモノグラム 1/24) 
2013年12月号 第5回 BENTLEY 4.5L BLOWER (エレール 1/24)
2013年11月号 第4回 ブガッティ 35B(モノグラム 1/24) 
2013年10月号 第3回 BRABHAM F-3 (エレール  1/24) 
2013年9月号  第2回 ROB WALKER Team Lotus 72C (エブロ 1/20)
2013年8月号  第1回 ホンダF1 RA272(タミヤ 1/20)


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Vol61  2013 November.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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